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『 19のMerry Christmas! 』

ショーコと僕のテーマは、

ふたりは、映画の主人公。

会うときは、駅のホームでも抱きついてきて、

僕がクルッとまわす。(ショーコは華奢で149cmしかなかった)

渋谷のスクランブル交差点では、肩車をして渡った。

いろんな人が、けげんな顔で見たが

僕たちは、一切気にしなかった。

なぜなら、ふたりは映画の主人公なのだから。

いつもは、午後7時が門限のショーコの家なのだが、

クリスマス・イブの日だけは、終電で帰ればいいことにしてくれた。

12月に入ると、僕は時間を見つけては、

いろんな百貨店などを周り、ショーコへの

プレゼント🎁を探した。

半月くらいかけて、やっと決まった。

ジャン・ポール・ゴルチエの

真っ赤な、クロコダイル型押しの皮バッグ。

当日は、代官山辺りを散歩したり、

ジャック&ベティー(通称 ジャクベ)に行ったり

(ふたりの好きな、カフェテリアだった。)

あとは、僕の好きな古着で、恵比寿にある

マダム・シンデレラや、広尾にある、プチ・ヴォーグなどに付き合ってくれた。

時間はあっという間に経ってしまい、

西武新宿駅を午後11:30くらいの電車に乗って、

ショーコを送ることにした。

できるだけ、長く一緒にいようと各駅停車に乗った。

鷺ノ宮駅で、急行待ちになり、10分ほど停車した。

そのとき、12:00を知らせるチャイムが鳴った。

僕は、ショーコの手をひいて

ホームの端まで走り、カバンの中から

クラッカーを取り出した。

ふたりで、クラッカーをいくつも鳴らし

パン!パン!パン!パン!

Merry Christmas!!

happy Christmas!!と叫んだ。

そして、今思えば恥ずかしいが

「ショーコ大好き!」

「ヤッちゃん 大好き!」などと

夜空に向かって、クラッカーを鳴らしながら叫んだりした。

まもなく、発車のベルが鳴り、急いでふたりは電車に戻った。

その車両は、他に乗客はいなかった。

僕とショーコは、残りのクラッカーを

電車の中でも鳴らした。

パン!パン!パン!

誰もいない、その車両にクラッカーの音が響いた。

(今だったら、動画に撮られYouTubeにアップされて、炎上していたのだろう。)

一番後ろの車両で、となりには、車掌さんはいただろうけど

何も言われなかった。(もちろん、クラッカーのゴミは全部片付けた)

あまりに嬉しそうだったし、せっかくのクリスマスだから見逃してくれたのかな。

そして、電車の中で、ショーコにプレゼントを渡した。

(僕は何をもらったのか忘れてしまった。)

すごく喜んでくれて、その場で

バッグを持ってくれた。ポーズつきで。(笑)

僕が言うのもなんだが、とても良く似合っていて嬉しかった。

こうして、武蔵砂川駅まで送り、

僕たちのXmasは、

Happy Merry Christmasとなったのだった。

1987年12月24日

それが、僕とショーコの、19歳の 

Merry Xmasだった。

つづく。

Xmasっぽい服なので、載せました。








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