見出し画像

私の光る君へ〜大河「光る君へ」第19回放たれた矢〜雑感(見逃した方もどうぞ)

 (まだ)995年、内覧宣下の1か月後に、道長(柄本佑)は右大臣・事実上の最高位となる。一条帝(塩野瑛久)に、関白への真意を問われ、「陣定に出ない、関白にはならず…私は公卿たちの顔を見て、声を聴き、共に考えたい」と。「今までの関白とは異なる道を行くのだな」と確認され、「異なる道を歩みます」と凛として答える。タイトル。
 
 まひろ(吉高由里子)は白居易『新楽府』を写し、乳母のいと(信川清順)が、「そんなことより婿を」と言うところに、肥前のさわ(野村真純)から「婿を取った」という便り。
 
 内裏では、道長が、蔵人頭・源俊賢(本田大輔)から、帝の【伯耆国と石見国の租税免除】の提案を聴く。「民を思ってこその帝だ❢」と、即賛成。俊賢と同役の藤原斉信(金田哲)が「私は不承知です、陣定は大荒れになりましょう。」と言う。俊賢は道長の義兄、斉信は友人、こういう場での位を重んじた言葉遣いは、貴族の証明。
 そして、陣定。公任(町田啓太)、道綱(上地雄輔)、実資(秋山竜次)、顕光(宮川一朗太)など、賛成。隆家(竜星涼)ともうひとり保留。伊周(三浦翔平)だけが「この儀よろしからず」。伊周の意見にも一理あるようだが、誰も同調しない。会議終了後。道綱、隆家、公任が席に残る中、伊周は「父(道隆)と叔父上(道兼)を呪詛したのは、右大臣(道長)であろう……」と、道長に掴みかかるが、いなされてしまう。

 土御門邸。道長が除目の素案を練るところへ、姉、皇太后詮子(吉田羊)が口出し、道長は聞かない。「いいわ、帝にお頼みするから」、こんな羊さんにほっとする。
 内裏で、実資「陣定の後にそんな面白いことがあったのか⁈」道綱「いや…内大臣様(伊周)があまりに無様で…」のユーモアコンビの笑えない話。道綱には伊周は甥だが、こういう風に呼ぶのが貴族。これ以降、伊周・隆家が参内しない…。
 
 久しぶり、F4飲み会。
 道長に、公任は「参議のままでいい」と言い、斉信は「参議になりたい」と言う。道長はこれに「今回は許せ、先に源俊賢(本田大輔)を」と回答(すぐわかる)。道長より公卿の履歴の長い公任は、貴族たちの動向を探る為に、能筆で女子に人気のある、行成(渡辺大知)に情報収集を頼め、とアドバイス。行成は道長の為ならと承諾。イヤー、本当だったら(素敵だし)、この飲み会を、日本史の教科書に載せなきゃという、凄いメンバーの凄い会。
 
 昇格の礼に来た俊賢が、道長に「これへ」と言われて、前進する…アレ⁈と瞬時に…俊賢、伊周の前(横に隆家もいる…)に出て、「帝もご心配なさっているから、参内を」と、促す。罠なのか⁈と思う人もいると思うが、まだ事件前。俊賢さんが中関白兄弟を終生心配したのは、どうやら史実らしい。素直に見ておきましょう。【『大鏡』には〔道長と隆家〕のepが遺されていて、道長も二人への気遣いがあったと思われます。】

 今回のほっとする場面は、土御門邸での、倫子(黒木華)と母(石野真子)の会話。母が「今日は、大臣の妻の心得…丈夫であること、子供の心配などさせぬこと…」と言って、倫子が「そんなに大変そうに見えませんが…」と答え、「お前の父上(故左大臣・益岡徹)なんか…頭に小さな禿を作ってたわよ」。
 石野さんの声にかぶるように、空席の伊周と隆家の席を気にしている、道長の横顔のアップ。やっと、伊周と隆家が来て、まずは一安心。議題は「若狭に宋人70名来訪」。

 10年任官の無い、まひろの父・為時(岸谷五朗)が、申文(任官願)を書き、それでも諦めモード全開。
 まひろに会いに、ききょう・清少納言(ウイカ)が来て、道長が頑張っていること、若狭に来た宋人70人が、設備のある越前に移されたこと、などを語る。
   まひろは「科挙」について熱く語り、ききょうに「そんなことは殿方に任せておけばいい…私は中宮様にお仕えできれば幸せ…」と返され、「ききょうさまが魅せられる中宮様にお目にかかりたい」と言ってしまう。二人のやり取り。ここから先は、あれよあれよの、急展開。
 
 宮中の廊下を十二単で歩む、ききょうとまひろ(十二単どこで借りたの⁈)。画びょうを踏むまひろ。「御所では、こんなことは毎日の事…私の足の裏は傷だらけ…でも私は、中宮様が楽しそうにお笑いになる、お声を聴けば、嫌なことは吹き飛んでしまいますの…」と、聞こえよがしに言うききょう。
 強いぞ❢ききょう❢それでこそ、清少納言様❢あなたが、定子様の晩年に寄り添って下さったことに、千三十年の彼方から御礼を言いたくなりました(泣)。【画びょうは源氏物語・桐壺の巻、投影】
 定子に会えたと思ったら、帝❢が来て、定子に「会いたくなってしまった」と、二人で❢真昼間に❢大殿籠り❢(ここら辺、古書のepの詰め込み)
 
 いきなり帝に会えたまひろ。「科挙」制度のような「夢」を話し、帝は「そなたの夢覚えておこう」とおっしゃる。
 帝が「その方、『新楽府』を読んでいるのか⁈」と問われ、訓読したのが、次の漢詩後半。帝も『新楽府』を読んでいらっしゃったわけです。
「澗底松」 白居易                          貂蟬與牛衣 貂蝉と牛衣と(りっぱな冠の貴族と粗末な衣の牛飼いと)以下略
高下雖有殊 高下殊なる有りと雖も
高者未必賢 高者未だ必ずしも賢ならず
下者未必愚 下者未だ必ずしも愚ならず

 道長は、帝から「まひろという面白い女子に会っ…あれが男なら、登用したいと思った」と聞き、慌てて申文の山から、為時の申文を探す。
 即、場面変わって、為時は、「正六位上」から「従五位下」へ。勅使は「右大臣様からのご推挙」と言う。赤い束帯がない…借りに走るまひろ。
 翌日、為時は道長のもとへ、叙爵の礼に。「悲田院でお助けいただいた娘も息災にしております。」とダメ押しは、為時パパにしては上出来です。

 ラストは長徳の変の始まり。
 藤原斉信には、歴史を揺るがす妹が三人いる。花山院の退位の元・亡き女御・よしこ。今、伊周とよい仲の、光子(三の君)。最近、花山院が忍んできている、たけこ(四の君)。
 光子のところに来た、伊周が、立派な牛車を見て、光子に裏切られたと勘違い。実はたけこの所に忍んできていた、花山院の牛車。弟・隆家が矢を射かけてしまう。
【私の推活・隆家、この時16歳。やんちゃ盛り。長い目で見て下さい。】
※隆家目線で楽しみたい方は、葉室麟・著・刀伊入寇(藤原隆家の闘い)をお勧めします。テレビとWで楽しめます💛

 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?