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さんくん
2018年12月27日 19:25
『クリュセの魚』を名前についての物語として解釈する。テクストの固有名の性質には無名性と単独性を見ることができるが、それらはまた偶然性と必然性という様相概念に連接している。名前はメディアとして機能し、それぞれの固有名の性質は、人物のあいだで欲望や生を結ぶ根拠として働いている。固有名こそが恋愛や家族を結びつけるのである。よってこの小説は名前をめぐる物語なのである。② ズレの方法†アレゴリーとし
2018年12月19日 18:33
テクストにおけるコミュニケーションに時差をもたらす迂回の方法を読む。また、「象徴」が多義的な意味をもち同一性を切断する志向があることを示す。① 枠の意識†コミュニケーションの時差『クリュセの魚』は恋愛小説であり家族小説であるが、しかしその主題にはアイロニカルな視線があると述べた。ではそのなかで、彰人と麻理沙はどのような関係を結ぶことになったのだろうか。視点を変えて言い換えると、恋愛といい
2018年12月12日 19:43
東浩紀『クリュセの魚』の読解を数回に分けて試みる。はじめに、この小説の物語は恋愛や家族を主題として書くが、その前の地点である小説の読み方自体に注意を向ける必要があることを述べる。目次① 枠の意識② ズレの方法③ 名前の物語④ 天皇(制)の明日に⑤ 否定形の正史†分析の仕事単行本の帯にはこういう惹句がある。「壮大な物語世界が立ち上がる/渾身の恋愛小説」と。どうやら「恋愛」を描いた