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映画「残照のかなたに」試写会

映画「残照のかなたに」を試写会で鑑賞。長野県第三の都市・上田市が舞台。撮影はコロナ禍の最中、上田市丸子中央病院の全面的な協力で行われた。
 末期癌の老作家と踊りに夢中な看護師の物語。ショートムービーで41分の尺(25分に編集して海外映画祭に出品後に公開予定)。地元出身の直木賞作家ということで病院でも特別扱いの老作家。専任で付いた看護師は、死を前に覚悟が定まらない老作家に、自らの踊りで生きる情熱を伝える。しかし病状が悪化して昏睡状態に陥った老作家が目覚めた時に知った、思いもかけない現実。老いと若さがぶつかって散らす命の火花。予想もつかない急展開に胸を突かれた。人生みんなギリギリのところで生きているんだなと思う。だからこそ最後の最後まで精一杯生きる努力に意味がある。そして烏帽子岳を仰ぎ見る上田の街の美しさが、映画の最高のシルエットだった。
 話題豊富なキャスティングである。監督は俳優出身のジャッキー・ウー。鈴木紗理奈主演「キセキの葉書」などの秀作を送り出してきた。プライベートでは河野景子との交際で芸能界でも話題に。キャストには花田優一が起用されている。終末医療に誠心誠意で取り組む医師役を務める。親の血を引くさすがの男前。主演は昭和を代表するスター・林与一。大河ドラマや朝ドラでも活躍していた。一挙一動が映画全体のハブとなって、作品に深い味を出している。ヒロインには500人のオーディションから看護師役に選ばれた岩瀬あんな。病院屋上で踊る姿には鬼気迫るものがあった。舞台が上田市ということで、上田市観光大使の土屋貴子も出演。師長役で現場に厳しく接する凛々しい演技を見せた。何よりこの作品は三浦次朗の脚本が秀逸。老作家が書き終えた原稿用紙というエンディングシーン。作品の中にもう一つの作品が自己完結している仕掛けにホォーッと感嘆。

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