マンガに挑戦した話。

@BAILA編集長時代、未知の世界にチャレンジしました。マンガです。
きっかけは、某出版社の女性誌メディアがマンガをはじめており、ヒット作も輩出していたこと。
さらに、「30代~40代の働く女性(@BAILAの読者層)が主人公のリアルなマンガがない」という声もあったことです。

21年の組織体制変更(自己紹介⑤参照)直前からマンガ進出の話は出ており、そのタイミングでやるのかやらないのかは、編集長職に就いた私が決定することに。

編集長の大事な仕事のひとつ、それは新しいことを始める、ということ。
やります。やらせてください。しかし…

本当に仕事として実現できるのか?

私は、清々しいほどマンガの仕事知識がゼロでした。

そこで頼ったのが、マンガメディアの編集長をしている同期。事情を話すと、私たちBAILAチームの挑戦をバカにしたりせず、上から目線もまったくなく、力になってくれる、と…。
女性誌というカルチャーを違う形で届けられるのではないか。その形を探しながら、寄る辺ない不安は100%でしたから、その優しさは、思い出すだけで泣けます。

そして同期が言うには、「いろいろ先を考えてもしょうがないから、とりあえず部活ってことで気軽にはじめてみれば?」
……‥いやでも、マンガの仕事をしたことはなくても、マンガの仕事というものが、おそらく絶対的にとんでもないものだ、ということはもちろん理解はしております…。

なんだかんだ、ハードルめちゃめちゃ下げてくれた同期の協力もあって、まずはマンガ部活の第1回を開催しました。

初回なので、とりあえずわからないことを事前に準備して、同期にメールします。

「連載ってどうやってはじまるんですか?毎月の会議で決まるの?」
「原作者の方と漫画を描く方が別の場合、どうやって打ち合わせしているのですか?」
「そもそも、どんな流れでマンガができあがるのでしょう?」

…もう、素朴すぎて…。そして、自分たちで考えたマンガ連載案も持参してみました。

さて第1回部活では、同期の編集長および同席してくれた副編集長が、私たちの疑問に完ぺきに回答してくれたばかりか、マンガ制作の流れをまとめてくれていました。それが神レベルに理解しやすかった!
いろいろ端折りますが、もはや第2回の部活を開く必要もなく、制作に関しては「オリジナルマンガが作れる」知識や手ごたえをつかみ、22年4月ごろから、マンガ制作と同時にサイトのシステム改修を始めました。

有能なスタッフを抱える編集プロダクションや、フリーランスのマンガエディターの方を同期に紹介してもらって、制作をスタート。
同時にシステムに関しては、それまで親交のなかった部署の編集長に連絡し、相談する機会も作ってもらいました。
システムはシステムで、つくるとなったらゼロイチです。マンガ誌と同じように横にページをめくるタイプにする?(見開き表現ができるメリットがある)、タテのページ送りにする?(UI的に現状のサイトにあう)、おもいきってタテのコマ送りにする(ウエブトゥーン的な)???

どれにするかによって、アサインする作家さん、マッチするストーリー展開、話数やシステム構造など、すべてが変わります。マンガをつくることと、システムの体裁を考えることがセット。そんなことも、もちろん知りませんでした。

とにもかくにも、社内外のブレーンの神対応により、22年10月のスタートが実現できました。システムも、時間の余裕がまったくない中、SEチームのみなさんが頑張ってくださり。
BAILAチームには八百万の神がいたのです。マンガはじめ多くの挑戦を一緒にがんばった記憶はまだ新しくて。

さて、作品ですが、「BAILAらしいマンガ」と思ったときに、これならできる、と思ったのが、リアルなキャラクターづくりでした。

「30代~40代の働く女性」のリアタイにかけては、誰にも負けないのがBAILAの編集者。
24時間スマホ記録を読者の方10名に提出していただいてデジタル習慣を分析したり、悩みをじっくり聞いたり、TikTokメンバーと毎日のようにLINEでやりとりしたり。ランチもしますしお茶もしますし、定性調査は日常のこと。定量調査は半年に1回、40項目近くにご回答いただいてデータの分析もしています。

ということで、「リアル」を映し出す作品なら、オリジナリティが出せるのではないか、と思いました。ちなみに、自分のキャリアや、メディア運営を本業務にしていることでも、編集プロダクションや専門のエディターに頼らなければ、制作は不可能でした。
あくまで、大変すばらしいエディターのかたに頼ってのマンガづくりです。

私が担当として、編集プロダクションのかた、作家のかたとともに作り上げた「ランジェリーの女神さま」というマンガがあるのですが(LINEでも読めます!)、それは百貨店のカリスマフィッターのところに、悩める働く女性が訪れるストーリー。

当時、コロナの影響もあって、BAILA読者のみなさんの中では「自己肯定感がもてない」といった声も多かった時期でした。
マンガの主人公のカリスマフィッター、恵比寿天音(えびすあまね)は、ランジェリー愛にあふれ、悩めるゲストを「全肯定」するキャラ。
自分が携わるコンテンツで、読む人が少しでも幸せなひとときを過ごしてほしい、あたたかい気持ちになってほしい。そんな想いをマンガにのせました。

現在、編集長をつとめる「yoi」では、媒体としてさらにマンガで発信できることがたくさんあると思っています。
マンガづくりは一生新人の域を出ませんが、自分だからできることも生かして、また挑戦したいと思っています。

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