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インプット大全-樺沢紫苑 著

著者である樺沢紫苑氏は精神科医。医師の視点から、人の限界・実態をインプットという取り組みに対して述べられています。インプットに対する書籍や情報は多く存在しますが、そこに人体の仕組みという観点を足している本著は非常に参考になるものです。

なぜ人はインプットが必要か?成長のため

仕事をしていくにしても何にしても、必ず学ぶ必要があり、その結果として自分自身が世の中で価値を生み出すものです。故に情報を適切にインプットして自身に蓄積されなければ仕方ないということになります。
しかし、自身もそうですが、振り返ってみるとインプットしているもの・学んでいるものが自分自身の中にしっかりと定着しているかといわれるとそうでもないのが実情。私もそこそこの書籍や学ぶ機会はあったものの、それを適切に自身の中に落とし込めているかというと、悲しいかな、そう大したことないです。

適切に情報を得るために

ではどのようにすれば、効率的に自分の身になるのか。自分の人生の中、24時間しか1日がない中でどう向き合えばよいのか、そのポイントが以下です。

量よりも質。そして、さらに量を重視

私もどちらかというと量を優先するものと考えていましたが、本著の中では質を重視することを第一に挙げています。質とは何か、それは触れる情報事態の質を重視しなさいということだと、私は認識しました。そして、質の良いものをたくさん触れることが大切。
また、質良くインプットするためには、予め何を知りたいかという目的が重要であると述べられています。得たい情報があれば、カクテルパーティ効果で得たい情報が目に留まるようになるということ。目的なく、情報をたくさん得ようとする考え方で情報源に触れることは、巡り巡って自分自身のためにはならないということですね。

精緻化プロセスが蓄積には役立つ

情報と触れた後に、どのように自身に蓄積していくのか。それは、何かに紐づけて学ぶということが重要であると記載されています。それが精緻化と呼ばれるプロセス。相対するものとして挙げられているのが維持化というプロセスです。
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・維持化
情報を復唱する・反復することで定着させようとするアプローチ
・精緻化
ほかの情報と紐づけて蓄積させようとするアプローチ。具体的には付加する・結合する・追記する・整理する・まとめる等
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従って、ゼロベースで何かを蓄積させるより、自らの情報と併せて紐づけるというプロセスが蓄積には効果が大きいということですね。

メモを取ること、メモをまとめること

メモを取るということは、脳科学からすると2つの役割を担うとされています。少なくとも、メモしたことを見直して何かが得られるということではないということは間違いないようです。
触れている情報を整理するためのメモ
記者たちがメモをするのは後で編集に役立てるのではなく、聞いている情報をその場で整理することを目的としているということです。メモを取ると脳が活性化し、結果聞いている話が記憶に残りやすいということになる。
メモをまとめて精緻化プロセスを踏む
メモは定期的にまとめ直すことが重要であるとされています。これが意外にポイントでまとめるというプロセスが精緻化の流れであり、これが情報を蓄積させるうえで重要となるということです。

脳科学から実証されている学びの限界

著者が精神科医だからこそ、このあたりも明言しています。

コツコツ続けることは不可能に近い

習慣化という言葉がありますが、私たちは意図的に新たな習慣を作るのはかなり難しく、相応のハードルが高いというのが実情。ただ、これは努力の問題だけではなく、脳内物質的にも不可能に近いことは証明されています。
ではどうすればよいのか。情報が自動的に集まる仕組みを構築することや、共に成長する仲間を作るなどの方法が挙げられます。要するに、自分自身でできないことは、できるような仕組みを作ることが代替案として必要。

たくさんの情報を得ようとしても無理

一つの情報源から多くの情報を得ようとするのが人の性。しかし、それは現実的ではないとされています。逆にできることをすべきで、具体的には1つの情報源から得るものは3つを限界として、それに3つのアクションプランを一緒に作るということ。
人は2週間以内に3回アウトプットしたものは蓄積されやすいようです。したがって、たくさん学ぼうとして収集するのではなく、少なくてもよいから深く入ることが重要ということです。


まとめ

久々に良い本と出合いました。人生限られた時間。本当に大切なものを自身の血肉にしていくほかありません。その中で、どれが正しいのかというのは非常に難しく、何かしらの判断軸が必要です。
私たちは人間。だからこそ、人間の脳科学というのは、人生をより効率的に生きていくうえで抑えなければならないポイントだったなと改めて感じた次第です。

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