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必死で押さえつけていた「コップ」の中身は?

いつからか、自分の感情を吐き出す事を、ためらい、また相手には望まれていないこと、なんだと思うようになった。
今思えばなぜそのように思うのかと、昔の記憶をたどってみると、大半が幼少期の頃の記憶が蘇る。

例えば、両親に自分の気持ちや不安を話すと、気にしすぎだ、我慢しなさい、など言われた記憶しか蘇らない。
自分の記憶が完璧かと言われると難しいが、今思い返して、自分の言葉にできない感情や、不安、自分と言う「存在」を受け入れてもらえたと言う感触はあまりない。例えば、自分がすぐに不安になったり、ネガティブなイメージをした場合、兄には「お前は考えすぎだ。俺みたいにやればいい」と言われる。

両親に至っては、まず母親に現状を話すと、不安を煽ってくる発言が今も多い。「あんたほんとに大丈夫?」、「次の仕事は?」、「お金は大丈夫なの?」という具合だ。
父親に関しては、基本的には無関心、いや発言する事は少ない。飲んだときに自分の仕事感や、自分の価値観を伝えてくる。きっとこの人も、話を聞いてもらえなかった人なんだろう。と思う。

友人関係では、自分が細かいところまで気になってしまう性分のため、友人たちが気にならないとこが、気になったり、モヤモヤしたり、してしまうと言う事が多かったように思う。
それこそ自分の感情や思っていることなどを話すと、「気のせいだ」、「みんなそんなもんだよ」、「一緒一緒」と言う言葉。
今思えばそれは「共有」するという感覚だったと思う。

それに関しては、相手は悪くないと思う。
皆無意識に行っている、これまでのコミュニケーションだからだ。

いつしか私は感情を表に出す事は、誰も求めていないし、聞きたくもない、そう思うようになった。
自分が思っていることを、話すだけで私自身の不満はより溜まる、そしてより一層孤独を感じた。自分のフラストレーションを増長する行為でしかなかった。
そうなると、話そうとしなくなったし、いや話せなくなったのか?

自分がうつ症状が出始めたのは、きっとそのような小さな小さな感情の、一滴一滴が私の感情の「コップ」の中で知らず知らずいっぱいになっており、あふれた。
少し休む事で、その「コップ」は少しだけ減る。
しかし自分の感情の揺れを感じると、また一滴、また一滴と「コップ」の中にたまっていく。
「コップ」の中身の抜き方を知らない私は、たまったらあふれるしかない。
気づけば「コップ」は常にいっぱいで、いつ溢れてもおかしくない状態を続けている。これまで37年間ずっと溜め続けてきた「コップ」の中身は、どうすればよいのか?
きっと、結構大きな「コップ」なんだと思う。
しかし過剰なアンテナを張っている私は、必要以上に「コップ」に水を貯めていたのかな。

好きなことを言って、好きなように振る舞う、そんな人を羨ましく思い、嫉妬し、腹立たしく思った。
そして同時にその人たちと接することに恐怖を感じていた。

何故だろうか?
その人たちの「自由」の矛先が私に向いた時、私は抑圧している自分の感情を、押さえつけることにエネルギーを注がなくてはならない。それは多大なエネルギーを消費する。疲れる。無気力になる。そして虚しくなる。

私はきっと「自由な振る舞い」で応戦することができない。防戦一方だ。耐える事は辛い。
責める事は楽だ。スポーツでもオフェンスのほうが楽しいし盛り上がる、ディフェンスの方がやはり苦しい時間であったり、忍耐と言う印象が強い。
昔から忍耐と言うことが、嫌いだ。
年齢をますごとに、忍耐と言う言葉に拒否反応が出てしまう。10代20代の頃は、親や世間から言われた「耐える」と言うことが何よりも大切で、それは成功する素晴らしい大人になるために、「しなくてはならない」身に付けるべきスキルだと思っていた。

これまでは「忍耐」という自分を抑圧する、便利かつ社会的評判の良い言葉を使って、本来の自分をさらけ出すことから、逃げられた。
それは本来の自分をさらけ出すこと、それは誰からも受け入れてもらえない、という考えから目を逸らすことが出来たから。

本来の自分を出す事は、
「周囲の人間は皆興味を持ってもらえない」=「私を受け入れてもらえない」
そんな方程式を、自分で埋め込んでしまったのだろう。
その方程式は、もう解放しないといけない時期に差し掛かっている。


ありがたいことに、妻はただひたすらに私の話を聞き、受け入れてくれる人だ。この世界で、この人だけが、私の「存在」を全て受け止めてくれている唯一の人だ。

さぁ、答えがあったり、解決策が今はある訳ではない。言葉に表現できなくて、早く解決したくて、モヤモヤする問題だけど。一旦棚上げして寝かせてみよう。
少し経ったら、またその棚に置いたものを覗いてみよう。
何か変わって見え方ができたらいいな。

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