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45歳で起業し、50歳を超えて。 〜起業が若者のものだ、と誰が言った?〜

45歳で起業して、5年。50歳になって、約1年。中身はともかく年代的には成熟したビジネスパーソンであるのは間違いないところであるが、若者ならぬ成熟層ならではの起業での戦い方がようやく少し形になってきた実感ができてきた。

「コンパクト」「コネクト」「社会インパクト」。
極力リスクを取らない 「コンパクト」な経営で、経験を活かして人と人を 「コネクト」 して、「社会インパクト」を生み出していく。

これまで培ってきたスキルや信頼、金融的な余裕をベースに、人のつながりを活かし、新たなつながりにこだわりながら、折り返しを過ぎた現役時代や人生で、何かを世の中に残していくための戦い方。

仲間や家族それに時の運にも恵まれたというラッキーな前提ははっきりと認識した上で、成熟層の起業のひとつとしての自分のやり方をここに整理するして、今後の5年間・20年・50年を見据えていきたい。


ALIVE 次世代リーダー向け越境学習型社会課題解決プロジェクト

経営会議は高尾山登山で。富士山を望みながら。

 2年目ぐらいから日本最大級の異業種プロジェクトとなっていたALIVEも成長を続けて7年目。23年度の夏期は140人規模となり、秋期は170人規模へ。足掛け4年10期連続の期対比での過去最大人数へ。WESTの開催・認定テーマオーナー制度のスタートなどで供給の限界を広げた22年度を、WESTの3回転・認定セッションオーナーの誕生・SV機能の普遍化・パートナー制度の新設などで23年度はさらに超えていく。

[コンパクト]とはいえ、ALIVE自体の雇用者は引き続きゼロ。社会への意義に共感した、個々の強みを持つ人が、ALIVEにとって必要な範囲で・それぞれの人が興味持って関わりたい範囲で、参画してくれている。認定テーマオーナーやセッションオーナーを生み出す制度の設立やそれを支えるSV機能を強化・拡大し、コンパクトを維持。実施主体の共催体制もパートナー制度として検討中。
[コネクト]今まで会社の壁を超えられなかったビジネスパーソンが越境してつながっていく。年間計400人規模の社会課題に興味がなかった大企業のビジネスパーソンが社会課題へのつながりを感じ、社会課題を意識しながら現業に戻る。もちろん、会社や業種の壁を超えた本物の仲間のつながりも。
[社会インパクト]社会課題を扱う答申先をEAST・WESTでそれぞれ3期にわたって16団体のテーマとして扱って、多くの社会課題に解決提案することによるインパクト。もちろん参加者のビジネスパーソンのリーダーシップの進化により、与えられた課題の解決策を考えるだけでなく、本当にやらないといけないことを自分自身で考えて課題化して、周囲に影響を与えていくインパクトも大きい。


100DIVE 関係人口共創型ローカルビジネス創出プロジェクト

100DIVEは、100人以上が15の事業を地域で継続的に展開。

 2021年8-10月に実施の1期以来これまで3期9地域で、15以上の事業化プロジェクトが継続中。2社の会社が立ち上がり5月には3社目も。100人以上がそれまで縁もゆかりもなかった地域の関係人口となり、10人程度が移住もしくは移住を検討中。地域に通い続けるエンジンとして役割を発揮している100DIVEでは、今年度は3期9地域へ。10年間で100地域への 'DIVE' がオンラインで進行中。

[コンパクト]こちらも雇用者ゼロ、オフィスなし。地域の増加はALIVEの認定テーマオーナー制度と乗り入れし、運営。
[コネクト]担い手がいない地域と想いの持って行き場の少ない都会のビジネスパーソンをつなげる。都会からのビジネスパーソン同士も一人では成せないことがチームになることでそれぞれの強みがつながっていく。
[社会インパクト]いきなり大きな事業が立ち上がるほどのラッキーストーリーはその辺りに落ちてはいないかもしれないが、ビジネスパーソンが地域に通い続ける意味合いを見出し、自分の力を発揮できる場を地域で見つけ出すことは実現。その結果として、やがて地域で価値が生まれ、サステナブルな関係人口や移住が生まれていく。


REVIVE 成熟層向け異業種混合社会課題解決プロジェクト

REVIVE on the Work Collaboration。働くを通じて成熟層の新しい役割への気づきを。


 日本型雇用の限界の歪みが直撃している成熟層に、新たな役割に気付く機会を提供して、6年目。REVIVE on the Work Collaboration。企業の中で頑張ってきた成熟層は、やはり「働く」を通じて自分の役割を見つけやすい人が多いのではないか。成熟層のロールモデルの蓄積を意図して、長野県小海町でのプロジェクトも2年目へ。

[コンパクト]いきなりプロジェクトの応募を募るのではなく、興味のある企業に声をかけて、準備委員会を結成。準備委員会での希望人数に応じてのチーム編成により、無理な拡大を図らずニーズに応じコンパクトにプロジェクト運営。それも、今年は1テーマの限界の30人に近い29人が準備委員会で仮予約となり、あとは残り1枠。
[コネクト]今まで培ったビジネススキルを通じてチームになるからこそ本物の仲間のつながりへ。
[社会インパクト]会社から外へ・社会とのつながりへ、と頭では重要性をわかっている成熟層。でも培ったものがあるからこそ一歩踏み出しにくい成熟層。だからこそのこのつながりが、成熟層一人ひとりの生き甲斐になり、キャリアビジョンが広がる若手のモチベーション含めた企業の活性化や成熟層の熟練したスキルを活かした地域の活性化のインパクトへ。


OTD 組織変革のためのダイバーシティ

OTDはアカデミアとビジネスでのコラボレーションが深化


 OTDは4年目。のべ80社になる研究会・60人以上となる認定講師。ワークショップの受講生も5000人規模へ。「OTD視点(社会モデル✖️マイノリティの視点を組織変革に活かす)を社会や組織にインストールする」活動を着実に広げてきた。2023年度は、4年目になる研究会と6期・7期との2回の開催となる認定講師制度を実施。さらに社会や組織にOTD視点の浸透を図っていく。

[コンパクト]他のプロジェクトと同じく、ここまで無借金で立ち上げてきた。固定費を極力抑え、毎年のキャッシュフローの範囲内で翌年を投資。
[コネクト]アカデミアの知見をビジネスの実践へつなげて行くことにとどまらず、ビジネスの実践を通じてアカデミアの知見を深めていくことへさらにつなげていきたい。
[社会インパクト]アカデミアとビジネスのつながりが、広がりでなく深さにつながっていくことで、ループしながらD&Iを武器に組織や社会に価値を生んでいく。

まとめ

50歳の1年間は今後の人生について考えさせられた。
20になった時も30や40になった時も、特に感慨はなかった。年をとったということだろう。

十分ではなくとも若者に比較して、長年の社会人生活を基盤とした余裕が、成熟層にはあると思う。その、人脈・スキルそして経済力の余裕を強みとして活かした選択肢のひとつの作り方として、自分のやってきたことはあり得る戦い方だった。その上で、次のステップも考え出す時期に入ってきているようだ。

若い時ほど '自分が、自分が' ではなく、周囲のために動きたいという欲求も強まっている。自分自身もともとALIVEの前身で社会課題をテーマにし始めた時は、特に社会のためという認識ではなく、単純に答えがないものに次世代リーダーが真剣に取り組んでもらいたかっただけだった。ただその興味のなかった社会課題が年々自分事になって、領域が広がっている実感がある。これは私だけでなく、周りの同世代や先輩を見ていても同じであろう。そうであれば、その社会課題の領域で声を挙げてみると、意外と一緒にやる仲間がどんどんコネクトしていくかもしれない。そうすると、フルタイムの雇用関係でなく、プロボノ含め複業の仲間も選択肢に入った、ローリスクのコンパクトなプロジェクト運営が簡単にできるかもしれない。自分自身の5年4社の体験だけなので、間違っているかもしれないが、一旦このように50歳の1年間で整理をすることができて、今後もしばらくこの社会インパクト・コンパクト・コネクトを方針に自分の人生をかけてみようと思う。


ただ、自分自身もこの後の長ければ50年の人生、20年の現役生活を、このままで乗り切れはしないだろう。企業にいると役職定年に差しかかるあと5年の55歳で、4つの法人の代表として運営する4つのプロジェクトで、自主的な代表職定年制度を設ける決意をした。散り際を決定したというよりも、折り返しを過ぎた実感を持ちつつ、ラッキーであれば現役生活20年・人生50年の残り時間で、さらにもうひと咲するための決断である。


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