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妄想話:AIとリモートワーク

つまらない思考実験です。
 
ChatGPT-4oの出現とともに、すわ、シンギュラリティももうそろそろか、という観測が広がり始めています。
 
もう人の口調や声色まで真似て、本人動画かAI生成かの区別もつきにくくなり始めました。
 
さて、AIとリモートワークを繋げると何が起こるのでしょうか。AIに仕事を任せて、自由な余暇を謳歌してみましょう。
 
基本的に在宅で仕事するときのアウトプットはe-mailとビデオ会議のみ、ということにします。本人が普段発信するe-mailの内容とビデオ会議の振る舞いを、AIにひたすら喰わせます。
 
ある日から突然、AIに切り替え、自分の仕事を演じさせます。何が起こるのでしょうか?

既に一人、AIが紛れ込んでいます。

問い1.いつまで持つのか?
 
いつまでバレずに済むことが出来るでしょうか?直ぐにばれる?一週間くらいは持つ?ずっとばれない?
 
観察眼の鋭い人が指摘します。「ねえ、○○さんの画像なんだけど、いつも髪型が一緒というか、髪の流れの髪筋の一本一本までいつも全く同じなのよね、何かおかしくない?」そんなことを言う人がいるでしょうか。
 
或いは変化には気付くものの、上司をして言わしめるには、
「いや、○○君、最近の成長ぶりは凄いね、何かに覚醒したかのようだよ。先輩からのインプットを積極的に吸収しているのが良く分かる。その調子で頑張ってくれよ。」まあ機械学習だから当たり前か。
 
こんな風に褒められたらもうブラックジョークですね。シンギュラリティは近くなったと言わざるを得ません。
 
問い2.パフォーマンスは上がるのか?
 
もはや本人の言動を機械学習しているだけでなく、インターネット上のありとあらゆる情報にリアルタイムで接続しています。もう、信じられないほどの博識ぶりです。ただ、何を持って「パフォーマンス」と定義するのかが難しい。
 
上司のe-mailやビデオ動画を観察してポジティブ・ネガティブな反応を抽出し機械学習に紐付ければどうでしょうか。半年もすれば「上司を喜ばすことの天才な俺、AIバージョン」が出来上がることでしょう。ただし、ビジネスの結果を出すとは限らない。
 
さて、仮定の構図を真逆に変えてみましょうか。
 
リモートで働く従業員は生身の人間のまま。「会社をAIに」してみます。
 
上司や同僚、舞い込むe-mailやビデオ会議での相手の様子、全ての外部からのインプットをひたすらAIに喰わせます。そして、ある日から突然、「職場を」AIに切り替え。
 
問い3.いつまで持つのか?
 
降りて来る指示やフィードバックもとてもリアルなので、本人は実社会で働いていることに疑いを持ちません。嫌いな上司が嫌味を言う、生理的に受け付けない言い方や態度もそのままです。
 
違和感に気付くとしたらどんなキッカケでしょうか?
 
あれ課長、ご家族の話はどうなりました?ずっと心配している田舎のお母さんの話、最近出ないですよね?
前提として知っているはずの情報も、喰わせる会話に出てこなければゼロベースです。あれ?言ってることが食い違っているな?
 
或いはもっとプリミティブなバグが先に出て来るかも知れません。先程の「私の代わりに働いてくれるAI」と違って、「AI職場」は登場人物が多いですから、より複雑系です。「部長と課長を足して2で割ったような人物」
が登場したりして。
「上司っぽいし言ってることも筋があってるけど、あんた誰?」みたいな。
 
問い4.ビジネスはどうなってしまうのか?
 
AIの学習対象はもはや本人のリアクションのみなので、これは閉鎖系のループです。いわば、密室の鏡の間で永遠に壁打ちをしているかのようです。すると、「職場が自分に引きずられて変化していく」ということが予想されます。
 
職場が徐々に、自分の趣味や嗜好の世界に近付いていく。
 
あれ?数年前まで俺の仕事は業務ソフトウェアの販売営業で、結構ノルマもきつかったよな・・・。
いつからだったっけ、「新作RPGゲームのデバッギング作業」が請負業務のメインになって・・・。
ちょうど開発最終段階のRPGだから、バグも実際にはないんだけれど。
「課長、今日もボスキャラを倒すステージまで来ました。明日はまあ、ひたすらレベル上げをしてみます。」
「ちなみにバグはありませんでした。」「うむ、ご苦労。よくやってくれて、感謝しているよ。」

ああ、忙しい。

まあ天職が見つかった、という感じなんだけど、この快適な仕事が今後変わらないといいなあ・・・
 
この閉鎖系に置かれた人物は、その後数十年後にどうなってしまうのでしょう?むしろ誰も思いつかないような革新的イノベーションを生み出しているかもしれないし、もはや地球上に存在しない言語を喋っているかもしれません・・・
 
さながら思考実験の「中国語の部屋」のようです。中国語を理解しない英国人を密室に閉じ込めて、ランダムに中国語のカードを差し入れると、やがて彼は中国語を理解するようになるのか?
 
もしかして、今の私が既に「中国語の部屋」にいたとしたら・・・そうでないことをどうやって証明できるのだろう?「宇宙は3秒前に生成した」説を誰が否定できるのか?わたしは水槽の中に浮かんでいる脳なのか?
この辺の思考実験は永遠ループに入りがちなので、この辺で止めておきましょう。


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