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黒崎視音「六機の特殊 蒼白の仮面〈新装版〉」

黒崎視音「六機の特殊 蒼面の告白〈新装版〉」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓

https://www.amazon.co.jp/dp/B0B5T354X9/

 ネットの匿名性という闇に隠れて、世間に絶望しヤケを起こした若者たちを煽り唆して犯罪へと駆り立てる「蒼白の仮面」。「蒼白の仮面」は犯罪の手引きや手段までも含めて懇切丁寧に指導する。しかし他人のPCを乗っ取って操るので、自らは安全な場所にいる。そして次々と起こる事件。名門女子高での人質立て籠り、石油タンクローリーを強奪しての首都高暴走、元傭兵による池袋での乱射と爆発事件。テロに立ち向かう六機こと警視庁特殊部隊第六小隊8名。土岐小隊長たちは現場で命の危機に瀕しながら、被害者救済と犯人確保に努める。

 ノーマルな展開だったネット事案のテロ対策ミステリーは、全体の2/3が過ぎたあたりで、突然の転換を見せる。いきなり犯人像が露わになるのだ。明らかに、それまでのストーリーと異質な運びを見せる。以後の急転は犯罪マニアたちの緊迫した心理ドラマ。そして土岐小隊長が一連の事件に対して抱えていた違和感。彼らのメンタルに直接触れた土岐小隊長の取った驚きの行為とは? 犯罪マニアたちの過去犯罪研究も、徹底的に取材する著者のリサーチの腕の見せどころ。そして後半に明らかになる真犯人の魅力も物語の白眉である。


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