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うつで退職する人がお金で損しないためにやること

仕事で鬱になったので来月退職します。次の仕事は決まっていません。となると無収入期間ができるので、気になるのはお金のことです。この記事では、こんなときにお金で損しないためにやるべきことを、私の体験を基に解説します。同じような境遇の方の参考になれば幸いです。

結論、お金で損しないためにやることは次の4点です。
1. 失業給付の申請
2.
国民健康保険料の減免手続き
3. 国民年金保険料の、失業等による特例免除の手続き
4. 住民税の減免手続き

それぞれ詳しく解説します。
※注)もしあなたが働けないほどの病状の場合、失業給付ではなく傷病手当金を申請することになります。本記事は退職後に就労可能な方向けに執筆していますので、傷病手当金の申請については記載していません。

事前準備として、退職を会社に申し出る段階で会社に、①年金手帳、②雇用保険被保険者証、③離職票、④健康保険資格喪失証明書の、返却・発行を依頼してください。これら書類がないと上記1~4の手続きが遅れてしまいます。生活がかかっていますので、お金の手続きは早めにしたいですよね。①②は、会社が預かっている場合は退職日までに返却してもらえます。④は会社の健康保険組合or協会けんぽに問い合わせれば発行してもらえます。③は退職日翌日以降に会社がハローワークに対して手続きするので退職日から1~2週間後の入手になりますが、失業給付の申請は離職票がなくてもひとまず仮で行えます。

またもうひとつ事前準備として、退職日の半年から遅くとも2か月前には『心療内科で初診を終えその後も定期的に通院している』という状態にしてください。

1.失業給付の申請
退職日の翌日にハローワークに行きます。下記Webサイト申請に必要なものが記載されていますが、退職日翌日では離職票はまだ手元に無いと思います。無くても大丈夫です。手続きは仮で進めることができます。このとき病気が理由で退職した旨をハローワークの担当者に伝えて下さい。すると『就労可能証明書』をもらえます。この後、心療内科の担当医に、就労可能証明書への必要事項の記入を依頼しに行きます。ここで『心療内科で初診を終えその後も定期的に通院している』状態が活きてくるわけです。記入済の就労可能証明書は後日ハローワークに提出することになります。

お金で損しないためのポイントが2つあります。
1) 離職票の離職理由欄に“33”と記載がある
33というのは『正当な理由のある自己都合退職』を意味し、鬱での退職も“正当な理由”になります。正当な理由で自己都合退職した場合、『特定理由離職者』となり、通常の自己都合退職では申請から7日間の待機期間後さらに2か月間は給付を受けられないところ、7日間の待機期間後に給付を受ける権利を得られます。

なお、私の場合は病名が『うつ状態』だったので、特定理由離職者になりましたが、病名が『うつ病』の場合は『就職困難者』に該当し、失業保険の給付日数を長くできる(給付総額が増える)という、さらなる優遇措置があるようです。

2) 申請者が現在就労可能でかつ就労意志がある
失業給付は、就労可能かつ就労意志がある人向けの給付なので、この条件に該当することの証明が必要です。病気が原因で退職したわけですので、失業給付申請時点で就労可能かどうかは就労可能証明書で担当医に証明してもらう必要があります。一方、就労意志があるかどうかは地域ごとに違いはあると思いますが、私が申請したときは窓口で簡単なアンケートに記入をお願いされました。

2.国民健康保険料の減免手続き
退職日翌日から14日以内に、会社の健康保険組合から国民健康保険に切り替える手続きを役所ですると思います。私が居住する市区町村のWebサイトで調べたところ、『雇用保険制度にて特定理由離職者または特定受給資格者として求職者給付を受ける人』については、国民健康保険料の減免を受けられるようでした。具体的には、国民健康保険料の計算式の中で、離職者の給与所得に100分の30を乗じて計算してくれます。わかりにくいので具体例を後述します。

減免手続きの際には、『雇用保険受給資格者証』または『雇用保険受給資格通知』が必要であり、これらは退職日翌日から14日以内の入手は不可能なので、国民健康保険への切り替え手続きとは別日に保険料の減免手続きをすることになります。

さて、どれくらいの金額が減免されるかの具体例についてですが、下記Webサイトでシミュレートしてみましょう。

例えば私の場合、私の税扶養・社会保険扶養に入っている妻と2人暮らしです。私の給与収入を700万円/年、妻の給与収入を100万円/年として計算すると、国民健康保険料は年額568,500円(47,375円/月)とシミュレートできました。

減免制度では、離職者の給与所得に対して100分の30を乗じるので、ざっくり給与収入700万円のときの給与所得を520万円として、その100分の30なので156万円です。また妻の給与所得は45万円とします。所得から国保料を自動計算してくれるサイトは見当たらなかったので、市区町村のWebサイトで公開されている国保料計算方法から手計算します(市区町村によっては所得から国保料を計算できるツールが市区町村のWebサイトで公開されているようです)。手計算してみると年額215,586円(17,966円/月)になりました(医療分、後期高齢者支援金等分とか所得割、均等割とか色々あって複雑ですね・・・)。減免制度を適用することで、ひと月当たり29,409円/月の保険料減額ができそうです。

一例ですが、下記の東京都大田区のWebサイトでは、国保料計算ツールが公開されていました。計算式内の所得割の〇〇%の数字や均等割の金額が自治体ごとに異なるので、お住まいの自治体のWebサイトで調べてみてください。

ここで補足を2点
1) 会社の健康保険の任意継続と国保加入のどちらが得か?
『健康保険の加入期間が一定期間以上』などの所定の条件を満たせば、国民健康保険に切り替える以外に、退職後2年間まで会社の健康保険に加入し続けることができる制度があります。この場合は退職後も妻は扶養となり、妻の健康保険料は0円です。ただし退職後は、会社が負担していた健康保険料も退職者が納めなければなりません。給与明細で健康保険料の自己負担分と会社負担分を確認したところ合計で43,000円/月でした。減免後の国保料の方が圧倒的に安いですね。

私の場合は国保に加入した方が得だという結論になりましたが、もしお子様が沢山おられるご家庭でしたら、全員扶養にできる任意継続の方が得になるかもしれませんので(国保に扶養という制度は無いです)、あなたの状況に応じて国保加入か任意継続かをご選択ください。

(言わずもがな、妻や親など他の家族の健康保険の扶養に入れるよ、という人はその方が良いと思いますので、そのようにしてください)

2) 減免手続き前に次の会社から内定を得た場合
国保料の減免手続きは、早くとも退職日の1か月程度経過後に行うので(手続きに『雇用保険受給資格者証』または『雇用保険受給資格通知』が必要なため)、減免手続き前や最初の減免を受ける前に次の会社への就職が上手いこと決まり、減免前の国保料を納付した状態で国保を脱退する可能性もあります。どうやらこの場合は減免分の払い戻しはしてもらえないそうです。

私の場合、減免がなければ国保の方が任意継続より保険料が高くなりますが、任意継続ではなく国保に切り替える選択をしました。まあ次の就職が決まれば嬉しいですからね。数千円の違いなど問題ではないです。

3. 国民年金保険料の、失業等による特例免除の手続き
退職後は厚生年金保険(第2号被保険者)から国民年金保険(第1号被保険者)に切り替える手続きを役所ですると思いますが、失業した場合は申請することで、国民年金保険料の納付を免除または猶予できることがあります。

ここで、何が“特例”なのかと言いますと、どのくらいの金額が免除されるか、猶予されるかの審査には通常、申請者本人の所得、申請者の配偶者の所得、世帯主の所得が考慮されます。しかし失業した場合は特例として、申請者本人の所得はゼロとして審査されます。

私の場合は、私が申請者かつ世帯主なので、妻の所得しか考慮されないことになります。私のように、世帯主であって妻が扶養に入っているご家庭であれば、審査対象となる所得は少ないと思いますので、免除申請が受理される可能性が高いでしょう。

国民年金保険料の免除期間があると将来受け取れる年金の受給額は少なくなるので、その点はご留意ください。ただこれに関しては、追納制度を使えば受給年金額の減少は無かったことにできるので、免除申請しておいた方がメリットが大きいと考えます。

申請に必要な書類等、詳しくは以下の日本年金機構のWebサイトをご参照ください。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html


4. 住民税の減免手続き
住民税の減免条件は各自治体によって異なるので、お住いの市区町村のWebサイトをご確認ください。私の住む市区町村で調べたところ、いくつか減免が認められる条件が載っていました。その中のひとつに『勤労所得者が退職または怪我や病気による休廃業等により所得が前年比で3割以上減少した場合(前年の合計所得金額が300万円を超える場合を除く。)』とありましたが、この条件やその他記載の条件に自身が当てはまらなかったため、住民税の減免は出来ないとの結論に至りました。住民税の減免条件は全体的に厳しめの印象でしたが、条件にあてはまる方は忘れずに減免手続きをしてください。

以上、うつで退職する人がお金で損しないためにやること4点でした。執筆時現在、退職前で有給休暇中なので、退職後実際に手続きが進んだら新たにわかることもあると思います。これに関しては記事修正・追記をしようと思います。

2024/6/11追記:退職日翌日に失業給付の申請してきました↓


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