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小手毬るい「痛みを殺して」

小手毬るい「痛みを殺して」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓

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 次元の隙間に存在するかのようなバー「まいごの子猫」。そこでは人生を知り尽くしたバーテンダーが、あなたの人生を占うカクテル🍸を薦めてくる。技巧の限りを尽くしたカクテルに酔いしれたとき、そこに現れた世界は夢か幻か。それとも自分が知らなかっただけだったのか。禁断の愛に揺れる女性、子供に先立たれた夫婦、駆け落ちの挫折。垢抜けてオシャレな喪黒福造は、今日も男女の蹉跌を苦く甘くシェイクする。各章のタイトルは全てカクテルの名称。材料や作り方まで詳細に描かれている。恋愛小説の妙手・小手鞠るいが心の琴線をゆるがす七篇の千夜一夜物語。

1️⃣真夏の夜の夢

かつての恋人との再会を約した京都出張。仕事も家庭も捨てる覚悟で、待つホテルのバー。遅れてきた彼は、ホテルの部屋で生き別れた過去の時間にいた。

2️⃣黄金の夜明け

加藤俊介は真面目一方のカタブツ社員。リストラを避けるために、部長に仲人を引き受けてもらう。意気揚々と婚約者の家に向かう途中に入ったバーで、カクテルで未来を占う。

3️⃣シーツとシーツの間

取引先とのパーティで出会った、大学ゼミのすれ違い。守男に妻子がいても関係ない。無償の愛が沙香の信条。もらったアーミーナイフで、血液を貪るほど愛している。

4️⃣痛みを殺して

16年尽くした夫からの三行半。家族全員に反対された結婚。その先に待っていたのは町工場の奮闘、義父の介護、姑の虐め。傷心を癒すカクテルで、心の声を聴けるようになる。

5️⃣蒼い楽園

死んでしまった子供が忘れられなくてギクシャクし始めた夫婦関係。やり直すためにタヒチのリゾートに旅立った二人。しかしどんなに豪奢な歓待も空虚さを埋めることはできない。

6️⃣銀色の銃弾

従順な純子との暮らしの中に割り込んできた、副社長の娘で奔放なルミ子。部下との不倫相談にかこつけてグイグイと迫る。彼女の魅力との板挟みになった誠司。

7️⃣闇夜のベルベット

ニューヨークに向かう編集者が受け取ったエアメール。手紙のようでもあり、持ち込み原稿のようでもあった。毎年逢瀬を繰り返していた禁断の恋。編集者にある佳人の記憶が蘇る。

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