見出し画像

出会い系で婚活してたときのこと

※この記事は投げ銭制です。

こんにちは、ゆきち先生です。
今回はタイトルどおり、マッチングサービスを利用して婚活した話をばいたす所存です。
10年ほど前の話なので、オンラインの婚活サービスも変化をしているかもしれませんが。
結論を先に述べると「自身の傾向と対策を知るため」に有用な経験でした。特に「転職活動と平行してやった」のはアリだったと思います。

自分の市場価値知りたさに多方面驀進してた30歳

2000年新卒の就職氷河期ど真ん中世代で、2009年秋に1回転職した。世代的にも、私個人の性格としても、大学受験や新卒採用のようなルールが明確な大競争の仕組みには慣れてしまっていて、 むしろその状況を楽しめるというサバイバル術を心得ていた。しかしこれ、恋愛とか婚活においては逆に厄介な点だったりする。

齢30をちょうど超えた頃、20代のほとんどすべてを仕事に捧げたにもかかわらず、業界全体と会社の景況はすこぶる悪く、残業代も強制カットになるような状況に(会社が)陥った。余裕で100時間オーバーの時間外勤務をしている先輩が、アナログなExcel出力勤務表に、ある時期までは1ヶ月ギリギリ合計60時間、その後40時間になるよう超過時間を過小申請しはじめたような頃の話である。
私は毎日疲弊(のあと、時々泥酔)しながら、「自分の市場価値とはー!」とかなり真剣に悩んでいた。新卒から1社で9年目、実績にかかわらず減る給料。労働市場的な価値ももちろん気になるが、なんだかそればかりでは可能性を狭めすぎている気もしていた。


ちょうど2008年にディスカヴァー新書から『「婚活」時代』が発表され、社会学OBの血が騒いで、とても興味深く読んだ。
正直、結婚願望というのはなかったのだけど、当時の職場環境や特異な生活スタイル、積み重ねたキャリアによる妙なプライド、直前の実りない恋愛経験の長い引きずり(不倫ではありません)など、複数の要因により、普通に恋愛をするのは極めて難しいとこじらせていた。
出会い自体はものすごく多いほうの部類に入るのだが、現状の生活で出会える人と恋愛できる気が全然しなかったのである。
で、あるときこう思った。
「そうだ、転職活動も始めるけど、もう一つ、ネット婚活とやらを同時に進めてみよう。おそらくどちらか片方だけをするよりも、双方に何かしら良い影響もある」

しんどい日々ではあったが、ネットでのやりとりがベースであれば、仕事の合間も利用してできそうだ。というわけで、2008年の年末あたりだったかと思う。転職活動と平行してネット婚活を始めてみた。

そういえば2008年は、夏に買ったマンションに入居して猫2匹を飼い始めた年でもあるので、そういう流れで「住居の次は伴侶か」「マンション持ち猫飼いは本当に敬遠されるのか身を以て検証してみるか」などとも考え及んだのかもしれない。我ながらアグレッシブというか、模索しながら驀進している。
当時の信頼できる仕事仲間から、「ゆきち先生っていつも“うっかり攻め”てますよね」と評されて「そうかな」と思っていたが、いま考えてもそうだな。

有料マッチングサイトに登録

いろいろ比較して、当時いちばん信頼できそうな舶来の有料マッチングサービスに登録してみた。有料会員の会費は当時で年間4000円ほどであったと記憶している。身分証明書写真のアップロードを義務付けて、会員情報の信頼性を上げる仕組みはわりと新鮮に感じた。
私も、「出来はいいが適度にぼんやりした写真」をアイコンに設定して、プロフィールも適度にぼんやりと、けれども正直に書いた。
早速男性登録者のリストから条件検索をかけて、良いなと思ったらメッセージを送ってみたり、メッセージが届いたり。というやりとりが始まった。

発見その1
条件検索だと「関西在住」「25~45歳」「大卒以上」「自分と同等かそれ以上の年収」を選んでいた。
これを後の配偶者に当てはめるとまるでヒットしないので、私は結果的にはマッチングサービス向きの人間ではなかったのだなとこれを書きながら思った。

発見その2
もともと他人に対して友好的な興味が薄い(男女問わず最初は観察対象として接しても、特別この人と仲良くなりたいとか私的な部分にコミットしようとなかなか思わない)&惚れにくいタイプで、好みの顔面がどんなものかなども明確に意識したことがなかった(むしろルックスで足切りする人は稚拙だと思ってたほどだ)が、多数のアイコンから選別するとなると無意識的に「シャツ」「セルフレームのメガネ」の人を選んでいる傾向が。

余談だが、同時期に職場で席を並べる女性スタッフが「イケメンの素晴らしさ、イケメンを眺めることで得られる精神的効果」をことあるごとに力説してくれて、その影響を受け、これからは男性こそ顔面やパッと見の印象が重要になってくる時代ってことだな!と冷静に自分の好みのタイプを意識的に探求するようになった。
むしろいまでは、より良いパートナーを選ぶ基準としては先のような「条件検索ヒット率よりも、見た目のほうが確度が高いのでは」派に意見が傾いている。

出会いへの不安

メッセージをやりとりしてる中で、じゃあ会ってみましょう、という展開に至った人は、半年ぐらいの期間で合計3人。
幸か不幸か、徐々に凋落傾向にあったとはいえ、職業柄、常に接待を受ける側にいて、なおかつ取引先業種におけるバブル期の最後らへんの恩恵に預かり、若手のクセにチヤホヤされた経験が社会人キャリアの礎にある私。デートにお誘いいただくような場面でも、お店のチョイスや持ち物、立ち振舞いなどのディテールを値踏みしたり、相手を減点式で見てしまわないかという不安があった。
(ほんと、良いとき悪いとき、古いもの新しいもの、いろんな人間を見てきたんですよね…)

で、見知らぬ人と出会うこと自体に身の危険とかは全然心配していなかった。
実際にマッチングサイトを利用して出会ってお話してみると、逆に男性側のほうが、サクラや美人局に警戒している印象が強かった。

最初に出会った人

季節はまだ少し肌寒い春先。

最初に待ち合わせをした相手は、関西随一のレジャー系企業にお勤めの、2つくらい年上だったかの男性。関東(というより日本)随一の同業種からエイヤッと転職してきたらしい。
場所は心斎橋なカジュアルなイタリアンで、ご本人は清潔感あり仕事熱心で、会話も楽しめる「普通に好い人」であった。こういうタイプは正直あまりそれ以上の印象がなくて、それはお互い同じ程度であったらしく、次のアポイントはなかった。

まあ、お勤め先企業が重要取引先のひとつでもあったので、あんまり気軽すぎる気持ちで接点を持ち続けるのもややこしいかも、と思ったのも事実…。でも最初に出会った人がその後の出会いの基準値になることを考えると、極めて真っ当な人だったのはラッキーであった。

で、数年後なんとなく名前を思い出してググってみたら、独立して何かの講師のようなことをされている様子。画面の前で「ああ、なんか分かるー!」とひとりで盛り上がってしまった。
後に登場する二人と比較してみると、いちばん自分自身に近いタイプであったのかも知れない、ゆえに掘り下げて知りたいという気持ちもあまり起こらなかったのかも知れない。

2番目に出会った人

3人のなかで結果的にいちばん好意を持った男性。メッセージのやりとりもテンポよく続いて、お互いのホームグラウンドを含め3回会って飲んで、私としては珍しく「この人はお付き合いできる!カモン!!」 と感じたのだが、先方がそこまでは乗り気でなく、なんとなくそれきりになったという顛末。

季節は春から初夏にかけて。3回の食事のうち1回はお花見だったと記憶している。そこからビールがどんどん美味くなる時期だ。
郊外都市で家族経営の飲食店をやっている、こちらも少しだけ年上の人だった。街中の勤め人勢とはちょっと違った感性の持ち主というか、まずは何に於いても多趣味、その内容もちょっと学生ノリでのびのびしており、それゆえ彼を囲む友人も多く、会話の引き出しがとにかく豊富。飲食の人だけあって、食事やお酒の趣味も合う。
ユニフォームがシャツ&ネクタイではなくタオル&甚平的なスタイルなのも良かった(←シャツ&セルフレームメガネのアイコンばかりをクリックしていた癖に)。なんというか、“疲れたOLの張った肩肘崩す系の永遠の少年タイプ”といった佇まい。
ただ、3回会ってそのうち一度もそのユニフォームたるタオルを頑なに取らなかったあの頭部、詳細はどうなっていたのだろうか。そんな謎を残してくれたのもまた、彼の魅力の一つだったのかしらと思い出す。
まあ、彼に出会ったことで、長らく枯れていた心に「まだ恋愛できないわけではないな、こういう面白い人がまだ独身でいる世間は広い」という感覚が芽生えたのは当時の私には大きな収穫だったように思う。

最後に出会った人

こちらはいちばん好意を抱いてもらった男性。だけど、私からOKが出せなかった。

季節は夏の入り口だった。
彼は広義では私と同業種、だけど滅多に接点のないエリアに職場があり、バックオフィス系の業務に携わる、4つか5つくらい年下の人だった。
とにかく勉強をめっちゃしてきた優等生で、社会人キャリアのスタートが平均よりもやや遅め。新入社員のように、日々のお仕事やその感想をメッセージで報告してくれた。これは初々しすぎる。。。
結局、梅田にある地鶏のお店(確か)で一度食事をした後に連絡先を交換し、お付き合いを申し込まれたのだけど、そのときは正直困った。「お付き合いスタートからお互いいろいろ知っていけば良い」派の彼と、「いやいやもう少し会う機会を作るなりで、お互いを知って合意してからお付き合いスタートだろ」派の私の温度差が縮むことなく、ひたすらゴメンナサイと返答して、そのうち連絡が途切れる。

相手の気持ちに応えられない点には申し訳ない気持ちが大きかったのと、一方で転職活動のほうに舵を切るタイミングも重なって、次の出会いへのモチベーションは一旦収束した。
彼については例えば私の転職後など、出会うタイミングが違っていればもう少し私自身が寛容になれて、前向きに交際できたのではなどと思ったりもしたが、人生においてifの話はあんまり意味がない。
ただ、いくつかの属性に共通点があることも関係してか、いまの配偶者にもっとも近いタイプではあったような気がする。

おまけの人

おまけでもう一人。
プロフィールには関東圏在住とあり、出会うことはなかったものの、メッセージのやりとりがとても盛り上がった人がいた。
アイコンもサングラス姿で怪しさ満点、「お前真剣に出会う気あんのか」という風貌だったが、やりとりしてみたら、職業は物書きで、マッチングサービスの実態調査を兼ねて登録しているという。
若干近しい職種にあり、本や音楽や漫画の趣味トークも楽しく、それまでに出会った人たちとのことを聞いてもらったりと、純粋なペンフレンド(死語)として、転職活動期間中の精神的支えの一部にはなっていた。

出会ってないので、本当のところはわからないが。

その後の総括

婚活のほうは目に見える成果はなかったものの転職活動がなんとか目処がつき、新しい環境に慣れるのにあれこれしたり、それに慣れたら働きながら学校に通ったり、相変わらずプライベートで飲んだくれたりして時間は過ぎ、縁があって35歳あたりで結婚した。
転職をしてなかったら、目先の仕事の麻薬的な楽しさとしんどさでお腹いっぱいで、同じような出会いがあっても結婚は(もしかして交際すら)していなかっただろうなと思う。婚活をしていなかったら、転職後の人間(特に男女)関係のあまりの穏やかさに、逆に耐えられなかったかも知れない。
あと、転職活動は「こちらが魅力を感じて受けた企業には合わないと断られ、まったく想定してなかった企業に受かる」という結末で、何だか双方の経験が絶妙に私の意識や決断に変化をもたらしあっていたのも事実である。

あのタイミングで、普段の生活ではなかなか出会えない&タイプの異なる異性と向き合えたのは、人生においてそれなりの意味があったことなのだろう。とここではやや強引に結論づけておく。

最後に(…poison)

特に今回は相手のある話なので、個人が特定される種の、例えば地名とか固有名詞など、具体的な情報を盛り込めないことが、実はとても残念。
もうちょっとリアルに知りたいということがあれば、また飲み屋ででも私に聞いてみてください。何のヒントにもならないと思いますが、多少の酒の肴にはなるかな…。



カバー画像ロケ地/同級生に招かれた結婚式場(大阪市北区)





ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?