Yoshimasa Kasahara

上智大学、桐朋オーケストラ・アカデミーを経て、米国ニューイングランド音楽院にて大学院デ…

Yoshimasa Kasahara

上智大学、桐朋オーケストラ・アカデミーを経て、米国ニューイングランド音楽院にて大学院ディプロマ修了。ラウンドトップ、サラソタ両音楽祭に参加。ヒンガム交響楽団、セントラル愛知交響楽団在籍の後、現在はオーケストラへの客演、室内楽、ソロ等で活動。

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12/23 プログラム・ノート(全曲)

分けて投稿していました12月23日リサイタルのプログラム・ノートですが、まとめてひとつでも投稿します。バラバラの機会に書いたものだったため、こちらの投稿では加筆、短縮、推敲などしてあり、個別投稿とは別内容になっております。 プログラム・ノート デュカス : ヴィラネル 
ディズニー映画「ファンタジア」でも有名な交響詩「魔法使いの弟子」など、わずか数曲のみを残し、納得のいかない多くの作品を晩年すべて破棄した、という完璧主義者ポール・デュカス(1865-1935)の、現存する

    • 12/23 プログラム・ノート⑨ル・グラン・タンゴ

      ピアソラ : ル・グラン・タンゴ 保守的なタンゴ愛好家からは「タンゴの破壊者」とまで呼ばれたアストル・ピアソラ(1921-1992)は、確かにアルゼンチン・タンゴというひとつのジャンルの枠内に留まる存在ではなく、彼の名前自体がひとつの独立した音楽ジャンルとなっている、と言っても過言ではないでしょう。クラシックの作曲家を志してパリに留学するも、師のナディア・ブーランジェの慧眼から「タンゴこそ自分の原点」と目覚めたエピソードは有名です。クラシック界にも多大な影響を与えたピアソラは

      • 12/23 プログラム・ノート③グリエール 夜想曲&ロマンス

        レインゴリト・グリエール(1875-1956)は、かつてはロシア帝国/ソヴィエト連邦の作曲家、と書かれることが多かったですが、今後は、ロシア帝国(現ウクライナ)出身の、との表記を目にすることが増えていくかも知れません。また、家系はフランスもしくはベルギー系、との記述も一般的でしたが、現在では、父はドイツ人の楽器職人、母はポーランド人、とされています。本来はドイツ系の姓Glierで、出版社の誤記によりGliér(フランス語として発音するならグリエ)、とされたことに困惑した本人が

        • 12/23 プログラム・ノート⑤スケルツォ・コンチェルタンテ

          ヴァーツラフ・ネリベル(1919-1996)は、主に吹奏楽の世界でよく知られている作曲家です。第一次大戦後、成立直後のチェコスロヴァキア共和国に生まれ、スイス・ドイツを経て1957年にはアメリカに移住していますので、プラハの春(1968)とそれを蹂躙するソ連の軍事侵攻より10年以上も前となります(「プラハ1968年のための音楽」で知られるカレル・フサも、1954年には渡米しています)。 ネリベルが生み出した吹奏楽作品は、当時のアメリカ人作曲家たちの明快で楽天的な吹奏楽曲とは

        12/23 プログラム・ノート(全曲)

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        • プログラムノート
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          12/23 プログラム・ノート②アンダンテとポラッカ

          カール・ツェルニー(ドイツ語での発音はチェルニーに近い。1791-1857)と言えばまずピアノの練習曲を連想する方も多いですが、ベートーヴェンの弟子にしてリストの師、チェコ系として生まれ育ったウィーン楽壇の主要人物であり、66年の生涯に1000曲以上の作品を残した王道の大家でした。ピアニストとしては、神童との評価を得、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番の初演に抜擢されもしたものの、作曲や指導で多忙になって以降は表舞台に立つことは殆どなかったと言います。 ホルンとピアノのため

          12/23 プログラム・ノート②アンダンテとポラッカ

          12/23 プログラム・ノート⑥Solstice

          後半、2曲目にお届けするのは、ネイガスのSolsticeです。ネイガス同様、ホルン奏者であり作曲家、また教育者でもある、ウェイン・ルーのために2014年に書かれました。至日、という見慣れない訳を宛てましたが、通常summer、winterを前に付けて夏至、冬至の日を指す単語です(蛇足ながら、今年の冬至は、リサイタル前日の12月22日)。なお、ネイガスには、別に、春分・秋分を指すEquinoxという曲もあります。 jamesnaigus.comの作品ページには「比較的長く厳し

          12/23 プログラム・ノート⑥Solstice

          12/23 プログラム・ノート⑧ヴァルス・ノワール

          こちらも2015年10月のプログラムノートから。このときはビシルさん、ROHオーケストラのSection Principalでしたが、現在はSection Principal, Principal, Sub Principalとある中のSub Principalの肩書です(ホルン・セクション全員がこのどれかなので、肩書にPrincipalがついている人が2, 3, 4番を吹いたりもあるものと思われます。このようにほぼ全員が~プリンシパル、というシステムは、東南アジアやオセアニ

          12/23 プログラム・ノート⑧ヴァルス・ノワール

          12/23 プログラム・ノート①ヴィラネル

          こちらも過去(2015年10月9日 l'atelier &12日 ドルチェ・アートホール名古屋)のプログラム・ノートのリサイクルです。長さや文体などがバラバラになるかもしれないので、結局はあとで12/23用に加筆することになるかもしれません(^^; これは簡潔めですね。 ポール・デュカス : ヴィラネル 晩年納得のいかない作品をすべて破棄した、という完璧主義者デュカス(1865-1935)の、現存する唯一の室内楽作品。19世紀前半、フランスは、ドープラ、ギャレイら名手の輩出

          12/23 プログラム・ノート①ヴィラネル

          12/23 プログラム・ノート④伝説

          タイトルに振っている番号は、リサイタルでの演奏順で、投稿の順番とは無関係です。 プログラム前半の最後に演奏する、マルセル・ポーの伝説。この曲は、自分がホルンを始めた中学生のころ、何枚目かに入手して繰り返し聴いていた、ペーター・ダムのフランス音楽小品集に入っていて、その意味でも思い入れ深い曲です。2006年5月、ボストン留学から帰国して最初のリサイタルでも採り上げ、その時のプログラムノートが残っていて、内容的にも今読んで違和感がないので、そのまま転載してしまいます。リサイクル

          12/23 プログラム・ノート④伝説

          12/23 プログラム・ノート⑦Woven Journey

          2023年12月23日、福岡県久留米市でリサイタルを開催します。その曲目についてのノートを、事前にこちらにアップしていこうと考えました。以前、2020年のリサイタルでも、略式のプログラムノートをFacebookに事前に上げたりしていたので、場所を変えてまた、という感じです。 まずは、後半の3曲目に演奏する、J. ネイガスのWoven Journey について。 ネイガスについては、最近だいぶ知られるようになってきました。ジョージア大学でホルンを教える傍ら、たくさんの作曲、ピ

          12/23 プログラム・ノート⑦Woven Journey

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          こんにちは。遅ればせながら、noteを始めてみようと思います。 過去に書いた&新しく書く、エッセイ、プログラムノート、演奏会のフライヤー画像、出版楽譜の解説などなど、雑多になると思いますが、いろいろアップしていこうと思います。あまり期待せずにお待ちください。

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