【朝】

【朝】

君の手を握り返せないまま夢が醒めた
目が覚めると
涙が頬を濡らしていた

泣いてたことが
何だか夢を思い出させるから
僕はまた
声を殺して泣いてしまった

腫れ始めた目を擦り
カーテンを開けて夜の街を見つめる
もうすぐ夜明けの時間だろうか
空が白み始めてる

どうしてだろう
夢の中で見たモノクロの景色が
目に浮かんでは消えるたびに
手の温もりが
強く大きくなっていく

まるで――

まるで君の手が隣で僕の手を
ギュっと握り返してくれているかのように

また景色が滲んでく
輝く空が 眩しすぎて
僕は深呼吸して
小さくおはようと呟いた

夜が終わって、 朝が、来た。
そんな気がした。

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