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必要以上に情報に煽られず、平静を保ちながら生きていくために必要なスキル

今回の新型肺炎に限ったことではないのですが、未曾有の事態が起こったときなどには、必ずと言っていいほど、有象無象の情報が飛び交い、真偽の分からない情報に振り回されてしまう人が沢山生まれます。


かくいう僕は、今のところ今回は平静を保てていますが、以前のリーマンショックや震災のときなどは、10歳以上若かったこともあって、必要以上に情報に振り回されてしまっていましたし、それ故に冷静な判断ができないことも多かったように思います。


今回は、そういう風な「平常心を保てない」状態になるべく墜ちないために必要な考え方について、改めてまとめておきたいと思います。


①信頼のおける情報源から、できる限り一次情報を取得する

言わずもがなですが、命の危険に関わること、行動制限が関係しそうなこと、補助に関する内容などは、裏取りがきちんととれる、公的な機関などの正式な発表「だけ」を信用します。


今回であれば

・会社の倒産や給料の未払いなどのトラブル

・海外から帰国する際の検疫情報

・備品や補助金などの支給・給付手続きや条件

などが該当しますが、これらの情報は、公的な機関の情報源(例えば厚生労働省の公式HP)にきちんとアクセスをして、そこから情報を収集すべきです。


飛行機が飛ぶのかどうか、といった情報であれば航空会社、帰国に関する各国の制限については外務省や各国大使館、といった感じですね。必要であれば、きちんと問い合わせ窓口(メール、チャット、電話)を通して確認し、正式な回答を得ましょう。


また、行政関係あるあるですが、正式な機関に問い合わせをしても「ここは管轄が違うので」という回答をされる場合もありますが、その際はそこから、正しい問い合わせ窓口を紹介してもらって、そちらにアクセスする必要があります。



裏を返すと、「公的な一次情報以外の、出典不明な情報は一切無視する」ということが必要です。Twitterでよくわからない匿名のアカウントが真偽不明の情報を流していて、こういう時期でもバズっていることがありますが、僕はTwitterこそしていますが、こういう情報は一切無視をしています(当然のことですよね)。


「公式の一次情報だけを取得する」というのが、第一の鉄則です。


②「情報(事実)」と「感情(判断)」を別個のものとして捉える


2つ目は、意外と多くの人がやりがちな間違い(というか好ましくない方法)で、「事実」と「判断」をごっちゃにしてしまう、というものです。


とは言っても、これは逆に、心配する必要はありません。というのも、普通であれば人間は「事実」と「判断」をごちゃ混ぜにしてしまう生き物だからです。


どういうことかと言うと、今回であれば、ロックダウンや感染の拡大、移動制限などの措置(事実)に対して、何らかの「ネガティブな判断」をしてしまう、というのが普通、ということです。そりゃそうですよね。今まで、何の制限もなく外を歩けて職場にも行けて旅行にも行けて、という状態から、自宅で軟禁状態、みたいな状態に変わってしまったわけですから、慣れていない人にとっては、確実にマイナスの変化に感じられるはずです。



ただ、難しいことを承知で書きますと、こういう出来事が起こった際に、それを感情的に判断する(捉える)ことは、避けるべきです。


どういうことかというと、感情を交えずに、冷徹に事実と状況を整理して、何らかの解決策を考える、ということです。


例えば、ロックダウンになって外出できないのであれば、宅配で食材を頼めないか、デリバリー(出前)を頼めないか、ということを考えてみます。


僕の場合、海外に住んでいるので、ロックダウンが発令されたときにまず考えたのは

・当面の食料の確保(非常食を含む)

・帰国経路の制限や帰国の現実性

といった、「自分に直接関係のあること」の課題と解決策だけを、具体的に整理して考えました(ここに挙げたのは一例)。逆に言えば、それ以外の、自分に直接関係のないことは一切考えていませんでした(というか、考える必要もありませんよね)。


置かれている状況はひとりひとり違うので一概にまとめて言うことはできませんが、独身であれば自分のことと、両親など家族のこと、家庭を持っているのであれば家族、社員を雇っているのであれば会社のこと、といった風に、「自分に直接関係のある」領域の喫緊の課題について、整理をしながら解決策を考える、ということにまずは専念をしましょう。


上で書いた「感情を伴って判断する」ことの何がいけないかというと、これは結局頭で考えずに、直観的にプラスかマイナスで判断をしているだけなので、目の前の課題と向き合っていない、ということになるのと、感情というのは良くも悪くも増幅するものなので、更によく分からない情報が紛れ込んで、不安が増長され、冷静に物事の判断ができなくなってしまう、という2点があります。


こういうことを書くとサイコパスっぽいというか、冷徹すぎるきらいがあるかもしれませんが、人間がなぜ不安を感じてしまうか、というと、自分の頭で考えず、感情に踊らされてしまうからです。


今僕はこの文章を書いているわけですが、何らかの形でアウトプットすることで思考の整理もできるので、

・メモ用紙に課題を書き出してみる

・Wordを開いて不安を整理してみる

・マインドマップに状況を洗い出してみる

といった行動をするだけでも、自分の置かれた状況を整理することができます。ここから、更に「どんな情報が必要か」「そのためにはどんな情報源にアクセスすればいいのか(誰に聞けばいいのか)」「具体的に必要な行動はなにか」ということが徐々に分かってきます。


なんだかRPGみたいですが、こうすることでしか、悩みと不安は整理されないし、解決にも近づきません。


大変な時にこそ、直感や感情を排除して、冷静に状況を整理して考えることが大事です。



ちなみに、今僕はとても冷静でいられていますが、1ヶ月ほど前はもっと不安でいっぱいでした。が、その時も自分の状況を整理して、信頼できる機関などに問い合わせをして情報の裏取りをして、ある程度見通しが立ったこと、また、最悪の状況もおおよそ想像できたことで、余計な不安を払拭することができています。

何も最初から、こういう感じだったわけではありません。


③情報の真偽を確かめられるように、様々な分野の学問を囓る


最後は、これまた簡単な話ではありませんが、基礎的な学問は大人になってからでも勉強しておきましょう。今回であれば、医学(免疫学、生物学、生化学)や統計学といった分野になるでしょうか。


なんか偉そうな言い方になってしまうかもしれませんが、僕の場合、仕事で科学系の文章を読んで翻訳する、ということを5年前からやっていて、そのために必要に駆られて、大学卒業までノータッチだった、いわゆる理系分野(化学、物理学、生物学)の基礎~中級の内容をある程度勉強しました。


そのおかげもあって、今ある程度、医学論文を読めたりもするようになっていて、ネットに色々と出まわっている情報についても、何を言わんとしているのかや、信憑性の度合いについて、自分なりに判断できるようになりました(精度が高いかどうかは別です)。


この③は、①、②と根幹が実は一緒で、それは「自分の頭で考えて判断をする」ということです。極論を言ってしまうと、世の中に出回っている言説も、(情報の媒介者がいる時点で)意図してか意図せずかは分かりませんが、情報が抜け落ちている、曲解されている、ということが普通に起こっています(伝言ゲームみたいなものです)。


なので、キツい言い方になってしまうかもしれませんが、「信じられるのは自分だけ」といった気概を備えて、自分である程度の、多分野にわたる情報処理ができるだけのスキル(地力)を持っておかないといけません。


何も、難しい専門書を読む必要はなくて、本屋で平積みにされている入門書とかで、最初は構いません。高校のカリキュラムがまとめられた本を読み直してみるのもいいでしょう。読解力があれば論理的思考も備わりますし、そのスキルがあれば、変な情報に惑わされることもなく、不安に脅かされることもグッと減るはずです。



今回一貫して言いたかったことは、簡潔にまとめると

・情報素材(インフォメーション)と情報処理(インテリジェンス)は異なる

・情報素材は、確実に裏取りできるところから集める

・情報処理には、きちんと鍛えられた自分の頭が必要

ということです。簡単なことではないと思いますが、世間に振り回されないためにも、今こそ自分の力を高めていくタイミングだと言えますし、是非有効活用して下さい。

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