ダメ男の仮面ライダーブーム
アタシがnoteに書いてることって、まァだいたい昔話というか、子供の頃から、せいぜい5、6年前に起こったこと、というね。
だったら、自分の記憶のうち、もっとも古いことを書いてやろうと。中には「生まれた瞬間のことを憶えている」なんて人がいるみたいだけど、ただでさえアタシは
先に言うんじゃニャい、いや、ないよ、ぽんぽこ。だけれどもその通りでして、ホント、興味のないこととか簡単に忘れてしまう。執念深いとは真逆の執念浅いA型のダメ男です。
だから一番古い記憶、とかいってもたいしたことがない。何となく憶えてることで言っても
・3歳くらいの時、夜遅くに急に起きて、両親の様子を影からボーッと見てた
・4歳くらいの時、幼稚園のテラスのようなことろからグラウンドをボーッと見てた
・同じく4歳くらいの時、おばあちゃんの家から繁華街方面をボーッと見てた
この3つくらい。って全部ボーッと見てたばっかりじゃん。どんだけボーッとした子供だったんだ。
◆ 空前のブーム
どの時代にも流行というものはあるわけでして、さしずめ今なら鬼滅の刃ブームってことになるのかね。
アタシが小学校に上がるまでの、年代で言えば1970年代前半ってことになるわけですが、子供にまで強烈な影響を与えたブームとなると、ドリフターズと仮面ライダーしかない。
ま、ドリフターズのことはっつーかほとんど高木ブーさん、いや個人的な<戦い>の話はnoteにも書きました。(←はココ)
ではもうひとつの仮面ライダーブームの方ですが、ちゃんとした分析は、いやかなり斜めからだけど、自分なりにキチンとした文章は本サイトで書いたことがある。(←はココ)
ま、斜めからなのはしょうがないよ。何しろサイト名が「yabuniramiJAPAN」だからね。ヤブにらみ、がどういう意味かはお父さんに聞いてみよう!
しかしね、分析なんて、例えば分析の対象が仮面ライダーなら仮面ライダーに興味がない人が読んでもまるで面白くないんです。しかもそれはすでにやってるわけで、もしアタシがnoteに仮面ライダーについて書くのなら、まったく別の視点が必要になる。
ならば、リアルタイムの、つまり幼少期のアタシがどれほど仮面ライダーに毒されていたか、と書くと感じ悪いか。とにかく、ダメ男の幼少期にどんな仮面ライダー絡みのダメエピソードがあったかを書いていこうと。
◆ 人生初のコレクション
アタシが生まれたのが1968年の夏、仮面ライダーの放送開始が1971年の春です。つまりアタシが3歳、いや正確には2歳と半年の頃に放送が始まったことになります。
が、アタシが生まれて初めて「ハマった」のは、実は仮面ライダーではありません。
遡ること1年か2年前、当時放送されていた「タイガーマスク」ってアニメに激ハマりしたんです。つまりはこれが最初のマイブームってことになるわけで。
この頃中嶋製作所っていうおもちゃメーカーとは思えない名前のおもちゃメーカーがありまして、その中嶋製作所からタイガーマスクのビニール人形が出てたんです。ってビニール人形なんていうとラブドールみたいだな。ビニール人形じゃなくてソフトビニール人形って書かなきゃダメか。
ま、どういうのかというと画像を見ていただいた方が早いと思うので、どぞ。
こうやって見ていただければお判りのように、主人公であるタイガーマスク(伊達直人)以外にも、かなりの数の悪役レスラーやグレードゼブラ(ジャイアント馬場)のような味方レスラーのソフトビニール人形が発売されていたんです。
もうね、こうなると男の子の心理は
欲しい!
持ってないのがひとつもないレベルで
売ってるモノ全部欲しい!!
になるのです。
実際、タイガーマスクのソフトビニール人形はだいぶ集めた。というか買ってもらった。でもさすがに全部まではいかなかったと思う。
というのも、タイガーマスクの世間的なブームが意外と短かったからで、アニメーションの放送が終わるとおもちゃ屋に置かれなくなるし、アタシの熱も醒めた。
で、ですね、舌の根も乾かないうちに、次のブームが訪れた。もちろんそれが仮面ライダーブームです。
おそらくタイガーマスクのソフトビニール人形が爆発的に売れたからなんだろうけど、仮面ライダーもやっぱり、ソフトビニール人形が発売された。タイガーマスク同様、敵味方関係なく。
ちなみに右側の美少年がアタシです。
ま、それはともかく、画質が悪いのでわかりにくいかもしれないけど、何というか、近年発売されたものに比べると、あまりにも<ざっくり>した造形で、当時は先のタイガーマスクを含めて全部がこの程度だったからいいんだけど、それにしても内股なのは何とかならんかったのか。
◆ バンダーイ、なしよ
仮面ライダーのソフトビニール人形の発売元はバンダイ。何故か。というのは仮面ライダーのライセンス商品はバンダイの子会社だったポピーから出るのが通例だったはずなのに、ソフトビニール人形に限ってはバンダイから出ていたんです。
しかしそれ以外、たとえば変身ベルトなどはポピーから発売されており、いや、これも語弊があるな。
ごく初期の変身ベルトはタカトクから発売されていたのですが、もうたんに造形だけでして、何らかのギミックが含まれているわけではありませんでした。
しかしポピーが<回る!光る!>ギミックを加えて販売したところ大ヒット商品になった。スイッチを入れるとモーター音と同時にバックルに仕組まれた風車が回転しながら光るのです。そう、テレビと一緒!
こうなると「全身なりきりグッズ」ようなものをどんどん出てくるわけで、モロ、そんな格好をした当時のアタシの勇姿をご覧ください。
格好いいでしょ?格好よくない?ま、そりゃそうか。
とにかくこんな写真が残ってること自体、どれほどのことか、です。それはたんに「グッズを買い集めていた」ってだけではない。
まだ当時はスマホもデジカメもない時代です。カメラで写真を撮る=現像もプリントを必要=カネもかかれば時間もかかるわけで、到底今のように気軽にパチリ、というような時代ではなかった。
そんな貴重な一枚を、全身仮面ライダーコーデで消費する。しかも一枚や二枚じゃないんです。何枚も似たような写真が残ってるんだから。
つか親もよくシャッターを切ったわ。この仮面ライダーコーデとフルチンの写真だけは親も何を考えてたんだろ。
◆ (ダメ)男の勲章
いきなり今現在の己の顔面の話になりますが、よくアタシは「人相が悪い」とか「人を殺してきたような顔」と言われます。
ま、これは左右で極端に視力が違うのと、眼が疲れてくると睨むような目つきになるってのが大きいと思うのですが、もうひとつ、ひたいにある傷もかなり効いてるとは思う。
たま~に「喧嘩の時の勲章ですか?」とか言われることがあるんだけど、そんな格好いいもんじゃない。つかかなりみっともない話です。
あれはアタシが仮面ライダーブーム真っ只中の頃。そう、先ほどの写真のように仮面ライダーコーデの頃の話です。
仮面ライダーと言えばバッタをモチーフにした、と書くと何かカッコ悪いのであえて「グラスホッパーをモチーフにした」ってことにしておきますが、いわば「ジャンプ力に特化した」ヒーローでした。
だから当然、やたら高いところに飛び上がったり飛び降りるシーンが多く、必殺技であるライダーキックもその跳躍力とバネを活かしたものだった。
その活躍をテレビで見ていた仮面ライダーコーデのアタシも当然それを真似する。コタツの上に登り、「トゥ!」という掛け声とともにコタツから飛び降りる、なんてことを繰り返していたんです。
ある日の夜、それでは物足りなくなったんでしょうね。飛び降りるだけじゃなくて飛び上がりもしたくなった。んで、床からコタツに飛び上がろうとした。
これが失敗、見事に失敗。コタツの角に思いっきりひたいを打ち付け、ひたいがパカッと開いて血がタラタラ流れた。大惨事です。
親は慌ててアタシを病院に連れてった。ただ時間が夜だったこともあり時間外診療。それはいいんだけど、医者からこんなことを言われた。
「こんな時間に来られてもねぇ。応急処置は出来るけど、あいにく今、太い糸しかないんですよ」
ってどういうことだよ。
「この糸で閉じたら跡になるかもしれません」
かくして、あれから50年近く経った今も、この時の傷がはっきり残ってる。
しかしなぁ。たしかにコタツに飛び乗ろうとしたアタシもアタシだけど、太い糸しかない、50年後も跡が残るってどんな施術だよ。
◆ なければ、作る!
アタシが淫した仮面ライダーは1973年に終了しますが、物語的にも続きのような感じで、すぐに「仮面ライダーV3」が放送されます。
もちろんアタシはV3も食い入るように見ていた。見ていたんだけど、仮面ライダーの時のようにそうそうおもちゃは買ってくれなかった。
「もう、持ってるやん。ふたつもいらん!」
い、いや、1号ライダーとか2号ライダーとV3は変身ベルトもぜんぜんちゃうし・・・
「一緒やん!」
一緒ではないけど、もうこれ以上は言えない。つか興味のない親からすれば一緒にしか見えないってのは、今ならばわからんこともない。
でもダメ男ならぬダメガキのアタシには少なくともまったく一緒ではなかったし、やっぱ、欲しいものは欲しい。
だったらもう、作るしかないんです。
作るったって、子供だからね。それもまだ小学校にも入る前の幼児。そんな御大層なものが作れるわけがない。せいぜい画用紙を切って、それっぽい絵を描くのが関の山です。
・・・うーん、何だこりゃ。作ってはみたものの、子供心にさえ、カッコ悪い。如何にも<紙でござい>感というかペラペラ感が何とも言えずみすぼらしい。
何か、いい方法はないか、とタンスを漁ってると、あまりにもピッタリのものを見つけた。着物を着る時に着用する帯枕です。
帯枕でも貝枕と言われるボコッと盛り上がったもので、ま、これも写真を見ていただいた方が早い。
これならベルト同様、簡単に腰に括り付けられるし、何より立体感があってホンモノっぽい。カタチ的にも何となくV3のバックルっぽい。
さっそくアタシはマジックペンを取り出し、V3のベルトを描いた。そりゃあポピーの回る光る変身ベルトに比べたらヘッポコもヘッポコだけど、紙製ベルトよりははるかにホンモノに近い。
これもイメージを載せておきます。
「ちょっとおいで」
帯枕に落書きしたことなどすっかり忘れ、何?と気を抜けた返事をするアタシ
「これ何なん!やってええこととアカンことがわからんのか!!」
ひ、ひぃ。だ、だって、V3の変身ベルト、買ってくれへんかったやん・・・。
◆ お楽しみはこれからだ
帯枕にV3の落書きをしたアタシはしこたま怒られたのですが、問題はこの後です。
帯枕ってのはあくまで<スガタカタチ>をよくするために装着するもので、着物を着るのに必要だけど露出するわけではない。つまり落書きをしようが別に外から見えない。
だから母親はブーブー怒りながら、V3の変身ベルトデザインの帯枕を以降も使い続けたんだけど、もうこれが耐えられないくらい、おかしい。
だってさ、母親が着物を着ようとするたびに腰にV3の変身ベルトを巻くんですよ。変身しようとしてるんですよ。V3に。母親が。
「何が面白いん?」
い、いや(クックッ!)、なんでも、なんでもない・・・。
あれは苦しかった。あんだけ笑いを堪えたこともそうそうないよ。
こんな感じでおしまい。リアクションお願いします。さらばじゃ!