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鬼面仏神

最近は漢検の勉強をしている。今の今まで勉強してこなった僕に勉強不足君が
「この漢字はなんて読むかわかるかい?すぐケータイで調べるんだね。おっと、この漢字は昨日も出てきたよね?もう忘れちゃったのかい?」
と、嫌味ったらしく言ってくる。
僕は何も言い返せない。だが、必ず勉強不足君を見返してやると決心した。

四字熟語を見ているとふと気になる熟語があった。

【鬼面仏神】
※怖そうに見えて、実は非常に優しく穏やかであること、またそのような人。

僕が働いていたバイト先の社員さんがまさにこのような人だった。遠方から度々ヘルプにくる社員さんだったのだが、最初にその人と会った時背筋を凍らせた。
「やばい、殺される。」
ワンパンマンという漫画に出てくるキャラでキングという者がいる。
ワンパンマンっていう漫画をざっくり説明するとヒーローが怪人を倒すっていう漫画で主人公のサイタマという人物がものすごく強く、他のヒーローが苦戦している怪人達を一発で倒してしまうというとても爽快感溢れる面白い漫画である。
また、ヒーローにはランキングというものがあり、怪人を倒していくごとにランキングCからBへBからAへAからSへとランキングの階段を登っていく。
キングはSランクのヒーローだが、その正体はただ顔が怖いだけで、腕っ節は一般人とさして変わらないただのニートである。

そんなキングに似てる社員さんがバイト先にきた。
僕は影でその人をキングと呼ぶことにした。
「キ、キング!あ、ちがう、あの…。今日からお願いします!」
僕は挨拶をした。
するとキングが優しく微笑んだ。
「よろしくね。私もまだここには慣れていなくてね。色々と教えて貰えると助かるよ。」
開いた口が閉じなかった。
アニメのキングと重ねていたせいかこんなに丁寧な返事が返ってくるとは思わなかった。
それから一緒に仕事をしていくうちに仲良くなり今では最初の頃僕が怖がっていたことも伝えた。
そしたらキングは優しい顔で笑って言った。
「私は臆病でね、何を始めるにしても怖くて手を出せないし、人にも怒れない、だからって私がいる時にふざけていいわけじゃないけどね、しっかり働いてね。」
僕は賄い用のご飯のおかずを一品増やした。
「ちょっとぉ〜、今回だけだからね。ほんとに君は笑」