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もう一度見たい台湾映画『流麻溝十五號 Untold Herstory』

昨年のことですが、ものすごい熱量で支持されている話題の映画『流麻溝十五號 Untold Herstory』を拝見しました。

1950年代初頭、白色テロ時代に捕らえられ、台湾の離島・綠島(当時の名前は火燒島)に送られ、「思想の再教育」を強制された女性たちを中心に描いた歴史映画です。

オーラルヒストリーをもとに6人の女性の人生を綴った『流麻溝十五號-綠島女生分隊及其他』(作:曹欽榮、鄭南榕基金會/書林出版)という本をもとに映画化されています。

映画化にあたって行われたクラウドファンディングでは、43日間で5,758名からおよそ1,217万ニュー台湾ドル(約6,085万円)の資金調達を達成。

白色テロに関しては、日本でも上映され話題となった『返校 言葉が消えた日』もありますが、女性たちにフォーカスした映画は初とのこと。

エンドロールでは、クラファン参加者の方々のお名前が流れたのですが、その数の多さに圧倒され、「この悲惨な歴史を、決して忘れてはならない」という意志を感じました。

平日の午後に観ましたが(もうすぐ上映が終了しそうなので、エッセイの校了日でしたが駆けつけてきました)、世代ジェンダーともにグラデーションのある方々が、エンドロールが終わるまで席を立たず、涙を流して鑑賞されていらっしゃいました。

上映開始から3週間目の現時点で、台湾での映画興行収入は2,400万元(約1億2,000万円)近いとのこと。

また、劇中では「日本語」が使われるシーンも多々あります。
日本統治時代が終わり、第二次世界大戦後に「中華民国」が臨時首都を台湾・台北に遷した(1949年12月7日)ばかりの当時、台湾の人々が日本語や台湾語から、北京語を強制されていたことがありありと感じられました(台湾で、台湾華語として定着する前の、強制された北京語を無理やり話しているのがとても印象的です)。

この点を映画で表現するのはとても難しかったでしょうが、それでもとても意義あることだと思います。挑戦された製作陣の気概をひしひしと感じました。

そういう意味で、日本とも深い関わりのある作品だと思いますし、台湾有事について議論する前に、ぜひ日本の皆さまにご覧いただきたい作品でもあります。

『返校 言葉が消えた日』に続き、日本でも上映されることを祈っております。

白色テローーこのバックグラウンドを知らずに台湾有事を議論することなんて、個人的にはできないと思っています。


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