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西村京太郎「南紀白浜殺人事件」

西村京太郎「南紀白浜殺人事件」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C4P4914G/
「貴女の死期が近づいていることを、お知らせするのは、残念ですが、事実です…」“死の予告状”を受け取ったR建設のOL・広田ユカ。同僚の木島多恵が、ユカの悩みを十津川警部の妻・直子に相談し、助力を求めた。しかしユカは、母親の葬儀のため故郷の南紀白浜に帰省した際に失踪。ユカが見つからない一方で、あちこちで第二、第三の事件が発生する。そしてその陰には、政界の裏側が垣間見える。
 警察の捜査における現場のカンというのは、それなりに信用できるものだというのが読後感の一つ。殺人事件なのか、誘拐事件なのか、狂言なのか。特に狂言の場合は、捜査陣には経験上、何か引っかかるものがあるもののようだ。そしてもう一つは主人公である十津川警部夫人の大活躍。捜査に首を突っ込んで、自らの身を危険に晒してまで事件現場に居座る。十津川警部からしたら、たまったものではないだろうけれど、言い出したらきかないところが、作品全体にユーモラス感をもたらせている。


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