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ダメ男にとってのガチャガチャとは

にしてもです。
現今<ガチャガチャ>ってどういうものを指すのかね。ソシャゲのことをガチャゲなんて言うし、じゃあ小銭を入れて景品っつーかグッズが出てくるガチャガチャも盛んだし。
でもね、アタシにとってのガチャガチャはそのどっちでもない。んでこれが、完全にヤバい方に属する話なんですが。

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いや、たいしたことはないよ。ただのマクラ。
今回はちょっとワケあって若干短いです。別に毎回長々書く必要はないんだけどさ。


◆ ゲームをするには先立つものが

子供の頃の話です。

もうそりゃ、ね、アタシらの世代といえばゲーム!ゲーム!でしてね。まだファミコンもない時代で、テーブルテニス的な簡素な家庭用ゲーム機はあったんだけど、ゲームセンター、略してゲーセンね、そこに置いてあるものとは比べるべくもなかったわけでして。
となるとゲームといえば、ゲーム&ウォッチに代表されるハンディタイプのゲーム機か、アーケードといわれるゲーセンに置いてあるゲーム機のことでして。

ゲーム&ウォッチ系のことは今回割愛して、アーケードゲームについて書こうかと。
ざっくり「ゲーセン」と書きましたが、当時ゲーセンといえば不良の溜まり場でね。実際はそんなこともないんだけど、もうイメージの問題で。小学生がウロウロしちゃいけない場所だったんですよ。

ではどこでアーケードゲームに興じていたかといえば、同世代の方には自明の理ですが、駄菓子屋の店先です。
アタシの住んでた街には数件の駄菓子屋があり、店の前か、その横に仮設的な屋根がついたゲームコーナーみたいなのがあったんです。気の効いたところは店の奥を改造してゲーセン風にして、といってもせいぜい10台ほど並べてるだけなんだけどね。

しかし、ここで問題が発生します。
もう当たり前過ぎるのですが、これらのゲームをするには金がいる。ゲーセンで1プレイ100円のところ、駄菓子屋では50円程度にダンピングされているのですが、それでも「上達すべく」プレイしようと思ったら、やっぱりそれ相当の金がかかるわけです。
何しろフツーの小貧乏な家庭で育った小学生です。そんなに金が続くわけがない。

まあ小貧乏な家庭はうちだけではなかったので、友人たちとの会話は「あのゲームの、あそこをどう攻略するか」ではなく「プレイする金をどう調達するか」になってしまうんです。


◆ ダメ男とテニスと悪への道

ある時、友人のひとりがとんでもないことを言い出します。

「ガットがいいらしい」

もう、この一言だけで「ガチャガチャ」というね、<遊戯>ではなく<行為>をご存知の方ならピンときたでしょう。
ぶっちゃけていいましょう。ガチャガチャ、というのは不正行為です。硬貨の投入口に「別の何か」を入れて、あたかも硬貨を入れたかのようにする、とんでもない行為を指します。
ガットというのはテニスラケットの、まあいや網の部分の繊維状のことで、適度な硬さ及び形状記憶があって、しかも金属じゃないので不正がバレない、ということでした。(金属云々のくだりの真相は今もってよくわからんけど)

ガチャガチャ、の噂はあっという間に広まり、実際に試す奴もでてきました。成功した、上手くいかなかった、いろんな経験を聞きましたが、アタシはなかなか試そうとしなかった。理由は簡単でガットが手に入らなかったのです。そりゃそうですよ。家にテニスをやる人間なんていないし、よしんばいたとしても、勝手にガットを切り取れば鼻血がでるほど怒られるのは目に見えています。

ああ、何とかして、ガットを手に入れる方法はないものか

今となっては信じられませんが、当時、好きなスポーツ一位野球は不動としても小学生の頃までは二位をテニスと相撲が激しく争ってたんです。
当時のスタープレーだった神和住純とか福井烈とかのサインもらったりなんかして、実際試合も何度か見に行ったことあったんですよ。

当時、アタシが生まれ育った神戸は三宮に「スポーツワールド33」というね、今は亡きダイエー系列の大型スポーツ用品専門店があったんです。
神和住純らにサインをもらったのもスポーツワールド33だった。つまり、すでにこの店舗には何度も行ったことがあったし、テニス売り場も当然行ったことがあった。自分でやるわけでもないのに。

そういや、何か、あそこでガットが単体で売ってたぞ

でもこれは無理だった。小学生がガット<だけ>を購入するなんて、さすがにあり得ない。ガットだけってことは当然張り替えも自分でやるってことになるわけで、そんな職人めいたことをする小学生がいるか?
もしスポーツワールドの店員がガチャガチャなる行為を知っていたら確実に通報される。

ああ、どう考えても無理だ・・・

え?ラケット本体を買えって?馬鹿言うんじゃないよ。こちとら「カネがないから」悪に手を染めようとしているのに、ラケットを買うカネでいったい何回ドンキーコングが遊べると思ってるんだ!


◆ その時は来た!

えと、先にテニスの話を終わらせておきます。
アタシのテニス熱は中学一年生の頃がピークで、何たって軟式テニス部に入ったくらいだし。

でもそこで終わっちゃった。理由?軟式テニス部を辞めたから。ま、辞めたら嫌な記憶が残るし、なんとなく距離が出来てしまったというかね。
それでも、えとたしか2014年の正月だったかな、とんねるずのスポーツ王でマッケンローが出てたんですよ。
あれは感動したなぁ。なんか涙が出てきたよ。あの時代のテニス少年の羨望はやっぱりマッケンローでしたからね。

話を戻します。
こうして、どうやってもガットが入手出来ないアタシでしたが、だけれども運命はわからない。
ある時、手に入れたのですよ、ガットを。たぶん誰かから貰ったんだろうけど、詳細は忘れた。詳細は忘れたけど、即駄菓子屋に走ったことは鮮明に覚えています。

この期に及んで、もう「金のことを気にせず、いっぱいゲームをして上達したい」という思考はどっかに吹っ飛んで、本当に、そーゆーことが可能なのか、とにかくそれを試したい、確認したい、挑戦したい、それだけでした。
当時一番ハマってたゲームといえば「ドンキーコング」だったんですが、すでにアタシは「ドンキーコングというゲーム」より「ガットなるものを手に入れて、タダでゲームができるか」というゲームに夢中だったのです。

結果からいえば、アタシのハマった最大のゲームは、あっさりゲームオーバーになりました。不正行為は失敗、というか未遂に終わったんですね。
一応日をおいて何度か試したのですが、どうしてもダメだった。
まあ今考えたら未遂でよかったけどさ。

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ぽんぽこよ、本当だ!
っつーことは、未遂じゃねーぞ!
ま、さすがに時効だと思うので許してください。てなわけてお縄以外のリアクションお願いします。さらばじゃ!