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世界は自分の映し鏡

とはよくいったもので。


自分が世界に対して取る態度が、ほとんどそのまま跳ね返ってくるようだ。


自分は諸々の理由で、この5月か6月には一旦、日本に戻らないといけない。


がしかし、一時的な情勢の関係で、一度ハンガリーを出てしまうと、当分はここに戻ってくることはできない(一時的に、外国人の入境ができなくなっている)。


問題は、自分はこの街と、借りているアパートを気に入っているので、願わくばヨーロッパの拠点をここに残して置きたいし、今後二拠点生活をするのであれば、少なくともヨーロッパの拠点としてこの地を使うことになる、と心算していたことだ。


これが、今回の世界情勢の関係で、当面の間戻ってくるのが難しく、今後の世界の動きの見通しも、あまり立っていない。


最悪のプラン(出口戦略)は、今借りているアパートを退去して、一旦完全に日本に戻ることだ(幸い、仕事面と経済面で困ってはいない)。


が、このタイミングで完全にここから足を出してしまうと、戻ってくる理由もないので、これっきりになってしまうかもしれない。


何より、今世の中の経済も回らなくなっている中で、アパートを貸してもらっている大家さんも、ローンもあるかもしれないし、キャッシュフローの問題もあるかもしれないから、自分としても、今借りているアパートを借りっぱなしにしておくのが、お互いにメリットがあるのではないか、と考えていた。


まあ、最悪、当面ヨーロッパに戻って来れなくなったとしても、室内に最小限の備品だけ残しておいて、大家さんに退去の旨を伝えれば、入居時に渡した2ヶ月分のデポジット(敷金みたいなもの)が返ってこないだけなので、自分自身にそこまで多くの負担があるわけでもない、という考えだ。


ただ問題は、当分ヨーロッパに戻れないとして、その間の家賃をどうやって払うか、である。


ちょうど契約更新の時期なので大家さんといろいろと話していたのだけれど、元々契約書には「指定日を超えたら、ペナルティを加えて支払う必要がある」と書かれている。


なので、仮に当分戻れないとして、一旦日本に戻る前に数ヶ月の家賃を払って、それからまた、日本からTransferWiseでも使って数ヶ月分の家賃を送金すればいいや、と思っていた(これが最悪のシナリオ)。



というわけで、契約更新の旨と家賃支払いの点についてそう伝えたのだが、大家さんは支払いについて「We can discuss. 」と。


どうやら、こういう状況を鑑みて、日本から戻ってきてくれた時に、まとめて払ってくれれば特に問題ない、ということなのだ(問題は、いつ戻ってこられるかが分からないことと、数ヶ月分の家賃をキャッシュで払うとなると、札束の数と厚さがどえらいことになる、という点だが)。



自分も、いちおう経済界に片足を突っ込んで、仕事をしながら世の中を回すことに申し訳程度に関わっていることも考えると、さすがに今回の対応にはグッとくるものがあり、少し理性を保てない時がある。



だって、世の中の情勢がどう動くか分からないし、自分がいつ戻ってくるかも分からないのだ(もちろん、できるだけ早く戻ってきたいとも思う)。


それに、相手にも資金繰りや家族の養いや、色々事情があるように思うし、実際に何かしらの困難に直面しているかもしれないわけだ。


そんな中で、「次に戻ってきてくれたときにまとめて払ってくれたらいい」なんて、普通言えるだろうか。


相手は大家さん、しかもどうやら不動産を転がしているっぽい人なので、その道のプロだとは思うのだが、この状況で、そういう経営判断が下せるだろうか。



自分がその立場にいると、ちょっと難しかもしれない(実際にそういう立場にいないので、分からないが)。



が、相手もこちらを信用してくれているということであろう。言われてみれば、これまで一度も家賃を滞納したことはないし(当たり前)、いつも家賃は手渡しで払っているのだけれど、一時帰国中に用意した手土産なんかも、ことある毎に渡していた。


そういう部分まで含めて、世の中が好転する(というよりは、元に戻る)希望を持ちながら、「こっち側」にbetしてくれた、ということだ。



契約更新をした際、とりあえずの期限を年明けまで変更してもらった。


つまり、今年中にハンガリーに戻れば、家賃を未払いでもペナルティは払わずに済む(最悪戻れなかったら、それこそ海外送金で支払おうと思っている)。



自分としてできることは、目の前にある処理しないといけない課題を1つずつこなして生きていくことだけだが、ハンガリーでこれだけ多くの人に支えてもらっていることもあって、やはりこの恩は、今後数年かけてきっちりと返していかないといけない。


そういえば、ポーランドにいた時も同じことを幾度となく思ったが、あの国を離れて数年経ってもなお、恩は返し切れていないと感じているっけ。




大変なとき、苦しいときにこそその人間の本性が出る、と言われるが、これだけ大変な時期に相手(自分)のことまで考えて下さっている方が、自分の周りにこれだけいるのは正直、僥倖でしかないわけで。


今後、世の中がどういう方向に動いていくかは不透明な部分が多いけれども、自分なりの「最悪の事態」は想定して、それに対する出口戦略もとりあえずは想定できた。


また、世の中が正常に戻ったときには、きっちりとこの地でも恩返しをさせてもらおう。



自分の中での覚悟は、ほぼ決まったようである。


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