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出島

 女川町の離島である出島と本土とを結ぶ橋のアーチ部分をクレーンで吊り上げて、設置し、接続する作業が、数日に渡ってニュース番組で報じられており、やっとか、と私は安心した。一日三便のフェリー以外アクセス手段がなかったからだ。
 東日本大震災が起きるまで母の実家が建っていた。船着場を出て少し歩いた坂道沿いに集落があって、お盆には、家族揃って遊びに行った。二階の窓を開けると潮風が入ってきて綺麗な海の眺めが広がる。ただ島には病院がない。なので当時暮らしていた曽祖母、祖父母が体調を崩さないか不安だった。現在は町の内陸のマンションに引っ越したので大丈夫だが、急患時は、救急車を呼べず、ヘリで小学校の校庭から搬送される形で運び込まれるのに時間がかかるのを聞いていた。車が通れるのならば問題点は解消されるし、震災以降、一度として訪れることなくSNSで復興の様子を見るぐらいだったため開通したら久々に出掛けるようかと思う。

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