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吉本浩二「定額制夫のこづかい万歳〜月額2万千円の金欠ライフ〜」VOL.1

吉本浩二「定額制夫のこづかい万歳〜月額2万千円の金欠ライフ〜」VOL.1(講談社)。
 毎月のお小遣いが20千円の漫画家・吉本浩二(45歳)が、少ない小遣いでいかにやりくりしているかを紹介。吉本浩二は酒も煙草もやらないが、お菓子が大好き。しかもお菓子以外でも、妻に家計と認められない支出は小遣いから支出も発生。以下、本人以外の近所の住民たちにも、吉本浩二と前後する金額の亭主たちが、いかにして有効な小遣い利用をしているかを、その独創的な手法とスーパーリアルな実例を挙げて紹介。例えば業務用スーパーで買いだめとか、LAWSONのPONTAポイントを貯めるとか、夫婦で使った小遣いの少なさを競うとか、弁当の手作りとか。節約の道は数多あり、その努力と成果が家計を助けて、自分自身の満足感と家族の幸せに貢献する姿を描いている。
 冒頭に出てくる新生銀行の統計によれば、男性会社員の小遣いの平均は、30代で36千円、40代で37千円とのこと。自分は20代の頃から90千円貰っていた。平社員時代に課長から「俺の小遣いより多い」と文句を言われたこともある。そう言えば係長になった時の、部下の班長の毎月のお小遣いは20千円だった。決してサラリーの高い会社ではなかったので、細君がどのようにその金額を捻出していたのか、考えたこともなかった。会社の同僚と飲みにばかり行って、本ばかり買って、それでも足りないくらいだった。足りない時は出してもらった。だからこの本を読んで『いったい自分はなんて生活を送ってきたのだろう』と思った。いかに家計が苦労していたかを、今になって知るという体たらく。出版社の社長を退いた後は、収入も大きく減ったので、自ら申し出て小遣いは半額にした。それでもこの漫画に登場する夫たちと比べると、まだまだ甘い。小遣いを使わないように努力することって、体重を減らすための禁欲とよく似ている。「貧すれば鈍す」とも言うが、本書を読む限り「足りない中にこそ幸あり」と読めるのである。
https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000339349

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