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「こち亀」第82巻「光の球場」

「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」第82巻に「光の球場」という作品があると、知人がSNSで紹介。うちには全巻が揃っているので、早速読んでみた。
 「光の球場」とは、かつて南千住にあった東京スタジアム。昭和37年にできた大毎オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)の本拠地である。なんとわが荒川区にもプロ野球のホームスタジアム🏟️があったのである。
 少年・勘吉は大の大毎ファンで父親に試合に連れて行ってもらっていた。少年が観戦に行く動機は、野球⚾️だけでなく、ウグイス嬢の栗原やよいに恋していたから(ずいぶんおマセ)。しかし彼女が大毎のスター選手である日向選手と結婚予定であることを聞いてショックを受ける。ところが交通事故に遭いそうになった勘吉を日向選手が助けて大怪我を負うという事件があった。後悔に暮れる勘吉だったが、神さまは日向、やよい、勘吉に思わぬプレゼント🎁をくれる。
 下町の濃く深い人情話、幼い少年の淡い恋、正念場で見せた男のプライド、胸襟を開いた本音のつきあい、底抜け脱線の大暴れ、悪戯心満載の稚気。それは漫画界の『男はつらいよ』である。笑って泣かせて感動させる。読み進む都度にもらい泣きしてしまう。お馴染みのキャラクターと絵が親しみ深い上に、台本がいいのである。藤子不二雄Ⓐ先生は「漫画家は絵が描けるだけじゃダメ。ストーリーが書けなきゃね」とよくおっしゃっていた。そういう意味で、秋本治先生は文才と画才を併せ持つ漫画家である。


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