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EternalでEndless SHOCKの答え合わせをしてきた

月の始めに「Endless SHOCK」(いわゆる本編)を見た側になり、ついに「Endless SHOCK -Eternal-」も見た側になりました。

本編で感じたことの答え合わせのようなシーンも多々あり、「それそれそれそれ〜!!」と大興奮。なんて解釈厨に優しい。解釈で頭をフル回転させている自分とただただパフォーマンスに圧倒されている自分がいて、とにかく脳が忙しかったです。

パフォーマンスでいうと、人や物が空を飛ぶのも太鼓を叩くのも正直全然刺さらないと思っていたのに、やはりSHOCKだと感極まって泣くまでしたので本当に不思議です。これがエンターテイメント、これが堂本光一マジックなのかしら。

「Dead or Alive」の迫力がすごかったとか「Higher」の原くんがめちゃかっこよかったとかいろいろ書きたいことがあるのですが、ひとまず脳が回転した結果を書き残しておきます。

■観客として目の当たりにしたコウイチのスター性

生で見て「ああ、だからコウイチは座長なんだ」と思いました。コウイチにやられたのか堂本光一さんにやられたのかもうよく分からないんですが、コウイチはあまりにもエンターテイナーでした。自分が劇中のお客さんとしてあのカンパニーの作品を見たらコウイチのファンになると思います。

実際、思わず劇中劇の観客になってしまっていた瞬間がありました。

覚えているのは「Higher」。座席が下手前方だったのでコウイチに顔を歪めるショウリという大好きなシーンを近くで見られたのですが、最終的にはコウイチが作り出すステージ中央に気持ちが行っちゃいました。最初は「ショウリ!来いよ!」なんて声をかけていたマツザキだってすっかりコウイチの作るショーの一員になっていましたし、観客の私がそうなるのも仕方ない。でもごめんねショウリ……。

もう一つが「MUGEN(夢幻)」。宙を舞うコウイチの美しさに自然と涙が出ました。本編のように客席を飛ばれたらポロポロと泣くどころでは済まなかったでしょう。コウイチとの最後のステージが終わった瞬間は、一本の作品を見終わったような気持ちで拍手していました。スタオベしなかっただけ偉い。その時点ではEternal自体は終わっていないんですから。

コウイチのエンターテイナーとしての輝きを目の当たりにしたと同時に、その裏にある孤独にも気付かされました。本編ではショウリの同情を呼ぶ力(ぢから)が強すぎてコウイチの超人っぷりにばかり目がいっていましたが、Eternalはコウイチの孤独がより分かりやすく描かれていたと思います。

印象的だったのはジャパネスク前の言い合いのシーン。カンパニーのみんなにはコウイチの言葉があんな風に聞こえていたんですね。コウイチは信頼されていると同時に、その探究心やスター性ゆえに距離も感じられていたのでしょう。

一幕冒頭、シェイクスピアをやりたいというコウイチの話にダンサー陣が「私たちの出番はなくなる?」「どうする?」となっていたシーンもたしかになと思いました。そんな風にコウイチについていけないと感じるメンバーもいたのかもしれませんし、そこが本編の「止まったやつは切り捨てられんだろ」につながるのかなと思いました。

それにしても本編のセリフを全く違う聞こえ方にする演出にはゾクゾクしました。コロナ禍で本編はできないってなってこれを思いつく堂本光一さん、すごくないですか……。私が帝国劇場で見て圧倒されたのは、コウイチであり、堂本光一その人でもあったのでしょう。

■Show must go onの解釈

本作のテーマである「Show must go on」について、配信で本編を見たときは「Show must go on=恐れることなく仲間と走ること」だと思いました。正直コウイチの狂気のエンターテイメント精神が強すぎて「立ち止まってもいい」というオーナーの言葉はあまり頭に入ってきませんでした。

しかしEternalでは、何があっても続けることではなく、止まってもまた続けられることが大事なんだと明言されていました。コウイチの狂気っぷりよりも孤独に目が行ったのもあり、「何があっても続けろ」「ボロボロになるその分だけ輝けるんだぞ」ではなく「止まってもまた続けられることが大事」がしっかりと胸に響きました。

本編とEternalで私が感じた印象の変化が意図的だったとして、それがコロナ禍を受けて本編→Eternalで変化したのか、光一さんが年を重ねて変わったのか。それとも本編→Eternalでの変化はなくて元から「止まってもまた続けられることが大事」という話なのか。

昔を知らない新参者なので何とも言えませんが、『ザ・テレビジョン Show』(Vol.6)を読む限り、コロナでエンタメがストップしたことの影響も大きかったのかなと思いました。ストップしているように見えても水面下でshowはgo onしているという見方、面白かったです。

この「何があっても続けることではなく止まってもまた続けられることが大事」という意味でのShow must go onにはSexy Zoneを感じてしまい、そういう意味でも涙腺を刺激されました。「枯れないよいつまでも」から「枯れても咲いたんだ」になったSexy Zone……。

そういえば以前、ラジオ「VICTORYROADS」で勝利くんもそんな話をしていました。止まったからまた走れるのだと。個人的にはこういう精神の方が好きですね。

ちなみに『ザ・テレビジョン Show』(Vol.6)のインタビューで、勝利くんはShow must go onの精神に対して「一種の"洒落"」「『どんなことがあってもショーは止めないよ、やり続けるよ』と軽やかに言い切るところがオシャレ」と話していました。

これを聞いて思い出すのはコウイチの姿です。

Eternalでコウイチの孤独を深く感じはしましたが、やはりエンターテイナーとしては華やかで軽やかです。ショウリが泥臭くてつい感情移入してしまうキャラクターだとすれば、コウイチは歌うように話し、踊るように動く軽やかさがあります。ミュージカルだからそりゃそうじゃんというのはあるのですが、コウイチは泥臭さを見せない軽やかなエンターテイメント精神を持っているように見えます。そういう意味で、勝利くんの言う"洒落"としてのShow must go onをコウイチは体現しているんだなと思いました。

■ショウリは救われたのか?

さて、大好きなショウリの話です。

Eternalでは本編よりも継承の色が増していました。コウイチが死んだ後の、3年後のお話ですもんね。コウイチの後を継ぐんだと真面目に思ってそうなところがショウリらしかったです。本編の前半で垣間見えていた完璧主義を感じます。悪ぶってもショウリは真面目な完璧主義さんという印象があるんですよねえ……。

でもジャパネスクの回想ではしっかりコウイチに対して癇癪を起していたので、逆に安心しました。急に達観されてもびっくりしちゃう。ショウリの一面である幼さを感じられてよかったですし、 その分やっとコウイチの墓参りに行けるラストに重みが出たと思いました。

印象的だったのはショウリの気持ちを代弁するマツザキのセリフです。ショウリがいかにコウイチに振り向いてほしかったのかを再認識しました。

このマツザキの話し方には驚きが含まれていて、カンパニーで「コウイチに追いつきたい!」「振り向いてほしい!」と思っていたのはショウリだけだったのかなと思いました。周りから向けられる尊敬や憧れの念がコウイチの孤独を深めたのでしょうし、コウイチがショウリを気にかけていたのは自分と同じ何かを見出していた(=将来的にエンターテイナーの孤独に陥る可能性を感じていた)からなんじゃないかなあ。

コウイチに振り向いてほしいショウリという構図を頭に入れて「MOVE ON」を見ると、歌いだしの「Find me……」で感情がぐちゃぐちゃになります。世界に、そしてコウイチに、自分を見つけてほしかったのかなと。ハァ。歌詞、空耳アワーだったらすみません。

最後の「CONTINUE」でコウイチに微笑まれたショウリを見て、ああ救われたなと思いました。コウイチ自身はずっとショウリを気にかけていたので今更な話ではあるんですが、あそこでショウリ自身もコウイチに振り向いてもらえたという一つの安心感を得てくれていたらいいなと思いました。

■Eternalの意味と勝利くんのこと

Eternalで、継承はコウイチ→ショウリだけではないんだなと感じました。

冒頭、本編ではオーナーが語っていた内容を話すコウイチの姿に、オーナー→コウイチの系譜を感じてゾワッとしました。エンターテイナーの系譜はオーナーから始まっていた……?

であればそりゃあEternalですよね。本人がステージを去っても次なるエンターテイメントの担い手が魂を受け継ぐんですもの。

個人的には「俺は俺のやり方で」的なショウリの精神も好きなので、ショウリが継承と自分らしさのバランスをどう取っていくのかが気になります。たしかにコウイチは偉大だけれど、コウイチの後を継ぐことに必死にならなくてもいいと思うのです。

まあこの答えは、SHOCKの世界でショウリの姿に見出したいというよりも、勝利くん自身や今後の勝利くんが生み出すエンターテイメントの中に見出せるような気がしています。勝利くんがしばしば口にする「新しいジャニーズ像」は、継承と自分らしさが融合した何かなんだろうなと想像しているのです。

ここまで書いて、まさにSHOCKを見る前に勝利くんに対して思っていたことに通じていると気が付きました。

やっぱり勝利くんの地殻変動をこれからも見守りたいものです。まずは5月末までの舞台を、そしてツアーやその先にあるお仕事を経て、これからどんな勝利くんに出会えるのか、とてもわくわくします。

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