見出し画像

「白鵬本紀」完結

「アサヒ芸能」で連載中だった「白鵬本紀」が10/20特大号で完結した。全72回の読み応えのある連載だった。この作品は作画は山崎享祐氏だったが、監修が白鵬自身(宮城野親方)だった。体重62kgでどの部屋からも拾われなかった挫折、熊ヶ谷親方(後の宮城野親方)の愛ある指導、先輩関取であった光法関(お金を持ち逃げした二代目光法は別人)の先を見る眼、同郷の龍皇との切磋琢磨、紗代子夫人との恋バナ。いずれも読んでいて胸が熱くなるピュアな物語だった。しかし中盤以降は、頂点を極めた者の懊悩の吐露だった。最多優勝、千勝など前人未到の記録尽くめで、もはや目標すらない。ケガや体力低下で思うような相撲が取れなくなり、張り手やカチ上げなどの取り口に「それでも横綱か?」という横審や相撲ファンからの非難轟々。黙して語れぬ現役力士として、作品の中で白鵬自身の独白としての思いが語られていた。そういう苦しい力士人生の終盤だったからか、後半の連載は駆け足気味だった印象だった。宮城野親方となった白鵬は、様々なテレビ番組に出て、明るく弁舌爽やかに語っている。現役時代と一転して、今や二所ノ関親方(稀勢の里)も凌ごうかという人気ぶりだ。『ようやく綱の重荷を下ろせたのだな』と観ていて実感する。最終話の最後の頁で語っているように「第二・第三の白鵬」目指して「未来への挑戦」を実現して欲しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?