時には昔の話を

【注意】このお話には、未成年の飲酒を含む不適切な表現と、虐待や性被害に関するフラッシュバックを誘発する可能性のある文面があります。ご注意下さい。実話がベースではありますが、ここに書かれた事が実在することや、それらを推奨する意図が一切ないことをご了承下さい。それはそれとして、私は全てのこどもが幸福に毎日を送れることを心から祈っています。



 わたしがいちばん綺麗じゃなかったとき、ドラッグストアの袋いっぱいに、眠気覚ましのとびきり辛いガムと飴と、カフェインの錠剤が入っていて、ずいぶん胃にも悪そうな酸っぱくてじゃりじゃりしたお菓子も自分では買わないくらい入っていて、それを渡す大人は頑張れと言いました。すべて私のためなのでした。

 わたしが眠れないと訴えて、その日やる分の問題集が終わったと言うと、あたたかい紅茶に温めたミルクを入れたものに、どぼどぼとブランデーを入れたあたたかい飲み物をマグカップに入れてそっと置いてくれました。
 ほっとする味のはずなのに、喉の奥が焼けるように熱くて、じきにぐらりと眠たくなりました。それも優しさなのでしょう。
 わたしの背伸びをうれしそうに大人は見ていました。

 わたしがそうするべきだったとき、わたしはテストで満点をとりました。が、わたしの取った満点は、上記の色々な与えられたもののせいでありましたので、わたしは自分で満点を取るよう叱られました。もっともな話です。

 わたしがそうするべきだったとき、22時を回った頃でした。病んだ大人が今日は食事を作れないと言うのでコンビニまで、家族みんなの食事を買いに行きましたね。
 中学生の頃でした。
 塾の帰り道、友達と別れてから引き返して、さっき通り過ぎたコンビニへ行ったものでした。友達には、マンションの一階まで下りてきて帰りを待っているお母さんがいて、すぐにご飯にするからねと言ってくれていました。
 お風呂も帰ってすぐ入ると言っていました。にんげんっていいなの歌詞みたいに美味しいご飯とあったかいお風呂とお布団が待っていたのでしょうか。
 そうすると、わたしは人間ではないのでしょうか。
 お尻を出したこ一等賞ですから、夜道で下半身を露出していた知らないおじさんは一等賞の人間だったのでしょうか。
 コンビニのレジ袋の一番大きいサイズって知っていますか、すごく大きいので力を入れて持ち上げないと引きずってしまうのです。
 自分自身を家まで引きずるので精一杯でしたから、お弁当とおかずが四つも五つも入った袋を持って帰るのも大変でした。リュックは参考書でいっぱいで、背負って帰るにもいかず、背が伸びないのを恨みましたね。
 そうして次の日起きるのは大変で、とんでもないところから大人の体重の乗った足が飛んで来たりしました。子供が学校に行くなら起こさなくてはいけませんし、教育を受けさせるのは義務ですから、私が痛くても正しい事でした。


 わたしが一番綺麗になった時、わたしには恋人がいて、いずれ彼と生きていきたいと考えておりました。
 わたしは幸せになれるかもしれないと思いはじめていました。
 わたしがわたしについての様々な問題を解決していると、あの頃の大人は言いました。

 全て間違っていた、申し訳ないことをした、何てことをしてしまったのだろう、鬼のようだった。大人はすっかり萎んで小さくなって白髪が随分と増えて……いませんでした。元気に仕事をして、妻と夫とで楽しく暮らしておりました。
 そこで見ているあなたがこれに名前を付けられますか?わたしにはできません。愛でしょうか、虐待でしょうか、毒親でしょうか。どれも違くて、強いて言うなら幸せそうな夫婦が幸せそうな夫婦になるための礎でしょうか。子はかすがいと言いますが、かすがいは摩耗する部品でしたっけ。
 自分の感受性ぐらい自分で守れよ、ばかもの、と教科書に書いてありましたね。教科書に書いてある事ができないのは間違っていますね。では昔の話を蒸し返すのはやめにして、薬を飲んで認知行動療法を続けて、痛みをぼやかすのもきっとばかもの、なのでしょう。綺麗だった頃などなかったのでした。






現在、仕事を在宅ベースに移行中でものすごく貧困なので、いいなって思ったら何か頂けるととっても嬉しいです。

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豊かに暮らすことを試みます