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2023年印パ旅行記①(デリー編)

 悠久の歴史、豊かな文化、壮大な自然など様々な魅力を持ち、昔から日本人旅行者を魅了してきたインドは、同時にあらゆるトラブルのるつぼでもある。GoogleやYouTubeなどで「インド 詐欺」と検索すれば事例が山のようにヒットするし、インドで下痢をはじめとする病気に見舞われた旅人は数知れない。かくいう筆者も、インド旅行記やVlogなどを見るにつけて警戒心を募らせていた。しかしながら、以前の記事でも触れた通り、ワーガ国境のフラッグセレモニーの様子は筆者を強く惹き付けた。また、学生時代の度重なる中国一人旅や、2022年のマレーシア、カンボジア旅行など、これまでに積み上げてきた自分なりの旅行ノウハウの集大成としてはいい機会だと捉え、インド渡航を決断した。

 諸々の手配を済ませた筆者は、まずかねてからの計画通り2023年4月29日から友人たちとドバイに渡って王道の観光プランを謳歌、5月2日深夜に空港で友人たちと別れ、翌3日午前1時、デリーのインディラ・ガンディー国際空港に降り立った。

ドバイ最後の食事・シャワルマ

 事前の手配通り、空港ではホテルまでの送迎のためドライバー氏が待機してくれていた。彼のエスコートで空港の駐車場に向かう。正直何も手配していなかったらあっという間にボられ、初日からインドが大嫌いになっていただろう。今後インドへの渡航を考えている方は、初日の宿までの足は事前に確保しておくことをおすすめする。
 空港から車を走らせること15分、トラブルなく宿に到着した。が、ここで早くもインドの洗礼を受ける。ドライバー氏にチップを100Rs渡そうとしたところ、「お前のことを随分待ったのだからもっとくれ」と言うのだ。飛行機の到着時刻は前もって伝達していたし、遅延などもなかった(むしろ若干早めに着いた)のだが、ここで揉めても仕方がないので200Rs上乗せして渡した。下調べをした際の相場よりも高めではあったが、大した金額でもないし、もしかするとインフレが進んでいるのかもしれないと割り切った。インドに限らず、こういった割り切りスキルは意外と出番が多い。

 その後もホテルのエレベーターがスタッフさんのマスターキーでしか動かないなどのトラブルはあったものの、何とか部屋に辿り着き、眠ることができた。翌朝から早速デリー観光を開始するチャーター車の迎えに来る時間を1時間間違えていたので朝食は食べられなかった

 最初に向かったのはクトゥブ・ミナール。インド最古のミナレットで、72.5mもの高さを誇るインド最大の塔でもある。

クトゥブ・ミナール。奴隷王朝の創始者・アイバクによる建造とされる。
アラーイー・ミナール。クトゥブ・ミナールより大きな塔を目指して建設されたが、未完に終わっている。
都市伝説好き必見の錆びない鉄柱。サンスクリット語の碑文が刻まれている。
クトゥブ・ミナールやその他の建造物は、もともとここにあったヒンドゥー教寺院などの石材で造られているため、ヒンドゥー様式の痕跡が随所に見られる。

 クトゥブ・ミナールの次はフマーユーン廟へ。ムガル帝国第2代皇帝フマーユーンの廟であり、ムガル様式の始祖ともいえる建物である。

赤い砂岩を基調とした美しい見た目。
どの方角から見てもシンメトリーになっている。
フマーユーン廟への入り口の途中にあるイサ・カーン廟。フマーユーン廟よりも古い。
「ここから写真撮るとええで」と墓守のおじいさんに勧められるがままに撮影。
しっかりチップを要求された

 この後は、ミッタル・ティーで紅茶を買ったり、カリームズ・ホテルでチキンシチューをいただいたりとインドの食を満喫し、午後イチでラール・キラー(赤い城)へ向かう。

ザ・インド的光景。カリームズ・ホテルはこの近くにあるが、非常にわかりづらいので周囲の人への聞き込み必須。
チキンシチューとロティ。日本のインドカレーよりも油分がかなり多めだがうまい。
Civ5でおなじみの赤い城。
内謁殿ディワーニー・カース(左の建物)

 敷地内の博物館で通り雨をやり過ごし、マハトマ・ガンディーが火葬された場所である、ラージ・ガートへ向かう。

ラージ・ガート。敷地内は土足厳禁で、入り口で靴を預かってもらうシステム。
この時はチップを払おうとしたら受取拒否されたが、一応用意しておいた方が無難。
ホー・チー・ミンによる植樹。この他ティトーによる植樹もあり、冷戦期のインド外交を想起させる。

 ラージ・ガートの後は国立博物館を見学。仏像や各種石像のコレクションには一見の価値あり。

オーディオガイドも貸し出している。

 夕方頃、ホテルに戻りドライバー氏と別れる。今回車チャーターを依頼したシゲタトラベルさんによると、この日のデリーは10年に1度の冷夏だったそうだ。確かに聞いていたよりは冷涼で、途中雨は降ったものの概して快適な気候であった。

今回の宿があるデリーエアロシティ。洗練されたインドらしからぬ空間。
でも野良犬はいる。
夕食はフードコートでビリヤニ。間違えてフルサイズを注文してしまい、フードバトルが始まっている。

 デリーは思っていたよりも難しい町ではなかった。声をかけてくるリキシャの客引きは「No」と強めに言えば深追いしてこないし、腹も壊さなかった。もちろん、今回はチャンドニー・チョウクやインド門のような多くの人が集まる場所にはあまり行かず、移動も車をチャーターしたため、「本当のデリー」に遭遇しなかっただけかもしれない。ただ、丁寧に準備をしておけば(金はかかるものの)安心して旅のできる町であることは間違いないだろう。なんにせよ、無事に1日を終えた筆者は、翌日から始まる更なる冒険に心を躍らせながら眠りにつくのであった。

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