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個展を開催していますー岩手県北上市・諄子美術館にて

岩手県を拠点に活動している画家の八重樫理彦です。
ウェブサイト>http://www.yoshihikoyaegashi.com
前の記事から時間が経ってしまいましたが…現在、岩手県北上市で個展を開催中です。

八重樫理彦展
2022年3月19日(土)〜4月23日(土)  11:00-16:00  月・木曜休館
諄子美術館 Junko Museum of Art
岩手県北上市大通り1−3−1 おでんせプラザぐろーぶ5F(北上駅西口駅前)
入館料:200円

個展は、JR北上駅西口を出ると目の前にあるビル「おでんせプラザグローブ」の5階にある諄子(じゅんこ)美術館で開かれています。個人が運営する美術館です。

今回の個展では、前回の個展(2021年12月11日〜2022年2月23日・萬鉄五郎記念美術館)が開会してから描いた新作8点と旧作4点からなる12点を展示しています。また、以前にこの美術館で開かれた3回の個展(2005年・2006年・2012年)の時に収蔵して頂いた作品6点をコレクション展示スペースで展示して頂いています。

Terrain    油彩 キャンバス 130.3×194.0cm 2022年

こちらは新作です。早池峰山の南面に雪が積もったところを撮影した写真を元に描いたものです。F120号ですが、写真ではこの作品のスケール感が伝わりません。ぜひ実物をご覧ください。

Land Surface  油彩 パネルにキャンバス 60.6×72.7cm  2022年

こちらも同じ系統の作品です(制作はこちらの方が先)。今回の個展では、雪と地面や植物とのコントラストが生む視覚的な刺激に目が惹かれることから制作した作品が中心になっています。
写真を元に描いたものと、現場で実景を見ながら描いたものとがあります。

展示風景

諄子美術館のコレクション展示コーナーの収蔵作品を紹介します。

諄子美術館のコレクション展示コーナー
左:「岳川」 墨・顔料・膠・アクリル パネルに麻紙 69.3×145.5cm 2005年
右:「流れと淵」  墨 顔料 膠 パネルに麻紙 27.3×45.5cm 2005年 

2005年の個展で発表した作品です。日本画の画材で描かれています。早池峰山から流れる岳川(たけがわ)の流れを描いた作品です。当時は自然の風景を抽象化して線で描く作品が多かったです。

こちらの4点もおもに山の岩の線を抽出して絵画作品にしたものです。2011年〜2012年の作品たちです。これらの作品は制作に写真は用いず、またエスキース(小下図)も作らず、即興的に描いていました。身体(または脳)が覚えている形を出している感じです。それぞれの作品はウェブサイトでも公開していますので興味がある方はご覧ください。http://www.yoshihikoyaegashi.com

さて、個展終了まで会期は残すところ一週間ほどになってしまいました。
搬入前日に大きな地震があり、ビルのエレベーターが止まったり、東北新幹線が不通になったりやや落ち着かない始まりでしたが、先週には新幹線も全面再開しました。この記事をご覧になってご興味を持たれた方はぜひ個展に足を運んでみて下さい。

最後に、この個展の会場に掲示している、書き下ろしの文章を以下に掲載します。

見ることと描くこと
                               八重樫理彦

 私は近年、自然物を題材に見たままを描く、再現的な絵画の制作に多く取り組んできました。自然物が与える視覚的な刺激を、その複雑さのままできるだけ捨象したり再構成したりせずに描くことはできないかという取り組みです。この試みは言い換えれば、網膜で知覚されている映像を絵画として忠実に再現することは可能かということですが、結論から言うと、それはほとんど不可能です。
 なぜかと言うと、私は、というよりおそらく誰でも、絵を描いている瞬間はキャンバスや紙の上に筆が生成する像を見ていて、描こうとする対象は見ていないからです。たった今、眼に映っている対象を描くことは不可能なのです。どんなに注意深く対象を見つめたとしても、描く瞬間にはそれから眼を離している。私が描いているのは一瞬前の記憶でしかありません。
 そこで私は、対象から目を離さずに、つまり筆先は見ずに描くということもやってみました。これなら今まさに見ている像を描けるのではないか。しかしこうすると、描かれた像の方は対象の再現性よりも手の運動の軌跡の方が勝ってしまいます。あるいは、記憶だけで自然物を想起させるイメージを描くこともしてみました(「認知と形象」シリーズ)。見るも見ないも、記憶の長短でしかないことになるからです。
 私がなぜこのようなことをしているかと言うと、私は私の眼を惹く自然の中の視覚的な刺激を、できるだけ作為的でなく絵画として実現したいのです。絵画を制作する過程で普通は情報を取捨選択し「見やすい」絵にしますが、そこで失われるものも多いと思っています。私は眼の快楽に忠実であろうとします。
 ところで、キャンバスに絵の具で描いた瞬間にそれはもうありのままの自然でも何でもありません。それは絵の具と筆が生んだ筆触であり、それこそが絵画なのです。そこに絵を描くことのばかばかしさとやめられない魅力があります。



ついでに、いま北上市・岩手県を訪れる口実になる、お得な情報をお伝えします。

いま、岩手県内では桜が見頃を迎えています。
いわて桜の名所2022
その中でも北上の展勝地は有名なお花見スポットです。「北上 展勝地」で検索するとすぐにツィートなんかも出てきて、今まさに見頃ですね。ぜひ北上に足を運んで八重樫理彦展と併せてお楽しみ下さい。

美を愛でたあとは買い物ですかね。北上市では5月31日まで、PayPayで買い物すると20%返ってくるというキャンペーンを開催しています。PayPayで決済すると誰でも実質2割引で買い物できます。対象店舗はアプリから近くのお店を探すと表示されます。(諄子美術館ではPayPayに対応していません、悪しからず)。私はガソリンに使っていますね、主に…20%は大きいです。
個展をやっているビルの1階の土産物店でもPayPayで20%返ってきます。

あと花巻⇄釜石間のSL銀河が土休日に運行しています。桜とSL。最高のシチュエーションです。気になる方はチェックしてみて下さい。
JR東日本・SL銀河


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