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逸脱した裁量権

Column~№23
 小泉法務大臣は在留資格のない外国人の子供252人のうち9割弱に特別在留資格を与えたという。この子供たちは日本で生まれ育った18歳未満の子で、親の事情で在留資格がないため特別許可が付与された。
 なおこの問題については昨年8月、前法務大臣が日本語しか話せない子供もいることなどを鑑み、国会審議で人道的配慮を求める声から家族を含めて資格付与の方針を表明していた。
 しかし人道的な理由は理解できるが議論を尽くさずして特別許可を認めて良い問題なのか私は疑問を感じる。特に親権の問題から在留資格のない親にも在留を付与することになったが、親権を理由に在留資格を与えて本当に良いのだろうか。
 確かに人道は軽視すべきではないが、感情的な国家政策が日本の将来に良い影響を与えるとは思えない。今回前例を作ったことにより日本で資格が欲しければ子供を産めば良いという話になった場合にどう対応するのか聞いてみたい。仮に今回が最初で最後というつもりでも前例があればそうはいかないと思う。
 外国人居住者によって地域住民と軋轢が生じている地域は少なくない。日本は難民の受け入れが世界と比べて少ないが、欧州が移民問題で苦慮している報道を日々目にする。そこには労働環境を奪われたという主張や治安問題が生じたなど様々で、自国民の生活が疲弊と不安に陥っている現状がある。日本も労働者として海外から呼び寄せているが、今回の特別許可はこの問題とは無縁だとは思えない。
 外国人技能実習生の失踪者が過去最高の9,700人を記録している。この人数は累計ではなく昨年の失踪者数である。毎年1万人近くの人間がいなくなり、その者たちが子供を産めば特別在留資格ということになればどうなるのかを本当に考えなかったのだろうか。
 海外からの受け入れ政策は国家で議論して採決された。議論を尽くした結果であるなら個々で不満を有しても従うしかない。だが今回の行為は議論の末に導き出された結論ではなく「恣意的な判断」であり、「前任者の意向」を引き継いと私は考える。
 日本人だから、外国人だからという差別は良くないと思うが、法的に定められた区別はきちんと考えるべきだ。そして国際協調、国際協力は大事だがやはり日本の50年後100年後を見据えた外国人政策は必要ではないだろうか。
 国会で政党勢力を争うためのけなし合いをしている時間があるなら、もっと議論すべきことを議論していただくと納税者として納税のしがいがあるというものだ。

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