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アシカガアートクロスで新作展示中

栃木県足利市で開催の「アシカガアートクロス」に招聘いただきまして、新作インスタレーション《眠れ、いまはいと安けき》を展示中です。

会期:2023年5/13土〜28日10~17時
会場:旧木村浅七邸(栃木県足利市助戸仲町453。検索の際は「助戸公民館」が便利)
アートクロスinsta

作品コンセプト〈この街を見守ってきたモノに対する、敬意と労い〉

今回、作品発表をさせていただく場所は産業都市として知られる足利市だ。足利市は時代のニーズを読み取り柔軟にスタイルを変化してきた産業の歴史が魅力だ。その挑戦心や、商人や職人たちの下から突き上げるような情熱、それらは並大抵ではないパワーだ。
会場は元市長であり、同市の名誉市民である二代目木村浅七さんの邸宅だ。お宅についてはこちらのブログの記事がとてもわかりやすいのでご覧いただきたい。木村さんは生涯、足利の未来を考えていた方である。戦前には木村輸出織物という企業を、戦後の騒乱期からは市長として足利を率いてきたのだ。この家ではかつて「足利のこれから」が日夜熱く語られてきたことだろう。
応接室にある椅子や机といった家具、彼ら物たちはこの家で過ごし、訪れた人の会話の記憶を宿しており、ともに街を見守ってきたのではないだろうか。
先人たちの身体から心から、発された熱いエネルギーを包んできた彼ら物達に敬意と同時に、おつかれさま、少し休んでもいいよという感情を抱いた。どう休ませてあげたらいいかと考えたとき、息子が生まれたばかりの頃、おくるみの中でスヤスヤ眠っていた姿が頭をよぎった。
足利の街が育んできた繊維産業はかねてより、人を包むものを生み出してきたが、彼ら物たちのことも赤子と同じように、安らかに眠れるようくるんでみようと決めた。

素材

おくるみの素材としては、市内で集めた布とした。現存する中小企業からの提供はもちろん「かつて繊維業を商っていた」というご家庭も多く、驚くほど様々な種類の布が集まった。

手法

素直に、先人たちにあやかって「織り」とした。私だけでなく市民にもおくるみの素材を作って欲しいと思い、ストリートピアノならぬ「ストリート織り機」をアイデアとして出したところ、足利市地域おこし協力隊のみなさんが素晴らしいストリート織り機を制作してくださった。それらを用いて不特定多数の方に協力していただいた。会期中の5/20(土)午前中には、地域おこし協力隊のみなさんが作ってくださったミニ織り機を用いた織物ワークショップを開催予定でこちらもどんどん作品に加えていく予定だ。

タイトル《今は、眠れいと安けく》

ブラームスが作曲した子守唄の歌詞の和訳より引用した。気持ち良くスヤスヤ休んでくれますように、という願いをこめている。

初期イメージ画

初期案は部屋から見える「庭」にある物(井戸、灯籠など)をくるもうとしていた

素材の提供や制作含め、人との出会いありきの作品となる。多くの人の気持ちとともに紡ぐ作品となりますように。

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