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大下英治「政界大再編・鍵を握る9人」

政治ノンフィクション電子復刻。大下英治「政界大再編・鍵を握る9人」(徳間文庫)。ポスト小泉の政界再編を握る9人に焦点を当てて、各パーソンの持ち味や活躍をルポ。いずれ劣らぬ魑魅魍魎。今でも政治生命を保っているのは3人。しかし郵政解散選挙の以降は、政党の離合集散は今より活発であったことを、改めて思い起こす。直ぐに組織を飛び出して新党結成。それぞれに大義名分があり、自らの主張があり、生き生きとしている。政界の戦国時代と言うにふさわしい活気。今読んでも、そのエネルギーがホットに伝わってくる。
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①小沢一郎
・民主党党首として、福田・麻生両内閣に対峙していた時代。参議院での勝利後、福田首相からは連立を打診され破談。支持率が2割に落ちた麻生首相に衆議院解散を迫る。二大政党として、もはや与党を上回る迫力と威厳。政権交代の実現に命を賭ける。
②麻生太郎
・総裁選に敗れ、無役となって全国161箇所を遊説。岸信介の孫である麻生は全国の声を聞いた。その麻生に、首相自ら幹事長就任要請。安倍晋三に続き、福田首相も電撃辞任。後の政権を託され、多難な政局に乗り出す。
③与謝野馨
・福田内閣で経済財政担当相を務めた。「政策通」として歴代内閣で重用された。ここで与謝野が名を上げたのは、C型肝炎訴訟での被害者一律救済の議員立法。更にリーマンショックでの奔走。欲がない参謀型だが、自民党内の信望は厚い実力者。
④平沼赳夫
・一時は総裁候補でもあったが、郵政民営化に反対して自民党を離党。離党後も小泉首相に刺客を送られて落選した議員たちを私費で支援。新党結成も期待されたが、平沼グループを維持。自民党と民主党の実力拮抗の中、第三勢力として存在感を示さんとする。
⑤太田昭宏
・平成10年に神崎武法から公明党の代表を引き継いだ。理想を語れて気配りもできる信望で、競合もない満場一致。衆参捩れ状態に苦しむ福田・麻生両内閣と苦悩を共にしながら、庶民的な観点での中小企業支援など経済危機打破を積極的に提起。
⑥小池百合子
・初の女性総理に最も近い人。日本新党デビューから政党を転々とし、環境省、防衛省で大臣を歴任。「機を見るに敏」と見られる一方、目的のためには手段を選ばない。抜群のプロモーション能力は、日本に得難い存在。
⑦二階俊博
・野党に飛び出して復党した小派閥にも関わらず、自民党内の要職で腕を振るい続ける実力者。選挙に強い苦労人で、面倒見もいい親分肌。彼の能力を見出したのは、小泉純一郎だった。その総務局長への登用が、今の菅政権のキーマンへと繋がってゆく。
⑧中川秀直
・自民党の実力者として、森派の代表世話人として重鎮を為した。郵政民営化で推進派として睨みを効かし、財政再建では「上げ潮派」として「財政再建重視派」の与謝野馨と対峙。麻生政権誕生前に小池百合子を担ぎ、派閥領主の森喜朗の怒りを買う。
⑨渡辺喜美とYKKK
・ミッチーこと渡辺美智雄の二世。安倍・福田両政権で行政改革相を担当して「天下り」根絶に努めた。しかし案件に消極的な麻生政権で更迭され、自民党を離党して新政策集団を目指す。一方で再選を目指す小渕首相に総裁選で挑んだ加藤紘一と山﨑拓。首相の不興を買って、加藤紘一は倒閣を口にして「加藤の乱」で失脚する。盟友の小泉純一郎は離反、そこに亀井静香、菅直人との新しいチームYKKKの可能性も。

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