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ある世界ではマイナスとされることが、別の世界ではプラスに評価される
こんにちは。
幼い頃の我が家は転勤族だったので、引っ越しによってコミュニティ間の移動をするたびに、「これまでの世界で当たり前だったことが、違う世界に移るとゲームのルールや支配者がガラッと変わるんだな」ということを身をもって感じていました。もちろんそれはいい面も悪い面もあるのですが。
台湾の社会的企業(詳細は過去記事参照)が、まさにそれを素晴らしい形で実現しているので、今日はそれについて書いてみます。
トレンドマイクロ社の会長が創設した、台湾最大のAIデータサービス企業「FLOW 若水國際」
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2007年に台湾で初めての社会的企業として創立された「FLOW 若水國際」。なんとその創業者は台湾が誇る「トレンドマイクロ(趨勢科技 Trend Micro)」社の代表取締役会長、スティーブ・チャン(張明正)氏です。
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「トレンドマイクロ(趨勢科技 Trend Micro)」は、台湾発のグローバル企業です。
日本でも「ウイルスバスター」などでおなじみの「トレンドマイクロ」社は、実は台湾で数多くの社会貢献をしており、台湾のIT界隈では尊敬されている企業です。
「FLOW 若水國際」創業後に彼らが設定したひとつの事業が「包括的なBIMサービス」です。「BIM」とは「Building Information Modeling」の略で、主に建設業において活用されています。これまではCADが使われていましたが、「BIM」は建物の構造の仮想データを建材のパーツレベルから組み上げられるため、導入されるケースが増えてきています。
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「FLOW 若水國際」は、このBIMを包括的にサービス提供する世界初の社会企業です。
どういう点で社会企業なのか?
それは、「Business」と「Social」、つまり台湾が抱える社会問題を掛け合わせたという点です。
「FLOW 若水國際」が行った調査によれば、台湾には身体障害を抱える方々が100万人いるそうで、そのうち80万人以上の方々に就業意欲があるものの、14万人ほどの方々が外に出かけることが難しいため、就業のチャンスがないという社会課題があるそうです。
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身体障害者を人力資産として、AIサービスを提供
「Business」と「Social」を掛け合わせて実現するために彼らがやった4つのこと
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出典:『【Tech for Good】特寫若水數據標註師團隊,100 個 AI 專案的幕後英雄』
仕事の流れを身体障害者に合わせて設計
身体障害者が仕事がしやすいよう、デジタルツールを開発
身体障害者に特化した人材のケア、サポートを整える
専門チームによる教育訓練を完備
上記のような体制のもと、「毎日特定の場所に出勤することは難しい」という特徴があっても、メンバーの皆さんはそれぞれに適した役割で、能力を発揮することができているそうです。
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「能力が発揮できた」と感じられた、皆さんの表情がすべてを物語っている
台湾の「FLOW 若水國際」のオフィシャルサイトにはさまざまなコンテンツが充実しており、そこでは「能力が発揮できた」と感じながら働いている皆さんの言葉がたくさん掲載されています。
こちらは、AI事業部教育訓練スタッフの鈺樺さん。
普段から車椅子で生活しています。
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(出典:『【7分鐘完整版】《生存之上,職涯之下》原來我也能有一份適合我的工作』)
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(出典:『【7分鐘完整版】《生存之上,職涯之下》原來我也能有一份適合我的工作』)
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マネージャーの呉さんの言葉が素敵でした。
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支持而不是偏袒 サポートはえこひいきではないし
同理而不是同情 思いやりは同情ではない
このようにして、たくさんの方たちが一緒に働いているそうです。
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鈺樺さんの言葉。
「安定した仕事を得て、出勤するようになってから、“身体に障害を抱えていても、企業で働き、同僚たちとこんなに打ち解けることができるんだ”と家族の自分に対する態度も変わったし、自分にも家族に対して差し出せるものがある(近藤補足:食事をご馳走している映像が映し出される)、ずっと家族に助けてもらってばかりではない。自分にも家族により良い生活をしてもらうようにできる能力があったんだ」
出典:『【7分鐘完整版】《生存之上,職涯之下》原來我也能有一份適合我的工作』
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出典:『【7分鐘完整版】《生存之上,職涯之下》原來我也能有一份適合我的工作』
映像などのコンテンツを見ていると、「身体に障害を抱えている」というのはひとつの特徴であって、それと「その方の仕事の能力」はまた別のことである、という当たり前のことに気付かされます。
「身体障害を抱える方たちによるサービス」ではなく、品質で勝負する
一方で、「FLOW 若水國際」は、サービスを営業する際には特にこの「身体障害を抱える方たちによるサービスである」という社会企業の点をあまり強調していません。
「FLOW 若水國際」は日本にも支社を置いて進出しており、英語圏に向けて英語のサービスサイトもありますが、それらのウェブサイトには「身体障害を抱える方たちによるサービスである」ということが書かれていません。
あくまで、自分たちのサービスのクオリティや実績にフォーカスし、「あくまで品質で勝負したい」という方針が表れているように感じられます。
台湾のコンテンツに今回ご紹介したような内容のものが多いのは、やはり「台湾の身体障害を抱える方たちに就業チャンスを開きたい」という想いがあってのことなのでしょう。
駆け足になりましたが、台湾を代表する社会的企業「FLOW 若水國際」の取り組み、いかがでしょうか。
ある世界ではマイナスとされることが、別の世界ではプラスに評価されること、きっと他にもあるだろうなと思いますし、自分自身にもそれはあります。そして、私の周辺にもきっとたくさんあるのだろうなと感じています。
そうしたことに気付ける目線を持てるような自分でいたい。そうあるために、自分には今何が足りていないのか、そこを精進していきたいと思っています。
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