専門家、経験者にサービスを提供するために
独立・起業して、自分のサービスを考える段階で、周りから言われるアドバイスは決まってコレ↓です。
「後輩に教えるつもりで、その分野の初心者の方、知見のない方を対象にして始めていきましょう」
うんうん、鉄板ですね。独立初期の頃はスキルも自信も不足していることが多いため、初心者を顧客にした方が仕事がしやすいですよね。
専門家や経験者を相手に仕事をするためには、スキルや経験があるに越したことはありません。でも、初期の頃から専門家や経験者を相手にサービスを作っていくことも可能です。今日は、私が身近な先輩の話から得た学びをお伝えします。
創業支援から経営支援へ。私の葛藤
私は20代半ばからヨガ業界でweb制作やマーケティング支援を始め、その後31才で独立。独立後はweb支援も継続しつつ、自身の独立経験やヨガ業界での創業支援の経験をもとに、女性の創業支援にも注力してきました。
しかし2022年1月、診断士の資格に合格したのを機に、「創業支援よりも経営支援をしていきたい」と思うようになりました。
創業支援から離れようと思った理由は主に3つ。
1つ目は競合が多いこと。創業支援は相手に経営経験がないため、新米診断士でも知っている知識で対応できることが多いです。また、診断士合格前の私でもできていたように、創業支援は、診断士に限らず多くの女性経営者がサービスとして提供している分野でもあります。
2つ目は、創業期の顧客はまだビジネスが始まってもいないため、支払えるお金の額が小さいことです。売上を増やそうと思うと大人数を集める必要があります。大人数を集客し続けるのは大変だと考えました。
3つ目は、もう十分考えた、と思える出来事があったからです。詳細は以下の記事から無料で読めます。
創業支援に対して、経営支援とは、既に法人化されて経営されている企業を支援していくことです。既にその分野で活動している方(経営者)が「さらにもう一歩進みたい」「誰かの力を借りたい」と本気で考えている場合に求められる支援です。
経営状況にもよりますが、売上・利益の拡大、組織づくり、DX化、経営改善や事業再生など状況に応じた課題を支援していきます。経営者が苦手な分野や組織で不足している分野の解決が主な仕事です。
経営支援は法人を相手にするので、創業支援に比べて1社あたりの受注額も大きく、顧客数が少なくても十分な売上ができます。顧客1人あたりにかける時間を増やすことができ顧客満足度を高めることもできます。広く浅く関係を築くよりも、深く人と付き合う方が得意なので、経営支援の方が自分には向いていると判断しました。
経営支援のなかでも私が興味があったのが、「経営改善」です。経営改善の中でも「405事業」と呼ばれる支援に注目していました(以下、405事業と呼びます)。診断士に合格して半年ほどして初めて、405事業の存在について知りました。
405事業では、赤字が続いていたりキャッシュフローが不足していたり債務超過(自己資本がマイナス)になっていたり……など、金融機関との合同支援が必要な企業が対象となります。405事業の支援が必要な企業は、放っておくと倒産にいたる可能性が高い企業であり、該当企業への支援は診断士としての力量がもっとも問われる支援です。
ただし、405事業に該当する企業の支援は、新米診断士にとってはハードルが高すぎる面もあります。
「診断士に受かっているのだから自信を持って」という声もいただきましたが、405事業の支援は一歩間違えればその会社を潰してしまうことにもなりかねません。
診断士は「会社のお医者さん」とも言われることがありますが、医師が診断ミス、医療ミスをすることで症状が悪化してしまうような状態を、会社を相手に招いてしまうようで怖さがありました。
そんな怖さから、405事業に興味を持ちつつも、私は「すぐに405事業をサービス化するのは危険だし難しいだろう」と考えていました。そこで、405事業に該当する企業への支援を、もっと実力をつけてからの目標としました。
当面は業界や職種を絞って、多少なりとも知識のある小売業や、経験値のあるマーケティング支援に特化した経営支援をサービスとして考えていました。
経営支援の第一線で活躍している人の考え方
上記の話を、405事業に該当する企業の支援を中心に活躍されている先輩にしたところ、
「1年目から業界や職種、分野を絞るのはやめたほうがいい」
と言われました。
「自分から分野を絞って仕事をしていたら、経験値がうすーーーーーーい診断士になるし、そこ以外の仕事がそもそも来なくなる! 少なくとも3年間は『どの分野でもやります!』の姿勢でやった方がいい。特に最初のうちに405事業支援をやってれば、実力つくよ!」と。
「でも、未経験の業界でやるのは怖いし、知らない業界の経営支援、ましてや405事業など経営改善で自分が役に立てる気がしないんです……」
私が抱えている不安をぶつけてみたところ、先輩は言いました。
「大丈夫。僕たちがするのは、経営者に何かを教えることではないから。」
………えっ?診断士の役割、どうした????
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