見出し画像

思考法の話(余白とガベージ缶モデル)

大学の時学んだことと、大学院の時思考したことです。
恐らく、どんな人の、どんな仕事、生活の場面でも、役に立つお話ではないかと思います。

大学の集中講義で

教育学部で教育学専攻だったこともあり、衛生学の集中講義がありました。
教官のお名前は失念しましたが、有名な佐久総合病院の臨床医の方で、話し方は穏やかでしたが、現場たたき上げという感じがしました。

衛生学という講座だったので、最初は基本的な医学のお話をしていただいていましたが、途中から人生訓という感じで、面白いお話をしていただきました。

画像2

我々学生は、そのほとんどが将来先生になるわけで、『そういったお話の方が重要だ』と、教官は思われたらしい。

その1:余白の話

教官が最初に話をされたのは、『余白』についてのお話。

余白って、普通はピンと来ないですよね。
でも、この余白がとても重要だということをこう説明されました。

A4の紙にレポートを書いたりするとき、どのように文を書くだろうか?
横書きにするとすると、いきなり、左端の上から、ぎっちりと詰めて書きだす?
もしも、A4の紙にぎっしりと文字を書き込んだら、どうなるか。

そのレポートを提出してもらった教官は、例えば保管をするとき、左端に2穴のパンチで穴を開けようとしたらどうだろう。
それだと、大事なレポートの文字が読めなくなってしまう。
上部に余裕が無ければ、例えば、日付だったり、コメントだったりを書き加えることができない。
下部に余白が無ければ、ページを打ったりできない。

だから、一見無駄に思えるかもしれないが、上下左右それぞれ2センチ程度を『予め』余白として空けておく。

こういう配慮がなされているだけで、無駄な時間や作業が無くなり、結果、効率的に物事を進めることができる。

何においても、『余白を取っておく』という意識を持っていれば、余裕が生じて、物事をうまく進めることができる。
未来の状況を、先取りしておくことができる。

その2:トランクとずた袋

一番、強烈に印象に残っているのが、この余白の話でした。
どちらかというと、「ショックを受けた」という方が妥当かもしれません。

こういう「相手に対して気を使う」ということは、日常的にはなかったので、新鮮な発見という感じでした。

余白の話の次に出たのは、ずた袋の話です。

ずた袋って、わかりますかね?

画像2

鞄のように、入れる物を整理して入れるのではなく、雑多なものを雑多に入れて運搬するための、布袋。

先の余白の話と、見方が逆転します。
鞄は、仕切りやポケットがあることで、物を収納しやすくなるのですが、そこが影響して、物はたくさん入らなくなります。

これが、ずた袋だと、何でもその袋にごちゃまぜで入れるので、物が取り出しにくくなりはしますが、余白が程よく詰まるため、物をたくさん入れることができる訳です。

使用する目的は異なるのですが、ずた袋のように、「程よい距離間の余白」を取ることで、沢山の物が入るということを考え方に反映できると、思考にイノベーションが起こるのではないか、と。
(教官は、もっと別の言い方でしたが、詳細が記憶から消失しています…)

思考法:ガベージ缶モデル

余白の話を思考レベルで展開できるようになったのは、大学院に入ってからなので、余白の話を聞いてから8年後です。

常に常駐している思考においては、「太陽が当たっている状態」といってよく、どんな情報も瞬時に結びつくため、漸近的な発達はするものの、なかなか革新的な発想にはつながりません。

例えば、昔存在した8インチの記録ディスケットが5インチ、3.5インチと大きさを変えていくのが漸近的進歩。
USBメモリやSSDになるのが、革新的進化。

ところが、常に常駐するのではなく、その思考を一度ガベージ缶(ゴミ箱)に捨て、深層意識化に入れておくと、全く関係が無いように思われる思考内容と、キーワードやメタファーが引き金になって、発想が革新的進化を遂げるというのが、「思考のガベージ缶モデル」です。

大学院の頃には、「アイデアのごみ箱」というノートを作り、実現可能性は無視して、どんどん書きました。
今でも、それは残っていますが、書くと心が安心感を得るので、短期記憶から消去できます。
これは、いわゆる「記憶の外在化」で、攻殻機動隊の草薙少佐が言っていたアレです。

マッチングのキーを与えるため、たまにアイデアの棚卸として、このノートを流し読みします。流し読みというところが、ミソ。
キーになるのは、キーワードだったり、発想のコンセプトだったり、いろいろですが、なるだけフラットな意識状態を心がけて、発火するのを待つ、という訳です。

こういう訓練を続けていくと、無意識化でキーがマッチするようになり、例えば、映像の流し見でインスピレーションが発火するようになるのです。
常々、心の内面を観察し、思考を続けるということは必須ではありますが。

画像3

こんな感じで、光の柱が立つように、ビンビンとインスピレーションがわくって、楽しいことです。

考えてみれば、noteで幾つもアイデアを書くのって、ガベージ缶モデルそのものですね。
そりゃ、書くことが楽しい訳です。






この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,537件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?