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かたおか徹治「ファミ魂ウルフ①」

「わんぱっくコミック・リバイバル」シリーズから、かたおか徹治「ファミ魂ウルフ」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B09G9L6PJM/
 狼ミツに育てられた少年、野生命知狼(やお・いちろう)。その野生のカンを買われて、郷田コンツェルンの村雨列火・竜子親娘にファミコン戦士としてスカウトされる。狼との別れで東京行きをシブる命知狼に、郷田社長はミツを誘拐してファミコントーナメントへの出場を迫る。しかし郷田社長への復讐のため、命知狼は東京に残ってトーナメントに出場を決意する。その前門として、待ち受けていたのは、村雨の因縁のライバルでもあったファミプロ№1の熊田剣吾の息子である熊田力也。命を捧げたミツの送った狼魂で力也を破った命知狼の前には、郷田ファミコン道場東京本部で鍛えられた特待生中のトップクラスである地獄の穴・四天王。その名も虎尾ゲン、鷲見ツトム、猿田ススム・カケル兄弟。ウルフと呼ばれるようになった命知狼と四天王は東京予選で激しい戦いを繰り広げる。
 わんぱっくコミック誌における最大かつ最長の叙事詩である。この作品なくしては、成り立たなかった漫画誌である。何しろ冒頭から巻頭81頁の大迫力。狼に育てられた少年が、ファミコン戦士にスカウトされるという、無茶苦茶な設定からして凄い。そしてゲームのためにタイガーマスクばりの「地獄の穴」など勝利第一の地下組織があるのも、スポ根ものがメインを張っていた時代の空気を濃密に伝える。善玉と悪玉がハッキリ分かれるのも、この作品が濃い理由の一つ。実況放送型のドラマ進行は、大袈裟なまでのダイナミックさが読み手の気分を高揚させる。タイトルに入った「魂」という文字が、この作品の全てを象徴する一球入魂である。

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