2023-24年イベリア半島周遊その5(グラナダ)
まだ日の昇らないうちにアルヘシラスを発ち、グラナダへ向かう。スペイン最南部とはいえ、冬の朝はなかなかに冷える。
途中のアンテケラ駅で乗り換え、計4時間ほどかけてグラナダに到着。早速中心街に向かう。
アルハンブラ宮殿については日本でチケットを予約済みだったが、指定の入場時間まで若干の時間があったため、一度宿に荷物を預けてグラナダ市街を散策することにした。
711年のウマイヤ朝による占領以降、約800年間にわたってグラナダはイスラーム勢力による支配下にあった。その影響もあってか、市街にはどこか中東の雰囲気をまとった路地が広がっている(この辺りは他のアンダルシアの都市も同様だろうが)。
時間がきたのでアルハンブラ宮殿に向かう。宮殿は丘の上にあり、ちょっとしたハイキングにちょうど良さそうだ。
メインのナスル宮殿入場までは時間の余裕があったので、先にそれ以外の建物を見て回ることにした。
アルカサバはアルハンブラ宮殿の建物の中で最も古い場所と言われており、現在のアルカサバはナスル朝のムハンマド1世によって築かれたとされる。城内にそびえるベラの塔には鐘があり、これをグラナダの町の未婚女性が鳴らすと、その年のうちに結婚できるという言い伝えがあるそうだ。筆者は日本在住の男性だが未婚ではあるので、とりあえず鳴らしておいた。
アルカサバの次はカルロス5世宮殿へ。スペイン王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)によって建てられた、王とその家族の生活のための宮殿で、円形の中庭が特徴的だ。アルハンブラ宮殿全体から見れば後付けの建物なので、外から見てもかなり目立つ。
メインのナスル宮殿入場までまだ時間があったので、しばらくカルロス5世宮殿の周辺を散歩してみた。スペイン屈指の観光地とあって続々と団体観光客が押し寄せてくるものの、不思議とせわしなさは感じなかった。
入場時間の13時が来た。いよいよナスル宮殿だ。ナスル朝(1232~1492)時代に王の居城として使用されていた宮殿で、アルハンブラ宮殿観光のハイライトとされている建物である。
至る所に水路が配された、極めて美しい景観が随所に広がっている。ラホールで訪れたシャーリマール庭園も水を重視した作りだったが、この辺りはムスリム文化の粋と言えるのかもしれない。
メスアール宮を抜け、いよいよナスル宮殿の中心部、コマレス宮に入る。アルハンブラ宮殿といえばこれ、という光景が目の前に広がる。美しいの一言に尽きる。
コマレス宮の次はライオン宮。ライオンの噴水がある中庭で有名だ。ここにも水路が配されており、涼しげな印象を与える。
ナスル宮殿を後にして、ヘネラリフェへ向かう。宮殿群のある場所とは少し離れた丘の斜面に位置するヘネラリフェは、王たちが余暇を楽しむ場所として建設されたようだ。こちらも水路を巧みに利用した景観が美しかったが、冬場とあって花があまり咲いていなかったのが残念だった。
再び市街地に降りて街歩きを続行。グラナダ大聖堂を覗いたり、モロッコ料理屋でお茶とクスクスをいただいたりしているうちに夕暮れの時間が近づいてきた。せっかくなので夕陽を見ようとアルバイシン地区を抜けて展望台をいくつか巡ってみることにした。
最初はサン・ニコラス広場へ。ここはアルハンブラ宮殿が一望できる場所として有名で、夕暮れ時ともなると人でごった返しており、なかなかゆっくりはしづらかった。
サン・ニコラス広場から更に丘を登ってサン・クリストバル展望台へ。こちらは比較的人が少なく、アンダルシアの平原に沈む夕陽を見ながらしゆっくりすることができた。
町に戻ってきた頃にはすっかり日も暮れていた。ちょうど腹も減ったので、バルをいくつか回ってみることにした。グラナダのバルは1杯頼むと無料のタパスがついてくるという習慣があり、店によって種類・量は様々だ。1軒目はまだ早い時間だったこともあってか、生ハム+チーズ+オリーブと簡単なものだった。
2軒目はBoabdilというバルへ。入店時は人もまばらだったが、しばらく飲んでいると次々と客がやってきて、あっという間に満席になった。
ここは大当たりで、サングリアを1杯頼むとちょっとした定食ぐらいの量のタパスが提供された。2杯も飲むともうお腹いっぱいだ。
本当はもっと色んなバルを覗いてみる予定だったが、すっかり満腹になってしまったので切り上げた。グラナダは、個人的なまた来たい町ランキングの中でもかなり上位につけた素晴らしい町だった。
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