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LayerX CTO就任によせて

2021年3月1日よりLayerX 代表取締役CTOに就任しました。急な発表で驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の意思決定に至った経緯、なぜLayerXなのかについて、多少エモーショナルな部分も含めnoteにて書かせていただければと思います。

DMM改革の2年半

2018年10月よりDMM.comのCTOに就任し、テックカンパニー化をミッションに改革を推進してきました。その過程で取り組んできたことは様々発信してきましたので詳細はそちらを見ていただけると幸いです。

この二年半、DMMという組織を広い範囲に渡って変化させてきました。非常に少しずつ、少しずつの変化の連続ですが結果として今はDMM Tech Visionを骨子に据え、Agility, Scientifi, Attractive, Motivativeという4つのバリューに基づいて一人ひとりが考え意思決定できる組織となってきています。組織改革で重要なことは、こうした一人ひとりのメンタルモデルの変化、文化の変革にあると考えており、これらについてはこの約2年半で、メンバーの協力の下様々な変化を生み出せたと考えています。また、入社当時から今に至るまで非常に魅力的な仲間がどんどん増え、彼らが自ら先頭に立って様々な施策を進めている最中です。

現時点では、こうしたVisionやValueに紐付いたアクションを一人ひとりが自律分散的に取り組める環境に近づいており、直近のCTOとしてのアクションはほとんどがそうした施策に対するレビュー、アドバイスといったサポーターとしての役割となってきていました。

COVID-19という環境変化と日本に対する思い

そんな中、およそ1年前からCOVID-19という災厄がこの世界を覆い尽くしました。人に会うこと、仕事をすることなど様々な面で私達の生活を一変させています。人が対面できない今、その接点はますますデジタルなものに切り替わらざるを得なくなり、ソフトウェアの活用の価値がますます増大してきています。日本が本当に追い込まれてデジタル化を強いられる日というのはまだまだ先のこと、おそらく2025年前後だろうと予想していたのですが、その日が急にやって来たという印象です。

誰もがソフトウェアを必要だと思う一方で、実際にソフトウェアと如何に向き合っていけばよいのか苦悩している行政や大企業の方々も増えています。自分個人に対しても、この1年様々な相談をいただくようになりました。また、noteを通じて知見をまとめ、発信していくこともはじめました。

DMMにてソフトウェアを活用しよう、テックカンパニーを目指そうとしてきた中で一緒に戦ってきた仲間たちと様々な知見を積み上げてきましたが、これらの知見を必要とする方で溢れているのが今の日本だと感じています。

この困難な状況で自分のなすべきことは何か、昨年春ごろから悩み続け、DMMの亀山会長やCxO陣とも会話を繰り返してきました。日本のソフトウェア活用を支えるという領域に集中したい思いもありますが、一方でDMMのCTOとしては50を超える事業の下支えしていく責任もあります。この狭間で悩んだ末、今回の退任、およびLayerXでの新たな挑戦に向かうという意思決定をさせていただいた次第になります。

この挑戦を応援してくださる亀山会長始めとした経営陣の皆さん、またここまで時に痛みも伴うような変化を一歩一歩一緒に推進していただいたDMMの仲間全員に対して、この場を借りて改めて感謝をお伝えしたいと思います、本当にありがとうございました。次の道では、DMM改革での知見を、これから変わろうとしていく行政や様々な企業へ繋げていきます。

企業・金融・行政

ところで、これまで様々な活動を通じて自分の中で解像度が高まってきた領域があります。企業、金融、行政という3つの領域です。この領域においてソフトウェアを武器とできるよう支援していくことを、私のしばらくのテーマとしようと考えています。この3つにフォーカスしようと考えている背景についても、お話したいと思います。

当然ながら企業活動は経済の根幹となります。今後の超少子高齢化に向かう日本社会において、企業の効率化を目指さねば経済活動を維持できなくなり、困難な時代がやって来ることは明白です。実際に自分の手で大きな企業の変革を推進してきた中で、こうした改善の余地は思っている以上に多いと感じています。この効率化はコストを下げるだけでなく、よりよい付加価値の提供にもつながる重要なものでもあります。これを支える重要なピースがソフトウェアを基軸にした経営なのでは無いかと考えています。

また、LayerXの前身となったブロックチェーン研究室の立ち上げを通じて、既存の金融の仕組みに触れる・学ぶ機会が多く、その過程で改めてソフトウェアによって新たな金融サービスを生み出していくことの重要性を感じていました。眠れる資金を必要とする人々・事業に回し、経済活動にレバレッジをかけていくことが日本の活性化にとって非常に重要だ、という議論は様々な場で尽くされていると思います。

行政についてですが、実はここ最近デジタル庁準備室の方々などと様々な接点からコミュニケーションをすることが増えてきました。その中で、行政領域でもソフトウェア活用とそのための組織変革のノウハウが活かせること、そして必要とされていることを感じています。特に、地方行政におけるソフトウェアによる効率化は人口減少を考えると今すぐにでも取り組まねばならない領域では無いかと考えています。

Why LayerX ?

これら3つの領域に取り組みたい、と考える中でLayerXは理想的なチームだと感じています。

その大きな理由の一つとして、今のLayerXが推進している3つの事業軸を通じて見える世界が、私自身と全く同じ方向を向いていると感じたことがあげられます。現在のLayerXでは企業活動の効率化であるLayerX INVOICE、金融領域の三井物産デジタル・アセットマネジメント、行政領域のLayerX Labsと加賀市などの地方自治体連携という取り組みが進んでいます。いずれも、日本のソフトウェア活用を支えるという課題意識に繋がるものです。

さらに、LayerXチームの一人ひとりの魅力も大きいものでした。立ち上げ当初に関わっていた身だからこそ、その組織の成長に驚かされています。スタートアップとしては当然ですが、プロダクト開発の速度は圧倒的であり、さらにその上でメンバー一人一人が事業そのものや顧客に向き合い続けています。全く未知の領域でも物怖じせず、ひたすらに学び、現場に目を向け推進し続けるこのチームであれば、これから挑戦したいどんな領域でも乗り越えていく、そんなポテンシャルを感じています。

このチームには、技術的な武器も、事業を支える人も揃っています。特にAnonifyをはじめとした秘匿化技術など、特にプライバシー関連の技術力、そしてBlockchainに関する実運用の知見。これらを組み合わせることで、特に私がこれから取り組みたい行政や金融の領域においても新たな価値を様々生み出すことができるでしょう。

Blockchainにこだわらず、広く「すべての経済活動を、デジタル化する。」ことに取り組んでいくLayerXだからこそ、この国にソフトウェアでインパクトを与えることができるだろう、と確信しました。

ここに自分が加わり、技術と事業をブリッジしながら様々な事業を生み出していくことが、自分の感じている日本のソフトウェア活用という課題に対して様々な解を生み出す事につながるのではないかと、とてもワクワクしています。

これから何をしていくのか?

当然ながら、福島も私も代表取締役という立場として全体を見ていくことになります。が、その中でも軸足を多少ずらして補完していきます。主に、福島と榎本がSaaS事業(DX事業部)、私が三井物産デジタル・アセットマネジメントとLayerX Labsの2事業に重心を置いていく予定です。

また、CTOであった榎本がSaaS事業に専念すべく、CTOとしての業務全般を私が担当し、彼の後方支援に回ります。榎本は以前にも増してプロダクト視点が冴えており、また開発速度も群を抜いています。彼との議論の中で、榎本が事業に専念し、松本が開発組織全体をサポートすることがLayerX全体にとって大きな価値を生むだろうという結論に至り、CTOを交代するという形を取っています。

今後の私の大まかな取り組みとしては、金融事業である三井物産デジタル・アセットマネジメントにおける開発や事業企画と推進のサポート、またLayerX Labsとして、秘匿化技術とブロックチェーンを中心としたR&D、またそれを活用した地方自治体やパートナー企業との連携事業を進めていくこととなります。

中長期ではさらに深く行政支援の領域も強めて行きたい、というのが個人的な考えの中にあります。現時点では明確にこれという領域があるわけでは無いですが、ソフトウェアを中心とした事業やその方法論を民間企業だけでなく行政へも活用することや、行政のあり方を考える中で生まれていくであろう様々な事業を成長させていくことが10年という単位では考えていきたい所存です。

こうした活動の中では、実際にコードを書いて事業に向き合っていくことも大切にしていきたいと考えています。ここしばらくはマネジメント領域に集中してきたため、コードに触れることが減っていましたが、これからは再度、コードから経営まで広く目を向けながら長期で成長し続けるLayerXを作っていきます。

最後に

日本が変わる重要な局面にあって、LayerX CTOという立場から魅力的なメンバーと共に難易度の高い課題に向き合うことができるのは、今もっとも楽しんで取り組める領域であるというのは間違いないと感じています。そこに課題があり、自分たちの力で解決できるならそれ自体が私にとってはとても楽しいことです。

最後に、今回の就任について、それまでの悩む過程含めずっと壁打ちに付き合ってくれ、そしてこの文の校正も手伝ってくれた最愛の妻と、最愛の息子にも感謝を。子供が生まれてからというもの、10年、20年先の世界がより良くなるためには何が出来るのだろうか、と考えることも増えてきました。今回の意思決定が子供世代にとってよりよい時代となるよう、少しでもインパクトを与えていきたいと思います。

そんなLayerXですが、我々と一緒に戦ってくれる仲間を多数募集します。エンジニア、BizDev、Sales、領域問わず様々な募集がスタートしています。多少なりとも興味を持っていただけた方、まずはぜひ福島や榎本始めとした創業メンバーや自分と話をしてみませんか。


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