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私の光る君へ〜大河「光る君へ」28話・一帝二后・雑感〜見逃した方もどうぞ

 新米母まひろ(吉高由里子)は、乳母(平山咲彩)に教わって、おむつ替え。
 やってきた弟の惟規(高杉真宙)は、姪の顔を覗き込み、「おでこのあたりが宣孝様(佐々木蔵之介)に似てるね。ああこの辺りも、耳とかも」。
 「もうやめて」とまひろ。惟規は「だって、女子は父親に似るっていうから」と言い訳…?まひろの顔を見て「無理してないよ、別に」と。どこか意味ありげな惟規の言動.。
 【女児の父親については、家庭内では公然の秘密⁈の場面】

~タイトル

 娘の彰子(見上愛)を中宮に、定子(高畑充希)を皇后にし「一帝二后」を、(国家安寧の為⁈)実現したい道長は、姉・皇太后・詮子(吉田羊)に相談。詮子は「凄いことを考えるのね…いいんじゃない」と、帝に文も書くが、「私の文くらいで、帝がうんというかどうか…」と尾を引く母子離反。
 文を届けた蔵人頭・行成(渡辺大知)は、一条帝(塩野瑛久)に「そなたの考えは」と聞かれ、言葉が出ない。帝は「朕の后は定子一人」と強く言う。
 待っていた道長に、行成は「お考え下さるご様子で」と和らげて伝える。
三蹟・藤原行成という、高雅な役に配された渡辺大知の、人格としても三蹟にふさわしい演技に魅了される今回】
 
 内裏の藤壺、赤染衛門(凰稀かなめ)が彰子に和歌の講義中。彰子は、相変わらず、ぼーっ。
 そこへ、帝が(お得意の)笛を懐においであそばす。
「今日は寒いの」「はい」「暖かくしてすごせよ」「はい」「今日はそなたに朕の笛を聴かせたい」「はい」♪~「そなたはなぜ朕を見ないのだ?…こちらを向いて聴いておくれ」
 首を傾げたままの彰子に、赤染衛門が返事を促す。
「笛は聴くもので、見るものではございませぬ」
「これはやられてしまったな」
「彰子、そなたは中宮になりたいのか」「仰せのままに」
「左大臣はそなたが中宮になることを望んでいる、そなたはどうなのだ」「仰せのままに」
「誰の仰せなのか」「仰せのままに」
 赤染衛門のはらはら~がっくり〜の顔の演技が、ここでは大事。
【アキコちゃんバカではない❢下手なことを言わず、主語を言わないことで、答えを相手に委ねることのできる、日本語。うまく使った❢】

 
 前場面にかぶせる様に、帝が行成にぼやく場面。
「彰子には己と言うものがない、少し可哀そうになった。朕も女院様の言いなりに育った故、わが身を見るような心持ちになった。朕にとって愛しき女子は、定子だけである。されど彰子を、形の上で后にしてやっても良いのやも知れぬ。朕も、左大臣と争うのはつらい故。」
 行成、すぐに道長に報告。道長、行成の手をぐっと握り感謝を述べ、
「そなたの立身はこのおれが。そなたの子らの立身は俺の子らが請け負う。」そのまま行成の腕の中に倒れこむ道長。「誰も呼ぶな、大事ない。」

 雪降る中、漢文を唱えながら、女児を寝付かせようとしている、まひろ。赤子の名は、宇佐へ奉幣使の役目で下った、宣孝(佐々木蔵之介)が戻って、付けるらしい。それなりの幸せの風景。

 年明けて1000年。彰子立后の日取りを清明に尋ねる道長。すでに「二月二十五日」と決まっているという晴明。日記を書くようになった道長。

 行成に、彰子立后をまだ公にしないでくれ、定子が傷つくのがつらいと、告げる帝。
 ここから、ふと後世の平家物語の一節を聴くような哀調があるのは、ダイチ君が歌手でもあるからか?
「御上は御上…一天万乗の君が下々と同様に妻を想ってはいけない…大原野神社の祭祀は、代々藤原氏の皇后の務め…中宮様の御出家…なすべき神事をなさぬのは神への非礼…天災の数々…左大臣もその為に姫を奉った…彰子様を中宮に…今は神事を第一に…何もかもわかっておいで…お覚悟をお決め下さいませ。」
【最高敬語の尊敬・謙譲、の大量の羅列を省略。それらを含めて、情緒豊かに、涙を浮かべて懇願する、渡辺大知の深い教養に感服。】
〈ナレーション:帝は承諾。前代未聞の「一帝二后」に、公卿たち反発せず、ご意見番・実資も異を唱えず。〉実資(秋山竜次)アップ(笑)


 宣孝が宇佐から帰る。赤子を上手に抱いて「賢子・カタコ」と名付ける。
 宣孝は道長に、馬を2頭献上。「最近、初めての娘の父となり、可愛い」と報告。道長は「いよいよ仕事に精を出さねばな。」と、気づいていない〜疲労の色の濃い道長の横顔~でもえっ⁈。
 
 立后の為、彰子が内裏から退出。帝はすぐに、定子を内裏に入れる。女房達の凄い陰口。
 「一帝二后」を、定子にわびる帝。
 「私も家の為に、入内した身。彰子様も同じ。彰子様とご一緒の時は、私の事はお考えにならないでください。」と、帝に頼む定子。
 彼女は、この時懐妊し、悲しい別れに。

 立后の儀、藤原実資の祝詞が心地よく響く。彰子は相変わらず、というか、悲しそうでもある。母・倫子はほっと安心かな…素晴らしい衣装。【展示してください】

 道長は、第二夫人・高松殿・源明子(瀧内公美)の邸にいる。教育ママの明子が息子たちに漢文を暗唱させたり、売り込みが凄い。
 道長は疲れていると、帰ろうとして、倒れてしまう。 そのまま危篤.。嫡妻・源倫子(黒木華)が駆けつけ、明子に挨拶もせず、道長に駆け寄り、明子が握っていた道長の手を奪い「お世話になります」って❢ 一瞬、苦々しい表情で倫子を見る明子。 明子が「薬師の話では…」倫子はそれは聞かずに「うちでお倒れになればよいのに」「どうぞ<我が夫>を、こちらで看病願いますね」と話す。
【この二人、結婚の時期もほぼ同じ。身分も差はなく、その時の境遇の差で、倫子が嫡妻となった。それよりお揃いの衣装の説明、どこかにある⁈】

 道長危篤は、内裏をざわつかせている。
 宣孝は、まひろに、道長危篤を伝える。祈るまひろ。
 光の精霊となり、「戻って来て」と伝えに行ったか⁈「まひろ」と呼んで目覚める道長。聞こえたのか?聞こえなかったか?「明子でございます。ようございました。」と泣き伏す明子。
 土御門邸に戻る道長、顔色は良くない。

 定子は、三度目の懐妊。
 食が細くなり、体も弱っていくような定子に、清少納言(ウイカ)は、あおざし、というお菓子を食べさせている。
 みな人の 花や蝶やと いそぐ日も わが心をば 君ぞ知りける  定子
【『枕草子」5月5日の話。二人の友情は、千年後も語られることに。】

 師走。定子、第二皇女・媄子内親王出産直後に死去。
 兄・伊周は、亡きがらを抱きしめて、声を放って泣き、左大臣道長を呪う言葉をはく。
 皇后の御几帳に結び付けられていたという、歌三首。
よもすがら契りしことを忘れずは恋ひん涙の色ぞゆかしき      
知る人もなき別れ路に今はとて心細くも急ぎたつかな    
煙とも雲ともならぬ身なりとも草葉の露をそれとながめよ

 三首目によって、皇后が土葬を望んだことがわかる、とされる。
帝の挽歌  
野辺までに心ばかりは通へどもわが行幸とも知らずやあるらん  

 帝の泣き声。道長の呆然とした顔。
 賢子を中心に、わきあいあいの宣孝・まひろ夫妻の団欒で「つづく」。
 道長に、藤原の氏の長者の荷が、いよいよ重くのしかかるだろう。

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