国葬と円安、あるいは統一教会

いま、話題になっていることは二つ、あるいは三つ。(もっとあるかもしれないが。)
 安倍の国葬(これには統一教会が関係している)と円安。この問題を考えるとき、どうにも納得がいかないのが、経済界の反応である。たとえば、トヨタの会長は、どう思っている?
 というのも、というのは奇妙な言い方だが、まず国葬の方だが。
 国葬の案内が連合の会長や宮本亜門にも届いている。連合の会長が「労働者の代表として出席する」と言っているらしいが、労働者を招くなら、資本家(経営者)も招くのではないのか。宮本亜門は文化人なのか、芸能人なのかわからないが、そういう人を招くなら、もっと多くの「タレント(才能のある人、という意味)」にも案内が届いているかもしれない。当然、経済界の重鎮にも案内が届いているだろうと私は想像する。しかし、だれかが「私は出席する(参列する)」「欠席する」とは明言していないようだ。私はテレビを見ないし、情報源は限られているが、私の読んだ限りでは、そういうニュースはない。
 どうなっている? 経済界は。経済界は国葬を、どう思っている? 職場での黙祷のようなものは求めないと言っているが、各企業の方針は? 企業は、どうするのか。

こんなことを思うのも、他方に「円安」があるからである。今回の「円安」はロシアのウクライナ侵攻が原因のようにも見えるが、それだけではないだろう。ずーっと、円安を誘導してきた安倍の責任もあるだろう。そして、それに甘えてきた経済界にも大きな責任があるだろう。
 円高が進むと、輸出が難しくなる。円安だと日本の製品を売りやすくなる。つまり、輸出企業がもうかる。その「円安構造」に企業は甘え続けてきたのではないのか。「いま、もうかっているから、それでいい」という企業の姿勢に問題はなかったか。
 たとえ円高でも、企業が魅力的な製品をつくれば、それは売れる。iphoneが売れ続けているように。ソニーがウォークマンで世界を席巻したときのように、たとえばiphoneではなく「sphone」を開発していたとしたら、それがどんなに高くても売れただろう。トヨタが世界最新鋭の電気自動車を発売していたら、それは売れただろう。円高であっても(どんなに金を払っても)消費者が買いたいと欲するもの開発せず、円安に頼って製品を売ってきた。「安いから売れる」にあぐらをかいてきた。そのつけが、いま、日本を覆っている。魅力的な商品(売るもの)がないから、円安がさらに進んでいるのだ。売るもの(売れるもの)があれば、世界中が日本の商品を買う。どうしたって円高になる。それが起きない状況になっている。
 しかも、日本の企業は、円安で得た利益を労働者に還元せず、内部保留につとめている。国民は低賃金のまま。だから、突然の物価高(円安が原因)に、多くの国民が悲鳴を上げている。もし、企業が内部保留のかわりに労働者の賃金を上げていれば(たとえば、いまの給料が二倍だったら)、どうなったか。国民の生活に余裕があるから、一時期、突発的に物価が上昇しても、それに対応できるのではないか。(トヨタは、この春、いち早く「円安、物価高」を見越して、春闘で賃上げをしている。物価が上がった、賃金を上げろ、という要求が起きるのがわかっていて、すでに、春闘で賃上げしている、と答えるための「伏線」だったのだ。)

いま起きている、経済的困難、物価高と円安が安倍の政策の延長線上にあるとき、その安倍の政策のために大儲けをし、いま逆に苦しんでいる(原料や燃料の高騰に苦しんでいる)企業は、安倍政権の総決算とも言うべき「国葬」に対して、どういう態度をとるのか、それを明確にしないといけない。
 国会議員や地方自治体議員と統一教会の癒着が問題になってるが、経済界もどこかで「癒着」していないか。「癒着」があるために、何も発言できないのではないのか。自民党に政治献金をしている企業(自民党を支えている企業)が、「統一教会問題を解決しないなら、今後、献金はしない」という決定をすると、それだけでも政治は変わるだろう。
 なぜ、それをしないのか。
 企業そのものが統一教会と癒着しているからではないのか。癒着がわかれば、商品購入ボイコット、というようなことも起きるかもしれない。それを恐れて、いま、沈黙しているのではないのか。
 私は、そのことを疑っている。

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