愛される元横綱・白鵬こと宮城野親方になって欲しい
元横綱・白鵬こと宮城野親方が理事選に打って出るという噂が巷を駆け巡っている。タニマチたちが「偉大な横綱に下働きばかりさせたくない」という声が強いようだ。理事選と言えば定数=立候補者の予定調和。一門の親方数+立行司+有力力士(横綱・大関)の数で趨勢が決まる。一門の中では、政治の世界と同じく、順番が重視される世界と聞く。
このニュースを聞いて、おそらく誰もが思い浮かべるであろうことが、貴乃花親方の末路。37歳と若くして理事となった貴乃花親方は、二所ノ関一門を飛び出して、貴乃花グループを結成した。角界では異例のことであった。しかしバックに北の湖理事長の支援があったので、次期理事長も視野に入っていた。北の湖理事長が2015年に早逝した後、八角理事長や尾車理事の体制に変わっていった。新体制は貴乃花親方に激しい反感を抱いていたので、状況は一気に悪化した。この頃の貴乃花親方は、異常なまでに反体制に固執していた言動があった。とうとう貴乃花グループまで離反して、前阿武松親方が理事に取って変わる事態となった。日馬富士の暴行事件を糾弾した後に、自らの部屋の貴源治、貴ノ富士(貴公俊)、貴ノ岩の暴行事件で自ら身を引いた。大相撲ファンにとって、とても悲しい顛末だった。
宮城野親方は現役時代から、張り手やエルボーパンチの多用で、横綱審議委員会や協会指導部から激しい批判を浴びていた。その底流には、モンゴル力士に対する警戒感もあったように思えなくもない。横綱に上がるのは、稀勢の里以外はモンゴル力士ばかり。しかもモンゴル力士どうしでゴルフに出かけたりする現象も、よく耳にした。いつかは協会執行部が、モンゴル出身力士たちに占拠されるのではないかという怖れがあったのではないだろうか。白鵬はその最右翼として、警戒されていたのだろう。だから伊勢ケ浜一門の親方が、今の宮城野親方を必死になって止めているのは、よく気持ちがわかる。
自分としては、宮城野親方が恨まれて欲しくない。白鵬杯など自腹で相撲界に貢献している。考え方も立派である。しかし行為は強引に見える。このほど引退した石浦の間垣襲名も、白鵬が横車を押したのでなければいいのだが。角界を去って行った貴乃花親方の考え方は斬新だった。例えば、今導入されている大相撲ファンクラブの原案は貴乃花親方だった。ただ貴乃花親方の考え方はもっと過激で、部屋毎の後援会をなくして、協会のファンクラブに一本化するというものだった。今の若手親方は、イベントやファン増大に積極的だと聞く。また力士養成にも、元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方は部屋に土俵を二つ作るなど斬新な手法を導入している。宮城野親方と二所ノ関親方に、現役時代さながらに理事長を競い合って、角界を今までにない手法で振興させて欲しいというのが願いである。宮城野親方には、貴乃花親方の二の舞になって欲しくない。
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