見出し画像

私の光る君へ〜大河『光る君へ』第21話旅立ち〜雑感(見逃した方もどうぞ)

 今回は『枕草子』成立秘話。大変美しい、情趣に満ち、清少納言(ファーストサマーウイカ)の心に泣く、傑作です。ぜひ、御覧ください。
 21話全体は、記録に沿いつつ、登場人物の有様がそうであろう、そうであってほしい、現実感に満ちて、魅力的です。
 
 996年5月1日。検非違使たちが、伊周(三浦翔平)捕縛の為、土足で二条邸に踏み込む。定子(高畑充希)は、混乱し髪を切る。(平安女性の出家姿は「尼削ぎ」というセミロング。)
 前栽から飛び出しそうな清少納言を、まひろ(吉高由里子)は懸命に止める。
 一条帝(塩野瑛久)に、中宮断髪を報告し詫びる、検非違使別当・実資(秋山竜次)。
 定子の行動に帝は「伊周と……中宮も同罪」と言いながら、実資と行成(渡辺大知)が下がり、道長(柄本佑)だけになると、「中宮はもう朕には会わぬ覚悟か」と、号泣なさる。
 敢えて事件を厳しく扱おうとする、帝の真意を、垣間見た、道長のアップ。タイトル。

 為時(岸谷五朗)の邸。まひろに、宣孝(佐々木蔵之介)は「この件で得をするのは右大臣」「これは右大臣と女院の謀」と、今に続く噂話をする。
 そこへ為時が、挨拶回りから帰宅。どこも中宮出家でもちきりとか。装束がバリッとしてるのは「右大臣様から、お手当てが出た」おかげ。
【蛇足ながら、天皇は神職の最高位者で、皇后も神に仕える務めがある。出家=仏教はご法度。平安人は、我々よりかなり信心深い。】

 二条邸。定子の所へ、清少納言が再び出仕してくる。「(出仕は)ならぬ。私は生きながら死んだ身である。」と定子に言われても、「私は、命ある限り、おそばにおります。」と、涙で訴えるウイカ少納言

 藤原実資邸。妻の婉子女王(真凛)は「罪人の捜索など、あなたの仕事ではない」と言うが、実資は「伊周を捕えなければ、検非違使別当も辞められない」。二人の演技で笑いを誘いつつ、実資の真面目で責任感のある性格も出している。(若くて可愛い女王を後妻にもらえる程、実資自身由緒正しく、お金持ち。)

 5月4日。出家した伊周が、二条邸にいるという話があり、(定子がいるので)帝の許しを得て踏み込む。出家は偽装で、大宰府には行かないと駄々をこねる伊周に「私も共に参ります。」と母・貴子(板谷由夏)。
 牛車の中で「お前に多くを背負わせた」と、伊周に言う貴子。
【君かたりで、板谷さんが言う通り、ここで言ってはいけないよ…母上】

 5月5日。「直ちに引き離せ。」と帝の命が下り、道長と実資が追いついて引き離す。泣き叫ぶ母子。
【5月15日、伊周は播磨、隆家は但馬に留め置く勅が出されているが、ドラマはそれは描かなかった。】   

 6月9日。二条邸の中宮御所が焼亡。「私はここで死ぬ」と 動かない定子を、清少納言が「お腹のお子の為に生きなければ」と、必死で連れ出す。   

 7月20日。道長は正二位、左大臣に。実資は中納言となり、検非違使別当は免じられる。
 名実ともに「最高位」に出世したのに、「浮かないお顔」の道長に、実資はそのままを言う。「そんな顔はしていない」という道長に、「気のせい、気のせい」と繰り返して実資は去る。位では測れない、二人の人間関係、実資の生き様を覗かせる場面である。

 秋の気配。
 定子が出家してしまったので、次のお妃探しが始まる。
 弟・道長から、姫君たちの名を聞いて「良いではないの❢」と喜ぶ皇太后詮子(吉田羊)に、道長の妻・倫子(黒木華)は「女院様があまりにお元気になられて……あの呪詛は誠に不思議でしたね。殿と女院様の父上は、仮病がお得意であられたとか、うふふふふ」と言っちゃう❢
 〈やめてくれ❢ここで❢それいう❢~〉の柄本・道長の驚愕の顔が凄い。

 出発間際のまひろ(吉高由里子)の所へ、清少納言=ききょうが来ている。ききょうは、懐妊中で食欲もなく元気などない、中宮定子をどうしたら元気づけられるか、悩んでいる。
 清少納言は、伊周が献上した素晴らしい紙を冊子の状態で、中宮から頂いて持っている。『枕草子』の名の由来となる「枕にこそ侍れ」の話に続き、
まひろの提案、「帝が司馬遷の史記を写させるなら、ききょう様は季節の四季をお書きなさいませ。」

 春はあけぼの……夏は夜……秋は夕暮れ……。
 美しい画像が重なり、ウイカ納言の文字も美しい。(自筆だそうです(-_-;)
【たった一人の悲しき中宮の為に枕草子は書き始められた】ナレーションに号泣。

 
 為時出立の日が迫る。為時に、道長は指令を言い渡す。
 「越前は都に近く、乗り込む足がかりになるやも…交易を認めることはできぬ。突然70人で大挙して、若狭に現れるなど、普通の商人とは思えぬ。官人かもしれず、軍人かもしれぬ。開かれた港は、博多の津のみ、と了見させ、穏便に宋に返せ。」
 「知恵の限りを尽くし、その任に当たります」と答えたものの、いい人の為時は、すっかり肩の荷が重い。 

 いよいよ、出発前日の雰囲気。
 宣孝が、為時を励ますために「(国守は)懐を肥やす、楽な仕事」と繰り返す。まひろは「父がそういう人でないことをご存じのくせに」と抗議すると、宣孝はどこか嬉しそうに詫びる。二人の気の知れた感じが、結婚に繫がるのかな…。
 越前に行ったら、「宋人の良き殿御を見つけ、宋に渡ってしまうやも」と言うまひろに、「もうお前に叱られないかと思うと、寂しい気もする」という佐々木・宣孝の目に、まひろがアレっと思うところへ、まひろの弟・惟規(高杉真宙)が現れ、やっと文章生に受かったと報告。いと(信川清順)は、「若様のお世話の為に、都に残る」と、為時に伝える。

 夜、まひろは文を書き、六条荒邸で(エッ⁇)道長と会い、父任官の礼を言う。まひろは「中宮様を追い詰めたのは道長様ですか」と尋ね、「そうだ」と答える道長に「そういう方ではない、とわかっていたのに…」と詫びる。そして、この10年お互いに忘れたことはない❢と言い合う。Webでは評判のラブシーンですが、私としては「越前で生まれ変わる」という、まひろを信じたいのですが、これは違いそうです。(ナンダァ~)

 琵琶を弾きながら、琵琶湖を渡り、峠を越えると、そこは越前。
 真面目な為時は、松原客館にまっ先に出向く。
 次回は、異文化交流。
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?