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(新々)三つ子の魂百までも 14


裕美さんは、写真を撮り終えたのかカメラを林田さんに
返した。
林田さんは、カメラのフィルムを確認し、新しいフィルムに入れ替える。
(この例のカメラは、昔のフイルム式のカメラで詳しい事は、
拙出の小説「霊が撮れる例のカメラ」に書いてあります。)

裕美さんは、僕達を見て
「帰りましょうか?」
と、階段を降り始めた。
僕も後から続き、その後を橋田君、林田さんが続いた。
無言で速足で階段を降りて行く。

裕美さんの華奢な背中が目に入る。
でも、僕にとっては一番頼りにする人。
裕美さんの後ろ姿に魅せられる、僕であった。

外に出ると、小雨は止んでいたがいつ降り出すか解らない曇天で
ある。
駅に向かうタクシーを拾う為に、大通りに向かって歩いた。
だけど、大通りに出てもタクシーは中々拾えない。

「この街は、タクシーが少ないのでしょうか?」
と、林田さんは不満の独り言の様に僕に云うが、
僕は回答に困って、橋田君の顔を見た。

橋田君は何も言わない。
「何処かの喫茶店でも入って、タクシーを呼んでもらいましょうか?」
と、林田さんは、提案してくる。

「そうですね。それが良いです。」
と、今度は自信を持って応える僕だった。
時刻は12:20を示している。

通りを歩いて行くと、喫茶店があった。
看板に[紅茶の美味しい喫茶店]と、書いてある。

林田さん先頭に店に入って行った。

店内は余り広くは無いが落ち着いた雰囲気で、木材を使った素朴な感じの店である。
お客は二人しかいない。
お昼時にしては、お客が少ない。
林田さんが、4人掛けのテーブルを選び腰を下ろした。
いつもの様に、裕美さんが僕の横に座る。
裕美さんを見ると、額が濡れている。
汗の様に見えるが、
「裕美さん、汗ばんでいますよ」
と、思わず口にしてしまう僕。

「そうですね。私、集中すると凄く汗をかくの。」
と、少し不機嫌そうに云う。

…女性にそんな事を言ってはいけなかった…
と、デリカシーの無い事を反省した。

お店の男の人が、メニューとお冷を持ってやって来る。









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