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東大卒エンジニアが不動産テック(Proptech)に注目する3つの理由

はじめまして、坂野です。
今更ですがnoteを始めました。
おおよそ何でもかんでも興味がわいてしまう僕ですが、現在は不動産テックサービスのエンジニアをやっています。

このnoteでは、業界の不動産事業者様、そして不動産・テックに興味がある一般の方向けに、業界のエンジニアとして発信をしてゆこうと考えています。

記念すべき初回投稿は、ド文系だった僕が不動産テックという業界に身を置き、そこに可能性を感じている理由を記していきます。

ポイントは3つです!

未開拓の超巨大市場

不動産業界の売上は46兆円(2018)、帰属家賃を含めたGDPは62兆円(2018)と算出されています。
売上については、自動車業界、建設業界に次ぐ第3位、GDPに至っては国内の11%を占めるという、超巨大市場です。
事業者も非常に多く、その数は32万社とされています(これまた国内全法人の11%を占めます)。ただしここにはデベロッパーや貸家業の会社も含まれますので、いわゆる宅建業を営む不動産会社(仲介会社)は、12万社ほどになります。
さらに市場という視点では、保険、保証、ローン、付帯設備などの提供会社もいれば、個人で活動するオーナーもいるという、関連市場の大きな業界と言えます。

そんな不動産業界ですが、世代の常識からすると、驚くほどアナログです。業界に4年いて慣れてきましたが、資料の送付や申込みは、当たり前にFAXで行います。僕は印刷機としてではなく、通信機器としてのFAX機が現役なのは、霞が関と不動産業界くらいではないかと疑っています。
さらにすごいのは契約です。契約に至っては、書面での取り交わしが、法的に義務付けられていたりします(さすがに全てではありません)。ネットで何でも買える今日、このような業界は客観的に見て珍しいと思います。

つまり、このギャップに可能性を感じるわけです。国を支えてきた、そしてこれからも支えていく巨大産業が、これまでまったくIT化されてきませんでした。まっさらな未開拓市場です。そして今ようやく、この巨大産業が時代の流れに乗ろうとしています。

不動産×ITは本来とても相性がいい

不動産会社はIT企業だ、というと語弊がありますが、それに近い部分はあると思っています。

世の中にはやたら新規起業の多い業界があります。ITは想像がつくかと思いますが、あとは人材と不動産です。
なぜこれらの業界の起業が多いのかというと、初期投資が必要ないからです。生産設備も必要なければ、サービス提供に特別な機械もいらない。必要なのは自分というサービス提供者と、そして「情報」です。
人材業界は求める人の情報と求められる人の情報をマッチングする業界です。人脈さえあればサービスとして成立します。同様のことが不動産業界にも言えます。特に仲介業はそうです。仲介業者は別に不動産を売っているわけではありません。住みたい人がいるという情報と、空いているいい物件があるという情報をマッチングしています。取引されているのは、常に「情報」です

賃貸管理業ではどうでしょう。建物管理という例外はありますが(そして例外的なのでよくアウトソースされています)、やはり、管理会社が管理しているのは、ほとんどが「情報」のはずです。契約、入出金、入居者の「情報」を管理・報告し、その対価として、オーナーから管理料をもらっているはずです。

情報が商品となる業界が、ITと縁のないはずがありません。言ってしまえば、これまでIT化されていなかったのがおかしいくらい、ITとの相性が抜群なのが、不動産業界なのです。

国の後押しがある

河野大臣の「脱ハンコ」宣言は全業界を対象にしたものですが、国は不動産業界にはかなり重点を置いて改革を進めようとしています
IT重説、電子契約に関わる社会実験が、2015年を皮切りに、2021年の今に至るまで、毎年行われています。
2016年に政府から発表された『日本再興戦略』ではその重要な戦略のひとつに数えられ、2019年には国土交通省主導で、『不動産業ビジョン2030』という指針が、27年ぶりに策定・公開されました。
直近で特に動きが激しいと感じるのは、冒頭でも述べた電子契約界隈ですが、政府が立て続けに見解を示し、グレーゾーンとされてきたことが政府のお墨付きで認められるようになってきています。(こちらについてはいずれ詳しく書いていきたいと思います)
国の助けも借りながら、ひとつの業界が丸ごとアップデートされようとしています。

※コロナ禍で存在感を増した「住まい」

コロナ禍で家にいる時間が長くなったことで、「住まい」について、これまで気に留めていなかったようなことが気になり始めた方も多いのではないでしょうか。仕事スペースの確保、プライバシーの問題、騒音、などなど。
奇しくも国の政策に呼応するように、一連の騒動によって、人々が不動産、そして不動産会社に求める価値が変わりつつあります。変化があるところにチャンスはつきもので、僕が不動産テック業界に感じている可能性は、さらに強まったように思っています。

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