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Yui
2023年1月3日 20:45
『聞きたくて』聞こえぬ声が聞きたくて静寂の中ひとり耳傾ける音のない部屋の中でいつか読んだ小説の知らない誰かの言葉が体の内側で微かに響く波頭のように微風のように花の上で休んでいた蝶のようにそしてするりと手の中からすり抜けてまた外の世界へと溶けてなくなるその声の木霊を追いかけて窓からこぼれる淡い夕日の中ひとりその日を待ち侘びる昨年、川端康成『雪国』を読み、いた