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姉小路祐「再雇用警察官 七色の行方不明」(徳間文庫)

姉小路祐「再雇用警察官 七色の行方不明」(徳間文庫)。電子書籍版はこちら↓
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 熱血刑事として鳴らした安治川信繁は定年退職を迎えて、大阪府警に新設された特異行方不明者か否かを認定する消息対応室に再雇用警察官として雇われた。給料半減、昇進ナシ、手柄もナシだが、面倒な組織のしがらみも無く、定年前よりも飄々と第二の人生を過ごしている。現役時代に培った幅広い人脈に、同僚の新月良美巡査部長や芝室長も頼りにしている。とぼけた関西弁だが、安治川の勘と読みは、いつも鋭い。行方不明者の捜索だけでなく、しばしば難事件を解決。テレビ東京で高橋英樹主演(ちょっとカッコよすぎるが)でドラマ化され、人気シリーズともなっている。本書は3つの章で構成されている。今回の安治川は、犯罪を秘匿して素知らぬ顔をしている輩たちを容赦なく暴いてみせる。安治川曰く「普通に生活している者が、ふいに雪の下のクレバスに嵌まることがある。カネや欲に駆られた結果として」。
1️⃣黄金の闇
・新月良美は、友人の糸川麻子から行方不明になった従兄弟の小谷章雄の相談を受けた。麻子は婚活パーティーで、章雄の友人である盛本裕三郎とバッタリ会ったが「自分は盛本ではない」と否定。冴えない起業者から、一点成功者となった盛本。ウィナーズトロフィーに群がる、ネット婚活に潜む覆面の正体は?
2️⃣紫の秘密
安治川は、京阪大学の大滝寺秀臣教授による市民開放土曜講座での源氏物語についての講演を聴講した。大滝寺によれば「消えた二帖目」があると言う。それは「桐壺」から「箒木」に移る過程であった。ところが大滝寺の弟子である助教の南山進一の元に「源氏 ニの巻」原本が届く。教授の座を争う過酷な修羅場。
3️⃣反転の白
大阪府警に赴任した超エリートの浜之江警務総務統括官。芝室長を呼び出して、消息対応室の功績を讃え、体制強化を宣言する。そんな折りに16歳の女子高校生・植原千晶が父親の失踪を相談に来る。安治川が調べた関係者からは、次々と隠された過去が明らかになる。殺人事件の時効制度を超えた恩讐の彼方。


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