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熊野古道伊勢路を歩く(4日目)

雨の音で目が覚めた。それもかなり降っている音だ。昨夜は歩ききったことに満足して、次の日の天気なんて気にしていなかったのだ。

お天気レーダーを見てみたが雨は止みそうにもないが、列車の時間もあるので、予定通り出発することにした。女将さんが手作りのおはぎを持たせてくれた。この雨の中のおはぎはより染みる。

今日は紀伊長島から三野瀬まで。雨も考慮して短めに設定した。大雨の中、三野瀬駅に付くと奈良から来たという夫婦に出会った。彼らも熊野古道歩きをしているという。大雨というバッドコンディションではあるが、同じ古道仲間に初めて会えて嬉しかった。紀伊長島についたが、雨は一向に止まない。カッパは持っていたが、カサやザックカバーを買いたくて「なかみち」という衣料雑貨店に入る。この店は伊勢以南にあるお店で、安いということは聞いていた。噂通りの安さだったが、安さ以上に印象に残ったのは店員さんだ。親切に色々とアドバイスを下さった。私は軽量のカサを、Jちゃんは、1枚15円の袋を買って上手にザックにかけた。緑のカッパに白いザックの甲羅、河童の出来上がりだ。今日は河童と一緒に西遊記風の旅になりそうだ。

しかし、雨はやまないし、キントーンもない。

親切な店員さんが、雨宿り出来そうなお店を教えてくれてた。橋を越えてたところにある「卵卵ふぁ〜む」という卵屋さんが経営するシュークリーム屋さん。中はとても広くてきれいだ。そしてガラスばりで入りやすい。シュークリームを買ったら飲み物が無料という太っ腹なお店で、まったりと過ごした。

雨が小降りになってきたところで、そろそろ本格的に歩き出した。造船所や古びたトンネルが雨上がりにはよく似合う。

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と写真をパシャパシャ撮っていたら、曲がる道を通りすぎる。なんとかリカバーし、そして「一石峠」の登口に着いた。雨あがりで鬱蒼としている。でもその分、土がふわふわで気持ちいい。峠に到着し、おはぎで小休憩をするとすぐに峠を降り始めた。「最近は道がきれいなって歩きやすい」聞いていたが、そんな感じは全く感じられない。鹿の角が落ちて、少し行くと顔の骨や、どっかの部位の骨が、次々と道先案内をしてくれた。魔界に連れて行かれる。。。違う道であることは薄々感じていたが、でも舗装された道路は見えてきた。ずり落ちたりしながらも、なんとか斜面を下りおりた。アドベンチャーたっぷりルートが終わってほっとする。幸いなことに、現世のままだった。河童も河童のままだ。

人里に戻り歩いていると、誰かに呼ばれている気がした。振り返ると「ハイカーさん」と呼ぶ男性が。私たちのこと??と振り返るとそのようだった。男性は、みかん畑で収穫をしていてた甘夏をくれるという。出来るだけ、荷物は軽くしたい私たちではあったが、二つ返事で「いただきますー」と返事をすると、ザックいっぱい甘夏になった。この男性、過去に2回伊勢路を歩いたことがあるそうだ。先輩からのちょっぴり重いプレゼントを背負い、これも訓練だと言い聞かし、旅を続けた。

古里の海岸を少し見た後、遅めのお昼をとるために「秀」という定食屋に入る。お刺身や貝めしなど、海の街ならではのメニューが多い中、私たちは海老フライカレーと、とんかつ定食をシェアして食べた。お店に入ると外はまた大雨だったが、出発するころには、雨はやんでいた。おお神よ。感謝。

次は岸壁を歩く。廃墟となったホテルを越えて遊歩道を歩くと、神社についた。海を守る神様だろう。階段下から参拝して海岸線を進み、次の峠に向かった。

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今日最後の峠「三浦峠」だ。今度は道を間違えずに上り、そして降りた。
峠を下りた当りに猫が何匹がいた。

三野瀬に戻ると、朝出会った、奈良の夫妻の車はもうなかった。初めての雨の熊野路ではあったが沢山のやさしさに触れた一日だった。旅っていいよねと改めて思う。

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