見出し画像

お金か人生か             〜給料がなくても豊になれる9ステップ〜



概要

福沢諭吉が学問をススメを書いたように、この本は浪費が増加している現代人のための「倹約のすゝめ」を促している本である。人生で最も重要な”時間”を費やして得たお金の使い方を見直すことで物質的豊かさではなく、精神的豊かさを追求する。FIREの原点とも言える一冊である。


要約

今、あなたの周りにあるモノは本当にあなたが欲しかった物ですか?本当に必要なモノですか。大量消費主義社会を生きる私たちには、お金との関わり方を見直す必要があるはないだろうか。

大学3回生で就職活動を行なっている私はまさに「お金か人生か」という大きな岐路に立っている。都会に就職し、キャリアを積むことは地方で就職するよりもお金を稼げるため豊な人生になるのではないかと考えている。が、お金のためにキャリアを重視しすぎると、余暇がなくなり、家族と過ごす時間や趣味に打ち込む時間がなくなるため精神的には豊かではなくなるのではないだろうかとも考えている。一方で、地方に就職すれば都会で就職するデメリットを補うことができると考えている。給料は安くなるが、時間にゆとりがあるため家族や趣味に時間を割くことができる。両者にメリット、デメリットがあり、二分論では語れない問いに私は悶々としていた。

そんな時にこの本と出会った。本書では「お金=生命エネルギー」として捉え、人生で最も重要なのは時間であり、お金ではない。お金は自分の重要な時間を割いて得た大切な物だから、使い方や関わり方、考え方を変える必要があると本書では述べられてる。

ここで思い出されるのはスティーブ・ジョブズが死の前に言った言葉である
「私はビジネスの世界で成功の頂点に君臨した。他の人の目には、私の人生は”成功の典型的な縮図”に見えるだろう。しかし、仕事を除くと喜びが少ない人生だった。人生の終わりには”富”などは、私が積み上げてきた人生の単なる事実でしかない。死がだんだん近づいているのが分かる。今になって、理解したことがある。人生において十分にやっていけるだけの富を積み上げた後は、富とは関係のない他のことを追い求めた方が良い。もっと大切な他のこと。終わりを知らない富の追求は人を歪ませてしまう。私のようにね。」

このように巨額の富を築いたスティーブ・ジョブズですら、お金が人生を豊かにする道具ではないと述べている。しかし、やはりお金がないと何もできないことも事実である。実際にスティーブ・ジョブズの発言からも「富を積み上げること」と「お金以外に大切な物を持つこと」の二つの軸で人生を生きることが大切だと分かる。

では、どのように富を積み上げていけば良いのだろうか。そんな、具体的なアプローチを本書は教えてくれている。まず、重要なのは稼いだお金とその使い道を把握することである。月末に口座を見るといつの間にかお金がなくなっているような杜撰な支出管理では一向にお金は貯まらない。自分の収入と支出を1円単位で記録することで、支出先を明確すると同時にお金に対する意識を高く持つようにする。また、支出を記録する際には自分の感情の動きも記入します。支出に対して抵抗感がなければ上向きの矢印を記入、何も感じなければ傍線、抵抗感を感じれば下向きの矢印を記入します。そうすることで、自分が何に価値を感じているか気づくことに繋がり、無駄な支出を抑えることができる。

実際、私の支出を1ヶ月管理したところ友人と居酒屋に行くことが多いことに気づいた。もちろん、外食をするのは美味しい料理を食べたい気持ちがあってのことでだが、それよりも友人と話をすることが楽しいと感じていることに気づいた。そこで、私は友人と居酒屋に行く代わりにドライブしながら語ることやスポーツをしながら語るなど今までの行動を代替した。

このようなプロセスで支出を最小化し、収入を貯蓄や投資に回すことで着実にあなたの資産は増加します。しかし、多くの人が経験するのはリバウンドではないでしょうか。筋トレをして体重を落としたのに、油断するとまた体重が戻ってしまうように、節約に対する意識を持続することは難しい。そこで、本書は資産や支出、収入などをグラフにして紙に書くことをおすすめしている。それを毎日目につく場所にはることでモチベーションは持続します。

また、本書では過度な節約をおすすめしているのではく、「十分」を感じる点で支出をやめることが重要だと考えられています。良いモノを買えば買う程、人は幸せになっていくのでしょううか。お目当てのブランド物をようやく手に入れたと思ったら、次の新作のブランド物が欲しくなった経験はあるのではないでしょうか。消費を繰り返すことで幸せになっているようですが実際、消費における幸福度には限界があります。例えば、あなたがブランド物を買う際に気にしているのは、そのモノ自体ではなく、それらが象徴するものである支配・地位・成功・達成などを求めて購入しはいませんか。自分自身の価値観に基づき「十分」と感じる量と質で消費を決めることが重要である。






新しく出会った言葉

  1. 恩寵 おんちょう:神や君主からの恵

  2. 袋小路 ふくろこうじ:物事が息詰まっていること

  3. 崇拝 すうはい:拝むこと

  4. ラットレース:働いても働いても資産が貯まらないこと

  5. 徒に いたずら(に)

  6. 郷愁 きょうしゅう:寂しさから故郷に寄せる思い

  7. ノストラジック:古き良き昔の過去や自然を思い出させる。
    懐かしい雰囲気やファッションのこと

  8. 愁い うれ(い) しゅう:もの寂しさに心が沈むこと

  9. 果断 かだん:思い切りよく取り組むこと

  10. 天衣無縫 てんいむほう:自然で完全に美しいこと
    =天真爛漫

  11. 世俗的 せぞくてき:世間で普通であること

  12. 小人閑居して不善をなす


ファクト

  1. 世界の広告費は5000億ドルを上回る

  2. 2~11歳のアメリカの子供は年に2万5000もの広告を浴びる

  3. 「心はあるパターンを作り、それを繰り返す装置である」



ナイスセンテンス

  1. 成長に変わるのは成熟ではなく、文明の停滞と生産性の終焉

  2. 人種や性別だけではなく、仕事を基準としてヒエラルキーが存在する
    教師が苦心して生徒に教えるのと医者が患者を治療することは同等である

  3. 人は不安や排他性、罪悪感、承認欲求に突き動かされる

  4. 3人の石工の話から目的の種類、目標・意味・献身がわかる
    通行人が石工に尋ねる「何をしているのですか」
    A:巨大な石を削っている
    B:生活費を稼ぐために働いている
    C:大聖堂を作っている

  5. 偉大な活動とは、1つの大きな行為ではなく、情熱や愛を持って小さな行為を積み重ねることである

  6. 私たちが望んでいるのは、モノではなく、それらが象徴するものである
    支配・地位・成功・達成など

  7. 貨幣の交換手段は価値があると相互理解がある上で成り立つ
    =妻はお金では買えない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?