【エッセイ】仮に8/25がそうだとして。
気づけば、もうすぐ8月が去ろうとしていることに、慌てて手を伸ばしましたが、結局今年も夏は終わってしまうのです。
青い空に湧き上がる白い雲や、既に明るい午前4時半の空気、風が吹いたときに聞こえる風鈴の音に耳を澄ませ、いつまでも夏を感じていたいと思うのは、毎年毎年、夏が何気なく過ぎてしまうからでしょうか。
今年こそはと思いつつ、体調を崩したり、思うように気持ちが乗らなかったり……。夏を愛おしく思うわりに、実際に夏が来るとそれをうまく満喫できていない気がします。
そもそも、自分のしてきたことも徐々に忘れてしまうのですから、去年の夏に一体何があったのかなんて、それは蜃気楼のようにゆらめいて、空気に溶けてしまいます。
ぼんやりとしてしまうことが多いのは、夏の暑さのせいにしておきます。
こうやって、これ以上言葉を重ねることができないことも、きっと、この暑さのせいなのでしょう。
うつつと眠気を誘う者も、少し火照った体も、鳴かないおなかも。
ふとした時に考えてしまう恐ろしいことも、
何度も見返してしまうメッセージも、
ぜんぶ、そう、ぜんぶ。
夏が私の腕を、掴んでいるからなのでしょう。私が手を伸ばしても、決して届きやしないのに。
だから、もう少しだけ。
願わくばこのままずっと。
夏が私の腕を、掴んでいてくれないでしょう。
眩しいばかりの光を見続けることができれば、
それだけで、私は。
小さな光を見つけました。
いつか、話せる日が来るといいな。
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